🇰🇭カンボジア🇰🇭トゥルースレン虐殺博物館

2023年7月21日 18:17

カンボジアのトゥルースレン収容所（S-21）は知っていますか？

ポルポト、クメールルージュといった言葉のほうが少しは聞いたことがあるかもしれません。

そのクメールルージュが政権を握った時代、罪のない人々がこのトゥルースレン博物館で収容され、拷問を受け、殺されました。

この収容所だけで約２００００人。生き残った者はごく数名。
ほかにもたくさんこのような収容所がありました。

私はカンボジアに訪れた際、今は資料館として残っているこの場所を訪れ、当時のまま残っている収容されていた部屋、そこに残る血、拷問器具、様々な資料等を目の当たりにしました。

収容者の写真も大量に掲示されており、当然のごとく、その写真すべての人が自分と全く同じ人間です。
それは収容者だけでなく看守も同じです。

同じ国、同じ人間なのです。

なぜ同じ人間、同じ国の人間にたいしてこのようなことができるのか？
悲しさ、恐怖がこみ上げてきます。
ですがしばらく、その感情は自分自身では整理できませんでした。

帰国後、少し整理がついた今。
このトゥルースレン収容所（Ｓ－２１）のごく僅かな生還者
ＣＨＵＮ　ＭＥＹさんが書いた本、【生還者】を読み、
私はこの歴史を知った身としてすこしでも多くの人にこのことを知ってもらえれば、、
という思いから、このnoteを書こうと思いました。

正直まだ知識不足なところもあるし、文章がうまいわけではないですが、このnoteがなにかのきっかけになれば嬉しいです。

歴　　史

まずは簡潔にカンボジアの歴史をたどります

１９４５年～
日本の敗戦後、フランスの支配が再度始まります。
カンボジア指導者シアヌークは国際世論に訴えかけアメリカ等の支援を受けフランスに対抗します。

１９５３年～
シアヌークが完全独立を宣言しカンボジア王国が誕生します。

１９５５年～
ベトナム戦争が勃発
カンボジアは北ベトナム（共産主義）を支援し、南ベトナム（資本主義　アメリカ側）と敵対。
ベトナム戦争は
資本主義（アメリカ）VS　共産主義（ソ連）
の代理戦争といわれていて、共産主義側につくカンボジアにアメリカは脅威を感じる。

１９６０年～
カンボジアの共産主義化を防ごうと、カンボジアの資本主義者ロンノルをアメリカが支援し、カンボジアが内戦状態に。
ここでも資本主義　VS　共産主義の構図ができる。
（ちなみにラオスも同様）

１９７０年～
アメリカが潜伏しているベトナム兵を殺すためカンボジア国内に空爆を行う。これを許可したロンノルにたいし反発の声が多くなり、退位。

これにより
１９７５年～共産組織クメールルージュがカンボジアの政権を握ることになる。そのトップがポルポトである。

先ほど紹介したトゥルースレン収容所は１９７５年～１９７９年の間で起こった大量虐殺の中の一つの出来事である。

クメールルージュ
～悲惨な歴史～

１９７５年からクメールルージュが政権を握った約５年間。虐殺、病気や餓死を含め約２００万人が犠牲となりました。

これは当時のカンボジアの人口の２５％に及びます。

クメールルージュとは指導者をポルポトとした共産主義勢力です。

クメールルージュ指導者　ポルポト
ブラザーナンバーワンというコードネームで呼ばれた

このポルポトの思想。原始共産主義といい、簡単にいうと

『余計なものがあるから争いがおこる。だから全部捨ててみんなで農業をして自給自足の生活をしよう！！』

という思想です。
そのため都市部に住んでいた人間を田舎へと移動させ、慣れてない人たちに、しかも農業機械も使わず手作業で農業をさせます。

それに、学校を作るからという理由で先生を集め、知識人を殺します。
これは知識人による革命を恐れたからです。

当然、農業も国政もうまくいかず、餓死者や病気で死ぬ人が増えていきます。
そこでポルポトはうまくいない理由を

『国の中にスパイがいる！』

と考えます。（正直この発想はあきれます）
ここから虐殺がさらにエスカレートします。

メガネをかけている
文字を読める
時計をしている

というような人を知識人だという理由でどんどん殺していきます。
それを主に１３歳以下で組織した子供兵にさせていました。

１３歳以下の子供は何も思想に染まっておらず、洗脳しやすいというのが理由だそうです。この子供たちは笑って親を殺せるぐらいまで洗脳されていました。

少しでもスパイの疑いがある人は逮捕され、尋問、拷問の後殺されました。
その尋問、拷問を受ける収容施設の一つが
トゥルースレン収容所です。

トゥルースレン収容所

冒頭にも書きましたが、この収容所だけで約２００００人の人が拷問を受け殺害されました。

私の読んだ生還者CHUM　MEYさんの書籍をもとに話をします。

収容される前、働いている職場から日に日に仲間たちが逮捕され消えていく。
でもそのことについて詳しく聞くことは許されず、ただ自分がいつ逮捕されるのかに怯えながら仕事をこなす毎日。

ある日いきなり目隠しをされ手錠をかけられ逮捕される。

収容所に連れていかれ狭い房へと繋がれる。

ほとんどの人が自分がなぜ逮捕されたかわからない中、毎日尋問が行われる。

尋問を受ける内容は

『CIAといつからつながっているんだ？！』

というようなほとんどの人は尋問されて初めて聞く組織について聞かれ、
それを素直に『知らない』と答えると、ワイヤーを括り付けた棒で殴りつけられ、爪をはがされ、電気ショックを流されたようです。

尋問者は収容者に拷問をして嘘でも自白させ、供述をとり、死刑に送る。
この流れだったそう。

尋問の時間以外は大部屋でたくさんの人と錠で繋がれ、布団ではなく床で寝かされます。寝返りの音さえも許してもらえず、拷問で受けた傷を静かに耐えていたみたいです。

夜、同じ部屋の人が１人、また１人とどこかに連れていかれ、一生帰ってこない。
もしかしたら次は自分ではないのかと毎日考えるとこを想像すると考えただけでも恐ろしいです。

CHUM　MEYさんは、何日も拷問に耐えたある日
機械の修理ができるということが看守に知られ、収容所の整備として働くことになりました。

このおかげでベトナム解放軍が、カンボジアにくるまで生き延びることができました。

ベトナム解放軍が1979年カンボジアの首都プノンペンを制圧した後もクメールルージュはジャングルに逃れゲリラ線を長らく続けました。

1975年〜1979年の間で犠牲者が国民の25%。
彼らは決して忘れることのできない苦痛と抑圧に耐え、そのうえで心の中に一筋の希望を抱いていたのでしょう。

今も博物館として残るこのトゥルースレン収容所。
約２００００人収容された中、生存者は８人。
館内には収容される前にとられた収容者の写真が大量に掲示されています。
そこには大人だけではなく、幼い子供の写真も多数掲示されています。

紛争が落ち着いた後、行方が分からない家族や友人の写真を探しにたくさんの人が訪れ、この写真をみて探しました。

自分の家族、友人がいるかもしれない。

その時の気持ちは想像できません

最後に

私はYouTubeにあがっているポルポトのインタビュームービーをみて衝撃を受けた。
当たり前の話だが全く同じ普通の人間なのだ。

ポルポトは原始共産主義を掲げていたことについては先述した。
もう一度簡単に言うと

『余計なものがあるから争いがおこる。だから全部捨ててみんなで農業をして自給自足の生活をしよう！！』

この時代には真逆に行こうとする考え方だ。

ポルポトは純粋に、格差なく平等な社会を目指していたといわれている。

ポルポト自身も質素な暮らしをし、皆と一緒に農業をしていたといわれている。
国のこと、平和を目指しての一連の行動なのだ。

「やる気がある無能ほど厄介なものはない」

という言葉があるみたいだが、まさにその通りなのかもしれない。

トゥルースレン虐殺博物館には音声ガイドがある。

ガイドの1番最後、トゥルースレン収容所の生還者の1人（名前は忘れてしまいました）の言葉がとても印象的だ。

『時がたった今、当時の看守たちが言う、
「私たちも歯向かうと殺されただから従うしかなかった。」
そんなのは聞きたくないのです。
人が人をものとして見るようになったらそれは終わりなのです。終わりなのです。』

様々な考え、思想が混じり合っているこの世の中。
資本主義という考えのもと働き、暮らす私たちにもこのことは少し当てはまるのではないだろうかと私は考える。

※ここまでよんでいただきありがとうございますm(__)m
自分自身もnoteを通して教養等深めていきたいと思ってますので、もし歴史やその他、間違っている箇所があれば是非ご指摘お願いします🙇‍♂️
また豆知識や雑学などあればコメント欄にて教えてください🙇‍♂️
読んでくれたみなさんの何か知るきっかけになればと思ってます。