イキりの福姫04 補遺01-雀魂2024春の四半期
<本稿を読む前に>
手作りの基本を成す技術がある。「シャンテン数の数え方」だ。手牌をメンツ→トイツ→ターツの順に切り分ける技術だ。この切り分け方で、テンパイへの最短手順を求められる。
詳細は上のnote記事を参照されたい。
さて、本稿ではこの原則に反して、テンパイの手牌をイーシャンテンに戻す選択(シャンテン戻し)が多く出てくる。「愚形テンパイを好形テンパイに変えたい」意図から、この特異な選択を行っている。
シャンテン戻しは巡目が早いときに有効だ。序盤の終わりまで(捨牌1段目の終わり)では残りツモ山が46枚(残りツモは12回)なので、好形テンパイに変化してのアガリを期待できる。
しかし終盤(捨牌3段目)に入ると、残りツモ山が22枚だ(残りツモは6回)。手変わりしてのアガリは難しくなる。流局率が高まるため、アガリは半ばあきらめ、愚形テンパイを取ってでもテンパイ料収入を狙う価値が高まる。
初心者が本稿を読むとき、テンパイの手牌をあえてイーシャンテンの手牌に切り分ける見方が難しいと思った箇所は、いったん無視してよい。中級者から上達したい人はここもマスターしたい。
<イキりの福姫04の手牌を見直す>
前回記事「イキりの福姫04」に追記したい事柄があったが、文章が長くなりそうだ。補遺01として別記事にする。
「イキりの福姫04」で、下図のようなイーシャンテンに進めた。
3メンツ+雀頭+2孤立牌で、くっつきイーシャンテン形だ。孤立牌の2s、または7sの周辺牌をツモると、ターツやトイツが生まれてテンパイする。
1sから9sまで、ソーズ全てでテンパイする。テンパイの経緯については「イキりの福姫04」(本編)で詳説したので参照いただきたい。
本編では、有効牌のうち好形テンパイに進むものを特に詳説した。今回は愚形テンパイに進むものを取り上げたい。愚形テンパイに決めて終わり、となるだろうか。
<ツモ9s>
ツモ → 打 → テンパイの待ち
9s → 2s →カンチャン8s
端寄りのカンチャン待ちになるので、愚形テンパイながら出アガリを狙えて、悪くはない。このままテンパイを維持してよいだろう。
後のツモによっては好形テンパイへの変化が可能だ。
ツモ → 打 → テンパイの待ち
6s → 9s →リャンメン58s + 単騎7s
他にはテンパイを崩し、イーシャンテンに戻して好形テンパイへと組み直す可能性が生まれる。
ツモ → 打 → イーシャンテンの構造
5p → 9s → 5678p + 667s
(四連形+リャンメントイツのくっつきイーシャンテン形。亜リャンメン+リャンメントイツと同様に、雀頭が生まれやすく、かつ崩れやすい形の2組が互いを補完して、好形テンパイしやすい。テンパイの経緯は今回割愛する。
タケオしゃんの「牌効率・牌理ツール」などで各自調べてほしい。牌記号-5678p234667s)
<ツモ7s>
ツモ → 打 → テンパイの待ち
7s → 2s → シャンポン66s77s
3-7牌同士のシャンポン待ちになり、出アガリは期待しにくい(3-7牌はターツを作りやすいため、他家の手牌で使われやすく、切られにくい)。困った有効牌だ。
ただし、後のツモによっては好形テンパイへの変化が可能だ。
ツモ → 打 → テンパイの待ち
8s → 7s →リャンメン69s(6678sで2種6枚の亜リャンメン、6s×2枚+9s×4枚)
5s → 6s →三門147s(23456s + 77s、1s×4枚+4s×3枚+7s×2枚)
テンパイの待ちは4枚(6s×2枚+7s×2枚)。好形変化は8枚(8s×4枚+5s×4枚)。好形変化は次点だが、アガリよりも4枚多い。テンパイを維持してよい。アガれれば最高だ。
ツモによってはテンパイを崩し、イーシャンテンに戻して好形テンパイへと組み直す可能性が生まれる。
ツモ → 打 → イーシャンテンの構造
5p → 9s → 5678p + 667s
(ツモ9sの項で紹介済みのため、解説は割愛)
<ツモ4s>
ツモ → 打 → テンパイの待ち
4s → 7s → カンチャン3s
3-7牌のカンチャン待ちになり、これはイマイチだ。そこで一捻りする。ツモ4s → 打6sとして、イーシャンテンに戻す。ただし元のくっつきイーシャンテン形ではない。
678p + 24s + 234s + 67s + 東東東(ポン)
3メンツ+2ターツで、ヘッドレス形イーシャンテン形だ。
3メンツ+ターツ+2孤立牌の構造を「ヘッドレス形イーシャンテン形の基本形」と私は呼ぶ。今回の手牌で、24sのターツが2孤立牌(例、西+北)に変わってもイーシャンテンだ(ツモ西、北で雀頭が発生してリャンメン58s待ち。ツモ58sで4メンツが完成し、単騎西、または北待ち)。
3メンツ+雀頭+2孤立牌 → くっつきイーシャンテン形
3メンツ+ターツ+2孤立牌 → ヘッドレス形イーシャンテン形の基本形
両者はツモ1枚で入れ替わることがある。硬貨の裏表のような関係だ。
さて、今回のヘッドレス形イーシャンテン形は、2孤立牌(例、西+北)がターツ(24s)に変わった発展形だ。
ツモ → 打 → テンパイの待ち
1s → 2s → リャンメン58s
4s → 2s → リャンメン58s
2s → 4s → リャンメン58s
5s → 4s → 三門258s
24s + 234sはシュンツとターツの連続形で、雀頭コンボだ(厳密にはシュンツとターツが重複しているが、連続形とみなす)。ツモ14s、25sで雀頭+1メンツが発生し、リャンメン待ちテンパイにできる(今回の手牌に限り、ツモ5sでは三門待ち)。
ツモ → 打 → テンパイの待ち
8s → 2s → リャンメン14s(2種6枚の亜リャンメン、1s×4枚+4s×2枚)
8s → 4s → リャンメン25s(2種6枚の亜リャンメン、2s×2枚+5s×4枚)
ツモ8sの場合、24s + 234s を2344s、または2234sの亜リャンメンにできる。基本的には出アガリしやすい外寄りの牌を求めて、2344sにしたい。
なお今回、14s、25s、8sをチーしてもテンパイできる。
頭の中だけで考えるとわかりにくいが、実際に牌を並べ、チーして不要牌を切ってみるとよい。手指を動かしながら考えると記憶が定着しやすい。
例えば、5sのチーは2通りある。どちらがアガりやすいだろうか。
上家が打5s → 34sでチー → 打4s → リャンメン58s待ち
上家が打5s → 67sでチー → 打4s → リャンメン25s待ち(2種6枚の亜リャンメン)
基本的には出アガリしやすい外寄りの牌を求め、34sでチーして67sを残したい。67sでチーして2234sを残すと、2sが残り2枚でイマイチだ。
<ツモ1s>
ツモ → 打 → テンパイの待ち
1s → 7s → ペンチャン3s(カンチャン3s)
ペンチャン待ち(12s + 234s。ただし123s + 24sのカンチャン待ちにも取れる。俗にペンカンチャンと言う連続形だ)になり、これはイマイチだ。そこで一捻りする。ツモ1s → 打6sとして、イーシャンテンに戻す。ただし元のくっつきイーシャンテン形ではない。
678p + 12s + 234s + 67s + 東東東(ポン)
678p + 123s + 24s + 67s + 東東東(ポン)
3メンツ+2ターツで、ヘッドレス形イーシャンテン形だ。今回ソーズのメンツの抜き方が2通りある。ツモ4sの場合とおおむね同様の解説になるが、以下に述べよう。
ツモ → 打 → テンパイの待ち
1s → 2s → リャンメン58s
4s → 2s → リャンメン58s
2s → 1s → リャンメン58s
5s → 1s → 三門258s
12s + 234s(123s + 24sでもある)はシュンツとターツの連続形で、雀頭コンボだ。ツモ14s、25sで雀頭+1メンツが発生し、リャンメン待ちや三門待ちにできる。
ツモ → 打 → テンパイの待ち
8s → 2s → リャンメン単騎14s(1s×3枚+4s×3枚)
8s → 1s → リャンメン25s(2種6枚の亜リャンメン、2s×2枚+5s×4枚)
ツモ8sの場合、12s + 234s を1234sのリャンメン単騎待ちにするか、2234sの亜リャンメンにできる。基本的には出アガリしやすい外寄りの牌を求めて、1234sにしたい。
ツモ → 打 → テンパイの待ち
6s → 7s → ペンチャン3s
7s → 6s → ペンチャン3s
ツモ6s、7sでは雀頭が発生し、再びペンチャン3s待ちになる。好形テンパイしたいが、リャンメンターツが雀頭に変わって崩れるのでイマイチだ。
ここではツモ切ってテンパイをイーシャンテンに戻す。後にツモ14s、25s、8sなら好形テンパイで、6s、7sよりも枚数が多い。愚形テンパイには決め打たず、好形テンパイの可能性を求めたい。
<(ツモ1s → 打7s →)ツモ3s → 単騎6s待ちからの好形変化>
ツモ → 打 → テンパイの待ち
3s → 7s(6s)→ 単騎6s(7s)
最後に、ツモ1s → 打7s でのヘッドレス形イーシャンテン形から、ツモ3sの場合を挙げよう。4メンツが完成し、単騎6s、または7s待ちになる。ツモの順番がしょうもない、ドツボの進行だ。
単騎待ちは幺九牌(ヤオチューハイ、1、9、字牌の総称)なら出アガリしやすいが、中張牌(チュンチャンパイ、2-8牌の総称)ではイマイチだ。単騎6s(7s)待ちテンパイには取らず、3sをツモ切り、元のヘッドレス形イーシャンテン形に戻して好形テンパイを待つのがよい。
しかしながら、いったん単騎6s待ちテンパイし、好形変化を待つこともできる(単騎待ちは2種類あるが、6s待ちのほうがよい。ツモ5sの際、テンパイの待ちを選べる。単騎7s待ちではこの選択肢がない)。
ツモ → 打 → テンパイの待ち
5p → 6s → リャンメン単騎58p
8p → 6s → リャンメン58p(2種6枚の亜リャンメン、6p×4枚+8p×2枚)
6p → 6s → リャンメン69p(2種6枚の亜リャンメン、6p×2枚+9p×4枚)
9p → 6s → リャンメン単騎69p
シュンツの周辺牌をツモると、リャンメン単騎や亜リャンメンが発生して好形変化する。
ソーズでは複雑なので、場合分けする。まずはツモ1s、4s、2sだ。
ツモ → 打 → テンパイの待ち
1s → 6s → リャンメン単騎14s
4s → 6s → リャンメン単騎14s
2s → 6s → リャンメン25s(2種5枚の亜リャンメン、2s×1枚+5s×4枚)
リャンメン単騎や亜リャンメンが発生する。以上の3種は678pの周辺牌をツモるのと同様だ。
(なおツモ3sでは123s + 3s になり、単騎待ちだ(または12s + 33s のペンチャン待ち)。1sの外に0sはないので、亜リャンメンが発生しない。234s + 3s としても単騎待ちだ(3枚使って残り1枚))。
ツモ → 打 → テンパイの待ち
5s → 2s → リャンメン単騎36s(2種5枚)
(5s → 6s → リャンメン単騎25s(2種5枚)も可)
(5s → 1s → シャンポン22s33s(2種4枚)も可)
ツモ5sは複雑だ。まず234s + 6s の飛び石形に5sが入り、リャンメン単騎が2通り作れる。
意外なのはシャンポン待ちにもできることだ。そもそもは単騎6s待ちのテンパイだが、1s + 22s + 33s + 46sと切り分け、トイツ+トイツ+カンチャンのイーシャンテンにも取れる。そのためツモ5s → 打1s → シャンポン22s33s待ちに進む。
(ただし、テンパイの手牌をあえてイーシャンテンの手牌と見る技術は、初心者には完全にはできなくてよい。「シャンテン数の数え方」の原則に反する手牌の切り分け方だからだ。両者を使い分けようとするとかえって混乱する。234s + 6s にツモ5s でリャンメン単騎が2通り発生することを見抜ければ、とりあえずは十分だ)
冒頭の一節を繰り返す。「終盤(捨牌3段目)に入ると、残りツモ山が22枚だ(残りツモは6回)。手変わりしてのアガリは難しくなる。流局率が高まるため、アガリは半ばあきらめ、愚形テンパイを取ってでもテンパイ料収入を狙う価値が高まる」
終盤ではテンパイ料収入を狙う単騎待ちテンパイに進んでよい(もちろん、他家のリーチや2副露が出たら、オリへの転換も考える。1,000点や2,000点の愚形副露テンパイでは、終盤でオリが有利になりやすい)。
他には「迂回」として使える。他家にリーチされたものの、6sと7sが現物の場合、いったん打7s → 単騎6s待ち → ツモ5s → 打6s、として安全に2巡テンパイを取れる(いわゆる回し打ち)。
4sが現物の場合、打7s → 単騎6s待ち → ツモ5s → 打1s、とスジを打って放銃率を下げるテンパイも可能だ(現物ではないので、放銃の可能性はあることに注意。特にスジの3・7牌はカンチャン待ち、ペンチャン待ち、シャンポン待ち、と愚形テンパイの待ちになりやすい)。ピタリとはまる状況はそうそうないが、迂回路の存在を知ると知らないとは大違いだ。
余談だが、中張牌での単騎待ちテンパイを即リーチするのは、以上の好形変化を全て捨てるので損になる(8種以上の好形変化があるなら、変化を待つほうがよい)。副露手ではテンパイの後に待ちを変えられるので、好形変化についても調べることだ(ただしフリテンには注意)。
(本稿終わり)
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