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私は愛する男の為に人生を誤りたい。 汝、星のごとく

それでも、私は明日死ぬかも知れない男に会いに行きたい。幸せになれなくてもいいのだ
あぁ、ちがう。これが私の選んだ幸せなのだ

私は愛する男のために人生を誤りたい
わたしはきっと愚かなのだろう
なのにこの清々しさは何だろう
最初からこうなることが決まっていたかのような、この一切の迷いのなさは

                                     ― 引用 汝、星のごとく―

たまたまこの冒頭の文章を読んだ瞬間にゾワッときた。心に突き刺さるような。私もこういう風に覚悟を決めれていたら違う今があったんじゃないか。

私はどうしようも無く好きで好きで苦しすぎる彼と別れを選んだ後、失恋系、復縁系ばかりのTikTokを見ていた。たまたま、この文章が開いてあるページの動画を見て、コメント欄で凪良ゆうさんの汝、星のごとくという小説の1文なんだということを知った

そこから本屋に駆け込んで1日で読み倒した。別れを決断する前にこの本の存在を知ってればと激しく後悔した。
 
この物語に登場する女性達はみんな男によって人生狂わされている。その被害者達が、子である主人公の暁美ちゃんと櫂くんだ(高校生)
二人の母親に人生も狂わされる。

暁美ちゃんの父親は刺繍教室の先生のところに行ったきり帰ってこない。母は専業主婦で経済的に依存するしかなく精神を病んでいく

櫂くんの母親は、シングルマザーだけど子どもそっちのけで新しい男ができると半年も家に帰ってこなかったり、好きな男を追いかけて島に引っ越したりする。そしていつも最後は男にすてられる。

その島で出会ったのが櫂くんと暁美ちゃんで親の事が共通点で仲良くなっていく。

この物語でただ1人だけ、男から愛される女性がいる。暁美ちゃんのお父さんの愛人の瞳子さんだ。瞳子さんは刺繍教室を経営している他、素敵な洋風の持ち家も持ってるし、料理、お菓子のセンスも抜群、男にも依存しないスタンスで生きてらっしゃる非の打ち所のないような女性だ。

この主人公の家庭をブチ壊した瞳子さんが皮肉にも、暁美ちゃんがどんな状況でも愛する男を選べるように、経済的にも精神的にも自立できるように、手を差し伸べてくれる存在になっていく。

暁美ちゃんは瞳子さんに世間から後ろ指さされるであろう妻子ある男をなぜ選んだのか、暁美ちゃんの母に馬乗りになり殴られ、恨まれても自分の父親を愛すると決めたのか。その強さはどこからでてくるのか。聞いた。
 
瞳子「強いんじゃなくて、愚かになれただけだと思う
暁美「愚か?」
瞳子「どこ行きかわからない、地獄行きかもしれない列車に、えいって飛び乗れるかどうか

そして、瞳子さんの覚悟を知って
暁美ちゃんも世間体とかもう気にせず最後、愛する男のために(自分を愛してくれてるかどうかも分からない男に)愚かになろうと覚悟する。
すごくカッコよかった。











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