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九州での怪綺談

 これを読んで下さっている方々は、何故私が九州に言っていたのかご存じの事と思い経緯は何故九州の旅館かは省略します。

 その旅館の裏手に私の親戚が住んでいた家が隣接しているのですが、私は玄関に手を伸ばした瞬間酷い悪寒を感じました。「この家に入ってはいけない」と私の本能が教えてくれましたが、ご仏壇がこの家にあり入らざるを得ませんでした。

 家の中は仄暗く 空気が冷たく重い

 仏間に通され お二人に線香をあげた後、司法書士の方から色々なお話を聞きました。大女将は私の父の妹に当たり、私の父が死んだあと父の遺産を(私の後見人として)相続し、この旅館を始めたそうです。

 だから実質私に本来権利があると言われました。その司法書士の方の考えでは、私が怪我が元で死んでくれることを望んで当時あんな扱いをしていたのではないかとのこと。

 色々お話を聞いている最中、障子に女性の影が行ったり来たりしている。それも複数人。私の事が気になるらしく、障子越しに私の言動を窺っている。
 私も美由紀ちゃんに私のと同じ水晶を所持していたので、余計に私に近寄れない様子だ。
 その影のほかに部屋の隅を、人差し指のようなものが徘徊している。それも3体?。
現在この家は昔からここに仕えていた人が、管理しているとのこと。その管理している人が、私を見るや否や息をのみずっと下を向いている。後で聞いた話だが、その人は私が虐待をされている時の事を知っているとのこと。そして 私が父の顔によく似ているそうだ。

 その人の話では叔母(大女将)は私の父を妬み、当時 懇意にしていた占い師に父の死を依頼したそうだ。父が山や土地、そして価値ある骨董品の数々を一人で相続したことが妬みの原因だったらしい。

 その人は当時私に食事を運んでくれていたそうで、私が今現在 元気でいある事を喜んでくれ当時私を助けられなかったことを詫びたくれた。私にとっては現在の自分を作ってくれた環境だったのだから別に気にしないでくれるよう言った。

 影たちは私を父と勘違いしているようで「なぜ来た、何しに来た。また全部お前が持っていくのか。」と低い声で言っている。哀れだ。財に囚われ人を恨み、悪霊化寸前まで行ってしまった叔母たちの影を見てそう思った。

 私は東京に帰る迄 敢えてここに滞在することにした。

 日中は様々な種類整理と司法の種類作成をし、夜はこの家とこの付近に溜まっている瘴気を浄化することにした。どこまで出来るかわからないが、今の私ならそれが出来そうな気がした。

そうしないと 次にここの場所を使う人達に迷惑が掛かってしまうことは自明の理だったから。

 手続き等は1週間前後で終了したが、瘴気の方は時間がかかった。敷地内の東西南北に気を込めた水晶を埋め、閉じ込めた悪い気を私が吸収浄化の作業を夜な夜なやっていた。お陰で体重がかなり減った。

 10日ぐらいして 近隣の神社の関係者と名乗る男女が私のもとに現れた。彼らは非常に強い気を数日前から感じ、その気を辿ってここに来たそうだ。私は事情を説明し、その作業ももう直ぐ終了する事も伝えた。

 彼らは私にこの様なことを生業とする気はないかと尋ねてきた。私の能力は彼らからすると人のものではないそうだ。それともう一つ気になることを言っていた。

「失礼な言い方ですみませんが、貴方は「人」ですか? 貴方から感じるものは「人」のそれとは全然違う。「神」とも「精霊」の類でもない。今まで感じたことが無い感覚です。」と言われた。

 確かに私は作られた「モノ」だからそう思うのは無理はないだろう。しかし、敢えてわからないふりをした。説明しても理解できないだろうから。

 全て浄化し東京に帰る日、彼らはまた現れた。今後この地は彼らが気にかけてくれるとのこと。そして彼らなりに私を調べたそうだ。
 私の父に地脈を司る地龍の力があったこと。叔母達にはその能力はなかったこと。そしてそれによってこの辺の安定のためにその力を使っていたこと。神職でもなくそれを専門にしていたわけでもなく、唯々個人でそれをやっていたらしいことなどを教えてくれた。

長くなりましたがこれが九州での出来事の全貌です。

長々読んで下さった方に感謝します。


 
 


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なつめ0602
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