【読書】米澤穂信『冬期限定ボンボンショコラ事件』(2024.9)
こんにちは、貴族です。
この読書録の凡例を記します。
(凡例)
・基本はブクログ
・感想記入はほぼ小説のみ
・本には独断でキーワードを付す
・1ヶ月後に書いてるので細部は忘れがちだけど、逆に1ヶ月経っても覚えていることを書いている
・タイトルにはその月読んで1番良かった本を書く
・サムネは1番良かった本に関連する画像
それでは2024年9月の読書記録です。
『二人キリ』
村山由佳 著
阿部定事件/ルポライター
阿部定事件を、被害者の息子がインタビュアーとなって紐解いていくという構成の小説。
私が阿部定事件を知ったのって、阿部サダヲの存在からだったな…笑
そういう人多いんじゃないのかな
Wikipediaぐらいは読んだことあるし、黒木瞳主演の『SADA』も観たことはあるけれど、本の形で触れるのは初めて。
ずーっと表現は同じなのに飽きないのがさすが村山由佳というところかな。とは言え読了後は食傷気味になったけど…
『東京ハイダウェイ』
古内一絵 著
東京/お仕事小説/癒し/癒しスポット/プラネタリウム/美術館/ほっこり
東京での仕事に疲れても、都会には心休まる場所がある。
昼休みに近くのプラネタリウムに行って昼寝するの羨ましすぎると思ったな。
どれだけ有効活用しているんだ。私はこのnoteを書く時間に充てているというのに…羨望。
東京国立近代美術館の存在を知らなかった。私としたことが!
今度行ってみたい。
『坂の途中の家』
角田光代 著
裁判員裁判/虐待/子育て/母親
裁判員裁判に選ばれた主人公の主婦。
幼子を旦那の実家に預け、毎日裁判所へ通う日々。
事件は児童虐待。普通の人に見える若い母親の被告。だんだんと自分と被告の違いが分からなくなってくる主人公。
最近裁判員裁判制度について知ることがあったので、これをたまたま読んでいてだいぶんと理解が深まった。
子育てしていたらイライラすることだってあるし、暴言を吐いてしまうこともある。ビールを飲みたくなってしまうことだってある。普通のことなのに、夫は冷たい目で妻を見る。理解者がいない世界の孤独さ。
『東京島』
桐野夏生 著
無人島/漂流/性愛/男女/サバイバル
1ページ目で、読んだことがあることに気が付いた。
でも覚えてなかったのでもう一回読んだ。
無人島に漂着した夫婦。あとから流れついた31人の男たち。唯一の女である清子はこの島の女王となる。
なんて惹かれるあらすじなんだろう。
でもこの清子、若くも美人でもないのだ。
それでも、女。
かと言って男たち全員が清子を求めるのではなく、男同士のカップルもすんなり出来ちゃったりするのがこの本の面白いところ。
清子は女王だけれど、絶対的存在であるわけではないのだ。あくまでも。
結末が寓話的。ありそうに思えるのだからすごい。
『それってパクリじゃないですか?2 新米知的財産部員のお仕事』
奥乃桜子 著
知財部/知的財産/お仕事小説/恋愛
知財の勉強をしている最中なので、本当に参考になります。分かりやすいのが一番。
亜季と北脇の両片思い状態がもどかしい。このまま2人とも悩んでいてほしい。
ドラマ途中で辞めちゃったから見ようと思ったけど無課金では無理だった…。
『娘が母を殺すには?』
三宅香帆 著
母殺し/ノンフィクション/母娘/少女漫画
エッセイスト三宅香帆の本。
このタイトルから真っ先に連想するのは、滋賀医科大学生母娘殺害事件をテーマにした齊藤彩『母という呪縛 娘という牢獄』だと思う。
三宅さんも前書きで書いていたので、そりゃ「母殺し」がテーマだと意識するよなと思った。
萩尾望都『イグアナの娘』、山岸涼子『日出処の天子』、松浦理英子『肥満体恐怖症』など好きな作品がたくさん。
エディプスコンプレックス・父殺しに対する母殺しの概念。
娘は母を殺して大人になる。
私も含め、今の若者は母殺しを出来ていない人ばかりだろうな。
『のち更に咲く』
澤田瞳子 著
藤原道長/源氏物語/光る君へ/和泉式部/袴垂/藤原保昌
大河ドラマ「光る君へ」の直秀のモデル・盗賊集団袴垂の藤原保昌の妹が主人公。
澤田瞳子が書く、直秀のモデルが登場する物語となれば読んでみたくなるよね。
平安時代とは思えないほどアクションや暴力に富んだお話だったけど、道長の屋敷で働く下女たちの生き生きとした様がもの珍しくて面白い。こういう人たちは確かにいたんだけれど、普段それを感じることはないからさ。
ミステリ要素もある面白い小説だった。
『巴里マカロンの謎』
米澤穂信 著
《小市民》シリーズ/日常の謎/ミステリ/スイーツ/岐阜/名古屋
《小市民》シリーズの短編集。
どうでもいいけど、刊行順で本棚に並べるべきか悩むな…
(春期限定いちごタルト事件、
夏期限定トロピカルパフェ事件、
秋季限定栗きんとん事件上下、
巴里マカロンの謎、
冬期限定ボンボンショコラ事件)
だと気になっちゃうもんな…
小鳩くんと小佐内さんが名古屋遠征したりしておもしろいよ。小佐内さんが本編より無鉄砲な感じはするが。
『冬期限定ボンボンショコラ事件』
米澤穂信 著
《小市民》シリーズ/日常の謎/ミステリ
10年以上、待ちに待ったシリーズ完結作。
のっけから小鳩くんが交通事故に遭って入院して動けなくなった…。
小佐内さんともすれ違うし、2人の掛け合いがない小市民シリーズなんて!と思ったけれど、これはこれでとっても面白かった。
互恵関係にあった2人の関係が高校の卒業で終わってしまうのがほんのり寂しかったけれど、小佐内さんが小鳩くんとの関係に意味を見出してくれて嬉しい。
京都編があれば嬉しいな。
『初夏ものがたり』
山尾悠子 著
ファンタジー/幻想小説
酒井駒子の絵とともに、山尾悠子のうつくしい夏の物語。
山尾悠子の物語は最上の揺らめきの中に成り立っているのでいつも分かりにくいのだが、これは初期作品だからかいい意味で若くて青くて、山尾悠子ってこんなにさわやかな話を書けたんだ、と思う(さわやかといいつつも闇はある)。
ほのかに暗い闇のなか、うつくしい言葉を紡ぐこの作品は夏の夜に読みたいね。
『自由研究には向かない殺人』
ホリー・ジャクソン 著、服部京子 訳
ミステリ/冤罪/学生/青春/このミス/イギリス
なるほどこれは面白い!
洒落たアメリカ映画観てるみたいな気分になるね。会話がウィットに富みすぎている。
こんなに軽い書き振りなのに、書いてることは重すぎて薬物強姦殺人のオンパレード。
大学生になったピップの続編も楽しみ。
『あの夏が飽和する』
カンザキイオリ 著
ミステリ/サスペンス/青春/トラウマ
ボカロPが書いた小説らしい。
中学生の時に読んだらとっても面白かったかもしれないな。
『しつこくわるい食べもの』
千早茜 著
エッセイ/食/コロナ禍
『胃の合うふたり』は食べ過ぎてて読んでて苦しくなったが、わるたべシリーズは丁寧な暮らし的なものを感じられるからすき(食べ過ぎだが…)。
『世界でいちばん透きとおった物語』
杉井光 著
ミステリ/親子
話は普通だったけど仕掛けはほぉ〜となった。
最近、有名な作家の本ってやっぱりクオリティが高くて面白いんだなぁとひしひし感じる。
ランキング見て読むもの見るもの決める人の気持ちも分かる。
面白い小説を自分で掘り当てる喜び、最近味わってないなぁ。