イキりの福姫22-雀魂2024秋の四半期(非番-福姫、当番-南楓花)
雀魂のキャラ「福姫(フージー)」でイキった対戦を振り返っている。初心者向けの技術解説に適した内容なので、いくつかnote記事にしたい。
今回はヘッドレス形イーシャンテン形の基本形を解説する。
<ヘッドレス形イーシャンテン形の基本形に進んだ>
上掲の対戦から、東4局1本場で基本形が現れた。今回の手牌は単純な構造だ。後日発展形を解説するので、基本形と発展形の差を見比べてほしい。なお今回は福姫が非番で、代わりに「朱雀の女」南楓花に出ていただいた。
<東4局1本場>
<1巡目>
ツモ4m → 打9m。
メンツ→トイツ→ターツの順に手牌を切り分ける。
234m + 赤567m + 23p + 赤567p + 4s + 8s
メンツが3個ある。トイツが0個ある。ターツが1個ある。この手牌はイーシャンテンだ(8 -(2 + 2 + 2 + 1)= 1)。
3メンツ+ターツ+2孤立牌で、ヘッドレス形イーシャンテン形だ。孤立牌が雀頭になるか、ターツがメンツになるとテンパイする。今回、孤立牌の周辺にシュンツや暗刻がなく、純粋な孤立牌が2枚残った。これがヘッドレス形イーシャンテン形の基本形だ。
→牌記号入力
234067m23067p48s
ドラ3m
→牌記号変換
→有効牌を表示する(七対子・国士含まず)
→有効牌をツモった手牌
→「この手牌を牌理で使う」で一手進みます。
この手牌はイーシャンテン。有効牌は4種14枚。枚数だけならリャンメン×2のイーシャンテン形(4種16枚)相当にある。
各有効牌とテンパイへの進行を確認しよう。
ツモ → 打 → テンパイの待ち
4s → 8s → リャンメン14p
8s → 4s → リャンメン14p
1p → 4s(8s) → 単騎8s(4s)
4p → 4s(8s) → 単騎8s(4s)
好形テンパイする有効牌→2種6枚(4s、8s)
愚形テンパイする有効牌→2種8枚(1p、4p)
好形テンパイ:愚形テンパイ≒4:6
(42.9パーセント:57.1パーセント)
ヘッドレス形イーシャンテン形の基本形はやや愚形テンパイしやすい。しかし、単騎待ちテンパイしても慌ててリーチを打たない。ダマテンにして準好形テンパイへの手変わりを待つ。一般的に、単騎待ちからの好形変化は豊富だ(以降で解説する)。
手変わりを含めれば、案外と好形テンパイを狙いやすい。しょうもない形だと馬鹿にせず、イーシャンテンに進めてテンパイを待とう。
ヘッドレス形イーシャンテン形の基本形を解説した書籍や動画は不思議と見つからない。あまりに簡単で、話題にするのが馬鹿馬鹿しいからだろう。
しかしこの形はツモの成り行きによっては出てくる。運よく好形テンパイコースを掴んで即リーチできるかもしれない。また少しひねって、孤立牌の周辺にシュンツや暗刻があると発展形になり、有効牌の枚数が増えたり好形テンパイ確率が上昇する。
そして以下のような最上の発展形2つについても、有効牌を見つけるきっかけをつかめるだろう。
・暗刻があって雀頭がない、ヘッドレス形イーシャンテン形
(3メンツ+2ターツ、メンツのうち1つは暗刻)
・シュンツとターツの連続形がある、ヘッドレス形イーシャンテン形
(3メンツ+2ターツ、シュンツとターツが連続・重複する)
麻雀講座動画の大御所の一人、平澤元気さんが最上の発展形を解説している。「受け入れがバチクソに広い」(11:40-)の一言で、当時初心者の私は(2020年、雀魂を始めて雀士の頃)「ヘッドレス形イーシャンテン形」に視線を持っていかれた。
ヘッドレス形イーシャンテン形の基本形は決して底の浅い形ではない。牌効率の書籍や動画でもっと取り上げたほうがよい。まずは私が取り上げていこう。
<2巡目>
ツモ4s → 打8sリーチ → リャンメン14p待ち。
いきなり理想的なツモが来た。好形テンパイしたので即リーチする。満貫が確定だ(子30符5翻、リーチ・ピンフ・ドラ1・赤2)。ツモか裏1で子跳満ドライバーになる。
今回の手牌ではピンフの役が確定したので、役ありダマテンでの出アガリができる。ダマテンでも打点は満貫だ(ロンアガリで7,700点。子30符4翻、ピンフ・ドラ1・赤2)。リーチ、ダマテンのいずれを選んでも構わない。
少々話が逸れる。平澤さんが「ダマテンの使い所」を解説している。
「(ピンフの1翻を含まずに)3翻以上の役ありテンパイしたとき」
→打点が5,200点(子40符3翻)以上ある
→ダマテンに「してもよい」
(リーチすると満貫になるが(子40符4翻)、打点上昇率は1.5倍で2倍に満たないため。ただしリーチが「悪い」と言うほどではない)
例、タンヤオ・ドラ2(子40符3翻)→ダマテンにしてもよい
ロンアガリ→5,200点(子40符3翻、タンヤオ・ドラ2)
ツモアガリ→2,000 - 2,000 - 4,000点(子30符4翻、タンヤオ・ツモ・ドラ2)
上記に該当しない状況として、ピンフを含んだ3翻がある。
「(ピンフの1翻を含めて)3翻の役ありテンパイしたとき」
→打点が3,900点(子30符3翻)ある
→リーチ推奨
(リーチすると満貫になる(7,700点、子30符4翻)。打点上昇率は2倍になり、リーチの打点上昇効果が大きい。ダマテンにしてツモると、ピンフ・ツモ+2翻のため、4翻ながら満貫にならない)
例、ピンフ・ドラ2(子30符3翻)→リーチ推奨
ロンアガリ→3,900点(子30符3翻、ピンフ・ドラ2)
ツモアガリ→1,300 - 1,300 - 2,600点(子20符4翻、ピンフ・ツモ・ドラ2)
ピンフを含んだアガリでは打点が低くなる。点数計算のルール上、ピンフを含んだアガリの打点は例外事項として低く設定される。
平澤さんは麻雀講座のあらゆる分野で著書を記している。この人には伊藤和夫(故人)が重なって見える。伊藤和夫は駿台予備校の英語科講師で、大学入試の英語学習について多岐にわたる著書を記した(英日翻訳のさわりとなる内容の著書「英文和訳演習」もある)。
私は彼の生涯の晩年に駿台予備校の春期講習、冬期講習を受講した(1993/03、1994/01)。「地球の直径の4000万分の1」という訳がどこから出てくるのか、これは意訳なのか、と当人に質問しに行った。「地球の赤道から北極までの子午線(経線)の長さの1000万分の1を1メートルと定めた、メートル法制定の経緯から訳出した。この訳出には言外の知識を使っている」旨の回答を今も覚えている。
伊藤和夫の肉声が残っている。受験英語指導者の立場から英語学習者に一家言申しているので、聞いてみると面白い。
<14巡目>
本題に戻る。
ツモ、4,000 - 4,000 - 8,000点(子20符8翻)。
高めの4pをツモってタンヤオがつき、さらに裏1もついた。前局でテンパイから親満貫放銃して苦しかったが、子倍満ドライバーで盛り返した。平たい点数状況に戻り、誰が4位落ちするか分からない。
ピンフ・ツモ+2翻 → 1,300 - 1,300 - 2,600点(子20符4翻)
ピンフ・ツモ+3翻 → 2,000 - 2,000 - 4,000点(子20符5翻)
ピンフ・ツモ+4-5翻 → 3,000 - 3,000 - 6,000点(子20符6-7翻)
ピンフ・ツモ+6翻 → 4,000 - 4,000 - 8,000点(子20符8翻)
ピンフ・ツモ+2翻では打点が低いが、+3翻以上なら満貫、跳満、倍満、となる。合計5翻以上あれば、ピンフの有無は点数計算に影響しない。
<備考、単騎待ちテンパイしたらどうするか-好形変化の一例>
さて、テンパイの中には単騎待ちがあった。
ツモ → 打 → テンパイの待ち
1p → 4s(8s) → 単騎8s(4s)
4p → 4s(8s) → 単騎8s(4s)
ヘッドレス形イーシャンテン形の基本形では、単騎待ちへの進行がある。単騎待ちになったら慌ててリーチを打たない。ダマテンにして準好形テンパイへの手変わりを待つ。一般的に、単騎待ちからの好形変化は豊富だからだ。
ツモ → 打 → テンパイの待ち
8p → 4s(8s)→ リャンメン単騎58p(5p×3枚、8p×3枚)
7p → 4s(8s)→ リャンメン47p(4p×4枚、7p×2枚の亜リャンメン)
5p → 4s(8s)→ リャンメン58p(5p×2枚、8p×4枚の亜リャンメン)
4p → 4s(8s)→ 三門単騎147p(1p×3枚、4p×3枚、7p×3枚)
上のような、赤567p周辺の変化が典型例だ。シュンツの周辺牌をツモると、リャンメン単騎や亜リャンメンに好形変化する。純粋な単騎待ち(1種3枚)よりツモに期待できる。シュンツ1つにつき、周辺牌4種14枚で好形変化する。
今回の手牌ではシュンツが4つある。
・赤567p
・123p
・赤567m
・234m
それぞれのメンツの周辺牌をツモると、どのような好形変化になるだろうか。タケオしゃんの牌効率・牌理ツールで調べてみよう。
→牌記号入力
234067m123067p8s
ドラ3m
→牌記号変換
→有効牌を表示する(七対子・国士含まず)
→有効牌をツモった手牌
→「この手牌を牌理で使う」で一手進みます。
ツモ1p→打4s→単騎8s待ちテンパイへ進めたとしよう。ここへツモ8p、7p、5p、4p・・・と試す。好形変化する牌を以下の画像にまとめる。
<単騎待ちからノベタンリャンメンへの変化-複雑な牌理を象徴する形>
好形変化の全てを解説すると長くなるので割愛する。ただし以下の2つのツモは要注目だ。
ツモ → 打 → テンパイの待ち
4m → 8s → リャンメン14m + リャンメン単騎47m(1m×4枚、4m×2枚、7m×3枚)
5m → 8s → リャンメン単騎25m + リャンメン58m(2m×3枚、5m×2枚、8m×4枚)
234m + 4m + 赤567m(+ 123p + 赤567p)
メンツ→トイツ→ターツの順に手牌を切り分ける。
原則的には単騎4m待ち
→孤立牌の4m周辺に赤567mがある
→4赤567mの四連形の構造が生まれる
→シュンツのスライド現象を利用して、リャンメン単騎47m待ち
→孤立牌の4m周辺に234mがある
→2344mの亜リャンメンの構造が生まれる
→手牌全体を3メンツ+雀頭+ターツに切り分けてもテンパイする
→23m+44mに切り分け、リャンメン14m待ち
リャンメン単騎と亜リャンメンが複合した変則三門待ちだ。この形には特に名前がついていない。名無しでは手牌を想像しにくいので、私はノベタンリャンメンと呼んでいる。リャンメン単騎(ノベタン)と亜リャンメンが複合しているからだ。
単騎待ちテンパイの手牌の中で2つのシュンツが連続していると、この好形変化が生まれる。牌理の複雑さを象徴する形だが、手牌の切り分けのいい練習になるので覚えよう。
<単騎待ちからの好形変化は複雑だ-経緯を一歩づつ確かめよう>
余談ながら、単騎待ちからの好形変化について「イキりの福姫21 補遺01」で別の事例を詳説している。<備考、単騎待ちテンパイしたらどうするか-4赤56p周辺の好形変化>以降の計4節をご覧いただきたい。好形変化の中には多面張が生まれるややこしいものもある。
なかなか手強いので、テンパイの経緯を一歩づつ確かめよう。
メンツ→トイツ→ターツの順に手牌を切り分ける
→メンツの抜き方が複数ある場合、それぞれを試す
→実際に牌を並べ、ツモ→打→テンパイの待ち、と順を追って確かめる
→頭の中だけで考えると分かりにくいが、手を動かしながら考えると記憶に残りやすい
牌を握って動かしながら、私の文章を読み上げてみよう。この方法は英語の聞き取り能力を養成するノウハウの流用だ。1週間後に1回、2週間後にもう1回繰り返すと記憶が定着し、即座に思い出せ、頭より先に手が動くようになる。
<終わりに-ツモ1枚で入れ替わる-「ヘッドレス」と「くっつき」は硬貨の裏表のような関係>
最後に、もう一度「ヘッドレス形イーシャンテン形の基本形」を見よう。
メンツ→トイツ→ターツの順に手牌を切り分ける。
234m + 赤567m + 23p + 赤567p + 4s + 8s
メンツが3個ある。トイツが0個ある。ターツが1個ある。この手牌はイーシャンテンだ(8 -(2 + 2 + 2 + 1)= 1)。
3メンツ+ターツ+2孤立牌で、ヘッドレス形イーシャンテン形の基本形だ。
ここには意外な変化がある。
ツモ → 打
2p → 8s
メンツ→トイツ→ターツの順に手牌を切り分ける。
234m + 赤567m + 22p + 3p + 赤567p + 4s
メンツが3個ある。トイツが1個ある。ターツが0個ある。この手牌はイーシャンテンだ(8 -(2 + 2 + 2 + 1)= 1)。
3メンツ+雀頭+2孤立牌で、くっつきイーシャンテン形だ。孤立牌周辺の牌をツモると、トイツやターツが発生してテンパイする。
今回、孤立牌の3pの周辺に雀頭があり、リャンメントイツの構造が発生する。まずはリャンメントイツ+孤立牌のくっつきイーシャンテン形だ。
そして3pの周辺には赤567pもあり、3赤567pの飛び石形の構造が発生する。飛び石形+孤立牌+雀頭のくっつきイーシャンテン形でもある。
「ヘッドレス形イーシャンテン形の基本形」と「くっつきイーシャンテン形」は、ツモ1枚で入れ替わることがある。硬貨の裏表のような関係だ(ツモ3pでも同様に入れ替わる)。
→牌記号入力
234067m223067p4s
ドラ3m
→牌記号変換
→有効牌を表示する(七対子・国士含まず)
→有効牌をツモった手牌
→「この手牌を牌理で使う」で一手進みます。
この手牌はイーシャンテン。有効牌は11種39枚。完全イーシャンテン形(6種20枚)の約2倍ある。
好形テンパイする有効牌→5種17枚(2p、4p、3s、4s、5s)
愚形テンパイする有効牌→6種22枚(1p、3p、5p、8p、2s、6s)
好形テンパイ:愚形テンパイ≒4:6
(43.6パーセント:56.4パーセント)
好形テンパイ確率については、ヘッドレス形イーシャンテン形の基本形と同等だ。ただし有効牌の枚数は約3倍に増えた。リーチの平均順目の9巡目が近づいたら、先制リーチの機会を取るためこちらに変化させてもよい。捨牌3段目(13巡目以降)は、テンパイ料収入を得るため、愚形テンパイの機会も拾えるこちらに変えたい。
なお、ヘッドレス形イーシャンテン形の基本形は、単騎待ちからの手変わりを含めれば好形テンパイを確実に狙える。どちらを選んでも運のアヤが勝負を決めるだろう。
(本稿終わり)