不動産屋のバイト(ホン怖レベル4)

 このお話は私の様に霊が見える、Nさん(19歳女性)のお話です。

 彼女は大学進学で東京に出てきた。彼女が行っていた大学は美術系の画工だった為、固定シフトのバイトになかなか入れなかった。

 その日も短期でいいバイトを探していた所、3日間で5万円のバイトがあった。それに「その他 出来高に応づ」と書いてあった。

 直感的に「ヤバイ」仕事かと思ったが、とりあえず連絡先を確認すると「OOO不動産」と書いてあった。

(不動産のお仕事なら、大丈夫だかな。)

 とりあえず電話してみる。

「あの~。募集を見たんですが。」

「今から大丈夫ですか、取り敢えず確認したいことが有りますので。」

 小一時間あと その不動産屋でNさんは間取り図だけ描かれた紙を十数枚見せられた。

「この中で何か感じるモノがあれば、それをピックアップしてください。」

(んっ、どういう意味だろう)と思いながら一枚一枚目を通す。

16枚あった中から5枚横にはじいた。

「やっぱり、わかるんですね。で 「見えたり」「祓えたり」できますか。」

「見えますけど、祓えません。」

「そうですか、惜しい。でも取り敢えず見えるんなら、私共の力になってくれませんか。」

「と言いますと?」

「「事故物件」やそれに類するものに、本当に霊が居るのか確認をお願いしたいのです。いないと確認できれば「対処済み」として掲載できますので。お願い致します。」

「でもホント見えるだけですけど、それでいいんですか。」

「いるか いないかさえ、わかればいいです。では いまから直ぐお願いします。」

 半ば強引に話は決まり、物件を回ることになった。

 確認するのは5件。

先ず一件目・二件目は何もいなかった。

三件目。ドアを開ける前から、嫌な感じがする。二人で恐る恐る中に入る。窓の方から霊が現れ壁に消えていく。ここには「霊道」が通っていることを伝え、後日 お祓いをすることになった。

この日は夜7時も回ったので食事をご馳走してもらい家に帰った。

次の日に、残りを回ることに。

四件目。部屋にはいないが、非常階段に霊がいた。これも後日お祓い。

五件目。2LDKの部屋に入る。入る前も嫌な気はしない。ここは大丈夫と思った瞬間、「ゴットン」と大きな音。

 二人でその音がした部屋に行く。何もない。

「今 音しましたよね。」

「私も聞きました。」

 しかし何もいない。気のせいと言う事にし部屋を出ようとすると、また「ゴトン」と後ろで大きな音がした。

 二人でゆっくり振り向くと、女性が天井からぶら下がっていた。口の端からベロを出し、恨めしそうに自分たちを見下ろしている。

 声も出ず二人は慌てて外に出た。

「女性が・・・。」

「私も見ました・・・。」

 その日の帰り、今までの手当てとして5万円と口止め料としてもう5万円もらった。

 以上がNさんの怖いバイト体験でした。

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なつめ0602
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