【コラム】佐伯祐三の第1次パリ時代-《オニー風景》【1月28日絵画オークション】
こんにちは。
2023年を迎え、1回目のブログ更新となります。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
本日はまずおすすめの展覧会をご案内させていただきます。
1/21より東京ステーションギャラリーにて、「佐伯祐三 自画像としての風景」展が開幕しました。日本最大級の質と量を誇る大阪中之島美術館の佐伯祐三コレクションを中心に、画家の代表作が一堂に集結しています。こちらの展覧会には、過去に当社のオークションに出品された作品も出品されています。4/15からは大阪中之島美術館にも巡回しますので、佐伯ファンの方はぜひお近くの会場に足をお運びください。
「佐伯祐三 自画像としての風景」展公式ホームページ
https://saeki2023.jp/
さて、1/28(土)に開催いたします、当社の近代美術オークションにも佐伯祐三の作品が出品されますので、ご紹介いたします。
佐伯祐三は、自らの生命をキャンバスに刻み込むかのような情熱と疾走感溢れる筆致でパリの街の風景を描き、30歳という若さで早世した画家です。1923年、東京美術学校(現・東京藝術大学)を卒業した佐伯は、関東大震災という大きな困難を乗り越え、同年11月に神戸港からフランスに向けて出発しました。翌年1月にパリに到着してから日本に一時帰国するまでの2年間は、佐伯の画業における「第1次パリ時代」などと呼ばれています。
1924年頃作の本作はこの時期に制作された作品の一つです。取材地のオニーは、パリの北西に位置するイル・ド・フランス、ヴァル=ドワーズ県の村であり、佐伯は滞仏中に2年続けてこの地を訪れています。特に1924年の秋には、佐伯を「このアカデミック!」と厳しく叱責し、覚醒させたというエピソードで知られるフォーヴィスムの画家モーリス・ド・ヴラマンクの写生地を巡る旅行の途中、里見勝蔵とともに訪問してその長閑な風景に取り組みました。
また、題材は、類似作品の画題よりオニーの牧場と考えられます。ペインティングナイフを使用し、荒々しい筆致で風景全体を捉えており、暗調の色彩と白が妖しく混じり合うドラマティックな空の表現が、ヴラマンクの影響を感じさせます。その一方、建物や牧草地、樹木の形を大胆に簡素化し、平面的に表しており、後年のパリ風景に通じる、研ぎ澄まされた色彩感覚や形態把握の試みをうかがわせます。生来のフォーヴ的な感性を生かし、無我夢中で自らの表現を模索する佐伯の姿を想像させるようです。
東京ステーションギャラリーから当社へは地下鉄で1駅です。「佐伯祐三 自画像としての風景」展をご鑑賞される際は、ぜひ当社の下見会やオークションにもお立ち寄りください。
オークション・下見会スケジュール、オンラインカタログはこちら
なお、ご入札は、ご来場のほか、書面入札、オンライン入札、電話入札、ライブビッディングなどの方法でも承っておりますので、お気軽にご参加ください。
新型コロナウイルスの感染予防対策をしっかりと行い、皆様のご参加をお待ちしております。
(佐藤)