【2018夏の高校野球長崎大会決勝】創成館VS海星の試合結果、感想と甲子園注目選手
【2018夏の高校野球長崎大会決勝】
秋の神宮準優勝、春の選抜ベスト8の創成館。
対するは、長崎高校野球界の名門・海星。
実力校同士の一戦となった。
心情的には創成館がどこまで夏やれるのかを見たいので、創成館に肩入れしながらの観戦。
【試合経過】
・1回表
創成館が電光石火の攻撃で先制。
1番の核弾頭・峰のスリーベースと2番鳥飼の犠牲フライで1点選手。
「初回に点を取れるように打線を組む」稙田監督の哲学と起用がピタリとハマった形。
・1回裏
三者凡退で無得点。
先発はエースナンバー1を付ける川原。
継投ありきの創成館にあっては、やや目立っていないものの、やはり軸となる存在。
ゆったりとしたスローカーブと、質の良い速球を低めにコントロール。
立ち上がりは上々。
・2回表
無得点。
海星の荒木投手は145キロを記録。
上背も高く、まだ2年生。
2019年にはドラフト候補として、長崎と九州を代表する投手になれるポテンシャル有り。
・2回裏
連携ミスもあって2死1、3塁のピンチを招くも点は入らず。
・3回表
2死からヒットと盗塁で2塁にランナーを進めるも、無得点。
荒木投手は左打者のインサイドの縦スラが決まり始めた。
左打者にとってはかなり厄介。
・3回裏
三者凡退で無得点。
川原投手は左打者の外へのスローカーブ、右打者の外へのチェンジアップなど、変化球を巧みに投げ分ける。
牽制で走者を誘い出すなど、投球センスが光る。
・4回表
先頭ツーベース、送りバント、川原のタイムリーで追加点。
川原は打者としても、この日二本目の安打を放つ。
本当にセンスがある。
・4回裏
三者凡退。
創成館は守備も上手い。
創成館としては、川原が良すぎるのと海星打線がタイミングを取れていないだけに、継投のタイミングが逆に難しい。
・5回表
三者凡退で無得点
・5回裏
ランナーを出すも無得点。
4回の牽制死に続き、盗塁死。
海星高校は出塁したランナーを上手く活かせない。
・6回表
クリーンアップから始まる回を三者凡退。
荒木投手の縦スラとストレートのコンビネーションが冴えてきた。
・6回裏
先頭打者の荒木に代打。
その代打の小野がレフトスタンドに放り込むソロアーチで1点差。
続く1番松尾が内野安打と守備のミスで2塁へ。
2番坂本の犠打で1死3塁のチャンスを作るも、三番太田、四番方尺が三振。
同点のチャンスを逃す。
結果論だと、2番坂本の送りバントがどうだったのか。
三番の太田選手は左打者で、それまで川原投手に2三振。
結果的に三打席連続三振に終わった。
一方、2番坂本は右打者で今大会それまで16打数10安打と好調。
監督の難しいところだが、結果的には2番坂本ヒッティングも見てみたかった。
・7回表
先頭出塁、犠打、タイムリーで創成館が貴重な1点を追加。
・7回裏
三者凡退。
継投がストロングポイントの創成館だが、この試合はエース川原投手の出来にかけるか。
・8回表
無得点。
創成館は守備の固さと投手力は高いが、打線に不安が残る。
以前ブログにも書いたが、どちらかというと春型のチーム。
高い打力が求められる選手権で勝ち抜けるのかは、疑問が残る。
・8回裏
無得点。
川原投手の投球数は105球。
9回は2番から始まる好打順。
海星の上位打線はタイミングが合っていないように感じるが、ここまで安打がないのも逆に不気味。
9回にランナーが貯まるようなことがあれば、監督の継投判断にも注目したい。
・9回表
2死満塁から押し出し、タイムリー内野安打で3点追加。
海星としてはあまりにも重すぎる失点となった。
3アウトを取った後に、ベンチ前で泣き崩れそうになる鵜瀬投手が印象的だった。
・9回裏
無死1、2塁のピンチを招くものの、その後は三人で抑えて川原投手が完投。
投手の状態や状況によっては完投もさせる、稙田監督の判断も光った。
【試合結果】
長崎決勝:創成館6-1海星
創成100 100 103=6
海星000 001 000=1
※創成館は3年ぶり2度目の甲子園
・投手
創成館:川原
海星:荒木→小林→鵜瀬
・本塁打
創成館:
海星:小野
【感想】
堅実な試合巧者。
創成館の野球を端的に表すならこの一言に尽きる。
1人の1人のポジショニングや身のこなし、隙のない走塁、上位打線も進塁打、追い込まれたらノーステップ打法に切り替えるツーストライクアプローチ...。
高校野球で勝てるチームのお手本のような野球の完成度は非常に高い。
あとはこの品のある野球に、パワフルさが出てくるから。
この試合では4番杉原に当たりが出なかっただけに、選手権までに挑戦して欲しい。
選抜で見せたような、ダブル智弁と互角に渡り合った強打が出てくると、甲子園ベスト8以上の可能性も高い。
【創成館の甲子園注目選手】
・川原 陸 左投左打
6人の投手を擁する創成館だが、エースと言えばこの川原投手。
大事な試合では先発を任されることが多い。
184センチの大型左腕ということもあり、注目され続けてきた投手。
目を見張る速球はないものの、130キロ後半の速球と変化球をコンスタントに投げ込む。
牽制、クイック、フィールディングも問題なし。
中学時代は打撃を買われて外野手として全日本に選ばれるなど、打撃も優れる。
決勝戦では、3安打を放ち野球センスの高さを発揮した。
ただ、走力は微妙で、打撃も長打力があるわけではないことを考えると、今後は投手としての道を歩んでいきそう。
高卒即プロはなさそうなので、今後進学して可能性を拡げてほしい。
・峯圭汰 右投右打
1番センターを任される創成館の核弾頭。
松山、杉原、松浪、野口らの勝負強いクリーンアップの前にいかに彼が出塁できるかが、創成館の得点力に大きく左右する。
優れた一番バッターの条件の一つである、「出塁するとチームに勇気と勢いを与えられる」存在。
センターの守備でも、スピードを活かした前への強さ(打球勘の良さ)が目立つ。
プロ入りを狙える逸材ではないが、今後アマチュア野球界で長く活躍していくだろう。