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事情を知らずに彼女はやって来た

 例の生霊の女の子がうちに遊びに来た。名目は私がMiyukiちゃんに作成したPCやペンタブレットをMiyukiちゃんが披露すると言うもの。

 私が仕事から帰ってくるとPCルームから彼女たちの声がする。つきママ達は相変わらずMiyukiちゃんがいる時は彼女から離れない。

 私が帰ってきたことに気が付かない程、夢中でPCをいじっては嬌声をあげている。温かい飲み物をもって彼女たちのもとに行く。

「Miyukiちゃん来ていたのかい。はいこれどうぞ。」

「あっ!初めまして私Miyukiの同級生のAoiです。」明るく礼儀正しい良い子だ。だが 彼女の後ろにも生霊が付いている。赤ら顔の40台前半ぐらいの感じの男性、俳優で例えると山田孝之さんみたいな感じの男性が後ろにいる。

一旦部屋から出て周りに泉さんがいないか確認する。タイミングよく泉さんが現れ、私が何を言いたいのか察しているかのように部屋に入っていった。

私の部屋に多分Aoiちゃんのお父さんであろう生霊が現れる。

「貴方はAoiちゃんのお父さんですね。なんでそんなお怒りになられているのですか?」

「・・・、・・・・、」何か言っているが聞き取れない。

何回か尋ねるも同じように聞き取れなかった。

仕方なくAoiちゃんにじかに尋ねるためPCルームに行き、楽しんでいる彼女たちに話しかけた。

「ねえ 君もしかして進学の事でお父さんと酷くもめていない?」

「えっ! Miyukiから聞いたんですか。確かに今父と進路のことで揉めています。私はいい大学なんて行きたくないんです。私看護師になりたいんで それを父に言ったら「そんな3Kな仕事させるために育てたわけじゃない」て言われて、今年の春から顔を合わせれば いがみあいになってしまっているんです。」

「父は(有名な)ミシン会社の一族でその会社の重役をやっているんですけど、私にもその会社に入ってほしかったみたいです。」

「でも 私身体弱くて入退院を繰り返していたんです。その時優しくしてもらった看護師さんたちを見て、私も誰かの役に立ちたいとその時思ったんです。」

「だから これだけは絶対に譲れないんです。」

「大体わかったよ。で 先日 Miyukiちゃんちの同じようなごたごたが、すんなり解決したのを彼女から聞いたと言うことかな。」

「なんでMiyukiちゃんばかり 皆から良くされるんだろう。「私の方が全て優っているのに、何で!!」て思ってしまったのか。」

「なんでそんな事わかるんですか。初めてお会いするのに。」

「君がうちに来たのは、今日で2回目だよ。ただ前回は生身じゃなかったけどね。」

「それって どういう意味ですか? 私此処に来たことなんて・・・。いやもしかしたら 有るかも。てっきり夢だと思っていたんですけど。」

「それは君の生霊が体験したことを夢の中で追体験したんじゃないかな。」

「で 話は変わるんだけど君 お父さんともう一度話してごらん。子供の事を心配しない親なんていないと思うんだけど。ただ 今度話すときは お父さんにまず「ごめんなさい、いつもわがまま言って。でも 私は本気なんです。」て冷静に言ってごらん。そして君のお父さんの言い分を聞いた後、もう一度ここからお願いしてみればいい。」

何か 納得していないような顔をしていたが、

「わかりました。帰ったら父と話してみます。」

「頑張ってね。」と言って部屋から出た。前方に泉さんと生霊のお父さんがいた。お父さんの顔から怒りが消えて、穏やかな顔になっていた。泉さんが何か言ったのかもしれないが、彼女は私にそうであったとしても言わない。

暫くして彼女たちは帰っていった。上手くいけばいいが。

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