見出し画像

【2018夏の高校野球群馬大会決勝】健大高崎VS前橋育英の試合結果、感想と新井監督の采配について

【試合結果】
群馬決勝:健大高崎5-6前橋育英
健大300 002 000=5
育英100 100 031=6
※前橋育英は3年連続4度目の優勝

・投手
健大高崎:吉田→久保田→藤原
前橋育英:恩田

【試合中のツイートまとめ】

【感想】
現在の群馬を代表する二校による決戦。
試合中に実況の方も仰っていた、「全国大会レベルの試合が県大会で観れる」という言葉がピタリと当てはまる試合。

その前評判と期待にたがわぬ熱戦が繰り広げられ、どちらが勝利してもおかしくない試合。

色んな県の大会を観戦しているが、両校に言えるのは身体の大きさが他県とは段違い。
やはり関東の強豪校ともなると、縦も横も高校生離れした選手が多かった。これは埼玉の浦和学院と花咲徳栄高校のナインを観ても感じたことだが、やはり現在の高校野球の中心には関東がいるなという印象を強く抱いた試合だった。

試合展開としてはどちらが勝ってもおかしくなく、甲子園でベスト8~16に進出する力を有しているように感じた。
ただ、優勝候補になり得るかというと、微妙なところ。
投打共に好チームではあるが、甲子園を圧倒的に勝ち抜く力はない。

ただ、優勝の可能性がゼロかと言われるとそうではない。
理由は甲子園の大会を勝ち抜く中で、選手とチームは見違えるほど大きく成長するからだ。

前橋育英が2013年に初出場初優勝した時も、エース高橋光成がいたものの、最初から圧倒的だったわけではない。
この試合では前橋育英にしては珍しくミスが目立ったので、きっちり修正して、夏の選手権に挑んで欲しい。

【新井監督の采配について】
この試合、前橋育英は終盤に新井監督の神懸かり的な采配で、勝負を制した。

8回裏の3点ビハインド、無死1、2塁。
監督としてはヒッティングか、送りバントか非常に悩ましいところ。
新井監督は送りバントを選択し、次打者に代打を送り出し、見事2点タイムリー。
その代打に選手に代走を送り、その選手がセンター前の微妙な当たりで俊足を活かしてホームに生還して同点をもぎ取った。

実はタイムリーが出たあとの1死2塁で、8番に投手の恩田選手の打席では代打を送っていない。
1点ビハインド、一気呵成に同点を狙う策もあったが、9回表を考慮して恩田選手を替えなかったのだ。
その結果、恩田選手は9回表にピンチを招きながらも無失点。
9回裏のサヨナラ勝利を呼び込んだ。

結果を残せば選手が褒められ、結果を残せなければ監督が非難される。
選手がよくやったと言えばそれまでだが、この試合では新井監督の冷静さと勝負師としての読みが見事にハマった形となった。

私は高校野球で監督の采配を非難するのが非常に嫌いだ。
たまたま大きな大会(ほとんどは甲子園)の1試合を見ただけの人が、約2年半選手を見てきた監督の判断をどうこう言えないだろうというのがその理由。

監督とチーム、選手は様々な局面を別の大会や練習試合、練習で経験しており、選手の技術や性格は様々。

バントが苦手なセカンド、左投手が得意な左打者、カーブ打ちの名手、ストレートには滅法強い、緊張しがちな選手、ここぞで勝負強いタイプ、体調不良...

様々なことの重なりで、監督さんは選手起用や攻撃采配を選択する。
なので、野球のセオリーの全てが、そのチームや試合において適切とは言えない可能性がある。
にも関わらず、べき論だけで選手や監督を批判する人のことが、私はどうも好きになれない。

恐らく今日の新井監督の采配にも、1年間チームを見てきて、2年半選手と触れ合い、数十年野球に携わってきた中で生まれた、名采配だったのだろう。

あまりにも新井監督の采配が素晴らしかったので、この試合の感想とあわせて、高校野球の監督采配批判について、持論を述べてみた。

よろしければ、100円からでもサポートをお願いいたします! 頂いたサポートは野球コラム執筆に関わる活動(チケット代、交通費、野球書籍購入など)に利用させて頂きます。 使用用途のお願い(MLBや韓国野球の取材、野球書籍レビューなど)がありましたら、コメント頂けると幸いです。