「新しいの作り方」を考えた話|企画メシ2022
こんにちは。
フリーランスのグラフィックデザイナー、安村シンです。
コピーライターの阿部広太郎さんが主催する企画メシ2022に参加しており、そこで放送作家の大井洋一さんを講義にお招きする回に向けて「あたらしいドッキリ」を考える、という課題がありました。
個人的には、これはややチャレンジとなる課題です。
実は私、普段ほとんどテレビを見ない上に
いわゆる「ドッキリ」を見るのが苦手なのです。
テレビを観なくなったのは、小学生の頃からインターネットにハマってしまい、「空いている時間があればネット」という生活が染み付いてしまったせいで
実家で暮らしている時に、食卓でテレビを流している時以外には、バラエティも映画もドラマも観ないでインターネットの海に出ていました。
「ドッキリ」が苦手なのは、どうやら"共感性羞恥"と呼ばれるそうなのですが、他人のミスや恥ずかしい思いをする瞬間を見ると、自分のことのようにツラくなってしまう性質があるらしく、他人のハラハラドキドキを観るのが耐えられない性質なのです。
そんな2つのマイナスポイントを持った状態ではありましたが、人を驚かせること自体は好きな私です。きっと何とかなるだろう、と課題に向かいました。
定義付けから始めよう - 前回講義の反省
前回の企画メシの講義で、阿部さんから教わったことを
今回はフルに試していくと決めていました。
まず、「マイ定義」を持つこと。
つまり今回であれば、「ドッキリ」とは何かを分解し、自分なりに定義する。
そうすることでブレない軸となり、自分の企画が「ドッキリ」になっているかが確認できる、というものです。
さっそくGoogleで検索して、類似項目である「サプライズ」も調べました。
ざっくり見ていると、
となりました。
そしてドッキリに関する自分の経験を、振り返ってみます。
あれはドッキリだったかも、これは違うかな、…… ……
それから、今回の講師である大井さんの仕事である、テレビ番組をチェックし始めます。ドッキリの経験値が思った以上に少なかったので、ここで経験値を貯める意味でも。。。
普段は観ないドッキリ企画を観ていると
どうやら、ただ様子をみて楽しむ、とかそういうことではなくて、
「波風を立て、追い込まれたギリギリのところで絞り出されてきたモノを撮る」ことがドッキリの面白さなのではないだろうか、と思えてきました。
そこから見えてきたものから、ドッキリのマイ定義を書き換えました。
ドッキリの本質は「あえて波風を立てることで普段隠れた一面を見ようとすること」ではないかと思い至りました。
ここまでくれば、企画を考え出す土台ができました!!
大井さんについて色々調べているうちに、ご本人のブログやインタビュー記事などもチェックしました。そこで今回の課題で求められているものは何か?のヒントを考えます。
これらの言葉も踏まえて、
今回の課題で求められているものが何かを考えました。
放送作家である大井さん。
そして色んな年齢性別職業の人が集まる企画メシ。
その合わさる部分に求めているのは、ひょっとしたら
「違う世界の人たちがドッキリを考えたらどうなるんだろう」という実験なのではないかな、と考えました。
各員がそれぞれ、自分の領域のなかからドッキリを作ることで
普段とはかけ離れた土地で咲く、いわば海外の植物を見るような、全く新しいものが出てくるのではないか。
それを見せることが、今回の課題で求められていることだ、と仮説を立てました。
そうと決まれば、あとはひたすら、自分の中にあるモノと掛け算して企画案を出していきます。
どしどしと案を出しては、メモ帳に残しておきます。
提出した企画たちと、その講評
提出日の当日になって、
しまったマズイと企画書を一気に書き上げて、
スムーズに言葉にまとまった4案を提出しました。
それも、当日になって「あれも面白いかも」「この切り口もあるな」と2案増えて、入れ込みつつ。
メモ帳に残っているものは、新しくもないなと思ったり、包み方・打ち出し方がフンワリしているなと思ってほとんどが消え去りました。
自分のお気に入りはこちら。
ドッキリの番組を観ていると、
「これはドッキリに気づいているのではないかな」と感じることもあります。
いつドッキリを仕掛けられるのか分からない、という立場になったら、どんな気持ちになるんだろう、というところから
「やたらとドッキリを仕掛けられる人」になって、ドッキリなのかどうかを判断していく体験が出来たら、すごい新感覚のハラハラアドベンチャーになるのでは?という仮説を立てました。
しかし、今回は残念ながら「放送の企画」であり、アドベンチャーゲームを提案するのは筋違いだったとあとで反省しました。
ゲームとしての設定も甘く、そのままでは使い物にならなそうですが、この仕組み自体は気に入っています。
さて、講義当日、大井さんから提出課題へのコメントを頂く時間がありました。
それも、たくさんの方の課題へコメントを!数十名分のを全てメモして、プロの視点で「放送企画にするなら〜」という技を間近で観ることが出来ました。
私の提出した課題にも、コメントを頂くことが出来ました。
それがこちら。
こちらは、たまたまLINE NEWSで見かけた女性目線の恋愛記事を読んでいて、「あぁ、世の中には、"彼氏が自分だけにいい顔をしているのではないか"と不安になる人もいるんだなぁ」と感心したことから、
「でも、ドッキリなら普段隠れた一面をあばくことができるぞ」とつながり、
じゃあ、その相談を受け付ける窓口があればいい。
相談だからコンサルティング…と思ったけど、ドッキリの仕組み作りをコンサルしてるみたいに聞こえそうだから、探偵事務所にしちゃおう。
そんな「ドッキリ探偵事務所」の案ですが、
この仕組み・コンセプトがいいとコメントを頂きました。
単発のドッキリではなく、番組のような形で色々やっていける。
これがとても嬉しくて、
企画をなるべくコンセプト重視で設計していたからです。
企画の素人であり、
ドッキリの素人でもある自分が、
阿部さんから教わったフレームワークを徹底してキチンとやり、
そこから作り出した企画でしたので、
奇跡のアイデアが生んだラッキーヒットではなく、
冷静な頭で、狙った通りのものが出来たと言えます。
今回のやり方を使えば、
今後も「狙った場所に、狙った企画を作る」ことが出来るようになるかもしれません!
講義が終わって、ワクワクが残りました。
次回に向けて
大井さんの講義を終えて、
2つ、これから行動を変えてみよう、ということがあります。
1つは、「ポイント制の導入」です。
大井さんの若い頃の、自分を奮い立たせる方法として。
たとえば「企画会議の場、大人数がいる中で発言するのは勇気がいる。面白くないと思われるかもしれない。そんななかで、今日しゃべったら2ポイント、それがウケたら5ポイント、」といった具合に、自分に得点が与えられるゲームにすることで行動を変えたとお聞きしました。
いわゆるゲーミフィケーションにも似たような、ゲーム化のチカラ。
小さい頃に、どっぷりとテレビゲームに浸かっていた私も、さっそく導入することを決めました。
講義の終わり、質疑応答の時間。四十数名が聞いている場で、直接に大井さんに質問をする勇気が出てこない。
いやまてよ。
"いま質問をしたら、2ポイントだ"と自分を奮い立たせ、質問内容をまとめ、発言のために手を挙げました。
2つめの質問は、
"アイデアに煮詰まるとき、どうされていますか?"
この質問に、大井さんは「ギリギリに出すから」と、煮詰まることがあまりないと答えを頂きました。
私の周りでも、まるでジャズの即興演奏のようにその場でアイデアを出すタイプの方がいるなとは思っていました。憧れでもあります。
大井さんは「最近あった、引っかかったこと、面白いこと」などからアイデアを出すのだと話していました。
一方自分は、アイデア出しの度にアチコチ調べて、どこかからか引っ張ってきて、違うところからアイデアを出すことが多いです。それで時間が掛かるから、一回持ち帰ってアイデアを出したいタイプ。
大井さんは、こうも話していました。
「若い頃は、時間をかければいいアイデアが出ると思ってた」と。
それから切り替えて、そうじゃない今のスタイルになったと。
自分自身も、アイデア出しに時間をかけるスタイルを続けるのには限界があると感じる機会が増えてきました。
いちグラフィックデザイナーとして案を出すなら大丈夫なのですが、アートディレクターとしてデザインをチェックするとき、指示をするとき、リアルタイムでフィードバックを考えなくてはいけない場面や、クライアントと直接にお話をしている中でアイデアを出したいと思うことなどは、一回持ち帰る時間などありません。
アイデア出しの時間を圧縮するべき時が、近づいているのかも。
これも、周りに迷惑のかからない範囲から少しずつ挑戦して、取り入れていく、切り替えていくことを決めました。
さてさて、次回の企画はどんなものになるか。
企画の素人が、プロのやり方を学んでいくことで
はたしてどんなことを作れるようになっていくのか。
毎回やり方をアップデートしていこうと思っています!
(最後までお読み頂き、ありがとうございました!)
サポート頂いた分は、ビール代として、ひとり打ち上げに有効活用させて頂きます。 がんばれます。ありがとうございます!