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【2018夏の高校野球熊本大会決勝】東海大星翔 VS熊本工業の試合結果、感想と甲子園注目選手

【2018夏の高校野球熊本大会決勝】

近年は秀岳館や九州学院、文徳、済々黌などの勢いに押されて低迷気味だった熊本の名門・熊本工業。
今世代も夏の大会まではなかなか成績が出なかったものの、打線が爆発して決勝まで全試合コールドで決勝進出。

過去決勝では4度戦った東海大星翔との対戦。

熊本工業が勝てば5年ぶり21回目の甲子園、東海大星翔が勝てば35年ぶり2回目の甲子園出場をかけた一戦となった。

【試合経過】

・1回表
1死から四球、死球、併殺崩れで2死1、3塁とし、ワイルドピッチの間に1点が入る。
熊本工業の林投手は2年生には見えない身体つきが魅力。
2019年の熊本を代表する選手になれる素材。

・1回裏
いきなり1~3番の3連打であっという間に同点。
熊本工業は評判通りの打線で、打球速度が速い。
ただ、その後の無死1、2塁のピンチは併殺、ショートゴロで切り抜ける。
東海大星翔の山下投手は安打こそ浴びたものの、変化球のキレは良い。
右打者のインコースにも臆せず投げ込めており、乗ってくると厄介そう。

・2回表
三者凡退で無得点。
熊本工業の林投手は下位打線相手にようやく落ち着い投球を見せる。
阪神岩貞投手のような投球フォームで、縦ぶりの状態移動が特徴。
まだまだ2年生なので、今後チェンジアップを覚えるとスライダーが更に活きる。

・2回裏
2死3塁から9番林のタイムリースリベース、セーフティーバントで熊本工業が2点勝ち越し。
その後ピッチャー返しの打球が山下投手に直撃して、約10分に渡り治療のため中断。
投手交代も心配されたが、戻ってきた山下投手が2死1、2塁のピンチを切り抜ける。

・3回表
先頭打者がヒットで出塁。
続く2番打者はバントの構えはなく強攻。
東海大星翔としては、5点以上入る試合を想定したような戦術をとる。
山下の状態も考慮して、点の取り合い覚悟といった様子。
その監督の期待に応え、2番中島がセンター前にタイムリー。
その後無死1、2塁となり、2年生4番バッター竹下が逆転のスリーラン。

・3回裏
ランナーを1人出すも無得点。
熊本工業打線は山下の縦スライダーの見極めに苦労している印象。
ただ、山下投手は苦しそうに投げているので、中盤以降に攻略の糸口が出てきそう。
実際、この回はアウトになったものの、外野に捉えた飛球が連発。
継投の判断も試合の鍵を握る。

・4回表
1死から1、2番が連打で出塁。
2番中島選手はこの打席もバントはなく、ヒッティングで三遊間を痛烈に破るヒット。
左投手のインローの速球を上手く捉えたのを見るに、相当打撃センスは高い。

その後、試合の流れを決定的にする追加点が期待されたが、3、4番が連続三振。
熊本工業の林投手が開き直った投球で、ピンチを乗り切った。

・4回裏
三者凡退。
案外こういう試合は、中盤以降点が入らない展開になることもある。

・5回表。
先頭打者が内野安打で出塁後、6番釜賀が送りバント。
打つときは打つ、送るときは送る。
野中監督のメリハリの効いた戦術が光る。
2死1、2塁とチャンスを拡げるものの、無得点。

・5回裏
ランナーを1人出すものの、無得点。
予想した通り、試合が膠着し始めた。
これから何かが起こるグラウンド整備明けの6回。
次の点をどちらが先に取るのか。
先攻の東海大星翔は先に点を取っておきたい。

・6回表
1死から1、3塁のチャンスを作ると、熊本工業は林→永田にスイッチ。
最初にバッターに四球で1死満塁となるが、後続をサードゴロ併殺でピンチ脱出。
継投策成功が、裏の攻撃に流れを呼びそう。

・6回裏
先頭打者の出塁後、次打者の何でもないショートゴロを悪送球で無死1、3塁のチャンス。
四球が絡んで無死満塁のピンチを招くが、併殺崩れの1点のみに抑える。
ピンチで山下が粘りの投球。
三振を奪った、左打者のインコースへのチェンジアップ気味の球は、今日最高のボールと言える。

・7回表
先頭打者がツーベース、次打者進塁打で1死3塁。
続く遠山のタイムリーヒットで、再び2点差。
追い上げられた後に、6~8番の下位打線で点を取れたのは大きい。

・7回裏
3番打者から始まるイニング。
1人ランナーを出すものの、併殺もあり結果的に三者凡退。
山下投手は疲労感は否めないが、力感が抜けてスライダーが上手く低めに制球されている。
残り2イニング。

・8回表
2死から4番竹下のヒットが出るものの、無得点。
竹下は右のサイドスロー投手の外のスライダーを、軽打でライト前安打。
2年生ながら対応力の高さもある。

・8回裏
無得点。
熊本工業は山下のスライダーに中盤以降全くタイミングが合わない。
なお、東海大は主砲の3番打者菊田を下げて、ライトに守備固めの選手を起用。
2点リードを文字通り守りに行く。

・9回表
2死1、3塁のピンチを招くも無失点。

・9回裏
2死からランナーを出して嫌な雰囲気が出るものの、最後はエース山下が抑えて無失点。
完投で甲子園に導く。

【試合結果】
熊本決勝:東海大星翔6―4熊本工業
東海 104 000 100=6
熊工 120 001 000=4

※東海大星翔は35年ぶり2回目の優勝

・投手
東海大星翔:山下
熊本工:林→永田→山口

・本塁打
東海大星翔:竹下
熊本工:

【感想】
昨年の代表校・秀岳館のレギュラーだった半情選手が下記のようなコメントをつぶやき。

私は昨年の九州学院VS秀岳館の決勝戦も観ていましたが、非常にレベルの高い試合でした。
2年続けてこれだけの試合が決勝戦で見られるとは。
しかも、今年の決勝戦は去年とは全く異なる2チーム。

色々批判を受けることもあったが、「打倒!鍛冶舎秀岳館」を掲げたことで、熊本県全体のレベルは上がった印象。

戦力や実力的には甲子園優勝を狙うほどではないが、ベスト8前後は十分ありそうなチーム力。
激戦区熊本を勝ち抜いた力を発揮して欲しい。

【東海大星翔の甲子園注目選手】

・山下朝陽投手 左投左打
身長180センチの大型左腕。
ストレートの球速は140キロ前後。
驚くような変化球やスピードボールがあるわけではないが、それぞれのボールを破たんなく投げられるバランス型の投手。

右打者の内角を突きつつ、変化球は低めに集められる。
左右の打者どちらも苦にしないタイプ。
熊本大会を全試合先発しており、甲子園では山下の出来がチームの結果を左右するのは間違いない。

素材的には高卒プロは厳しそうだが、大学進学後の成長に期待したい。

・竹下翔梧内野手 右投右打

2年生ながら4番を任されて、大会打率6割超え、本塁打3本を放った右の長距離砲。

2017年の大分明豊・濱田太貴のように、全国的には無名の存在から一気にブレイクしそうな素材。
全国の好投手相手にどんな打撃をするのか。

身長も183センチと大柄で、甲子園での活躍次第では、世代でも屈指の右の大砲になるかもしれない。


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