家出少女3(同居人3号)
彼女がうちに来て7日たった。居心地がいいのか家に戻る気配がない。私もあえて聞きはしない。別に私に差し障りはないので全然困りはしないのだが、彼女の家の方はこれでいいのだろうか。
Namiさんからの情報では、パパさんは強がっているが今回の家出は相当こたえているらしい。「まだMiyukiは帰ってこないのか」とNamiさんに言っているらしい。
Namiさんは「ご自分で迎えに行かれたら。」と返しているが体裁が悪いからそれは聞こえないふりをするそうだ。お互い解っているが、引っ込みがつかなくなってしまったようだ。
昨晩 夕食後 Miyukiちゃんが自分がいて迷惑じゃないか尋ねたので、
「全然こんなことは迷惑の範疇にも入らないよ。これは君とパパさんの問題だから私は一切口は出さないから、君たちが納得するまでどうぞ。」
困ったような安心したような複雑な顔していた。
「でも 10月20日は君の誕生日だけど、いいのお家に帰らなくて。」
「いいんです。この間 お父さんから今年の誕生日祝いは普通の大学に受かったらやってやると言われたので・・・。」
「と言うことはしないと言うことですよね。」と悲しそうに言う。
「そうか じゃあ仕方がないね。今年はこんな叔父さんと一緒でゴメンね。せめて御馳走でも用意させてもらうよ。」
その日から彼女には内緒のある物の制作が始まった。猶予は3日間。
仕事から帰って私の部屋で通販で取り寄せたものをつかい、自分で作った設計図を基に制作に取り掛かった。何とか2日間で組み上げた。あとは仕上げの工程のみだが、これが一番手間がかかる作業だった。
仕上げの工程に半日費やしたが、初めて作った割に上手くできたとおもう。あとは彼女が気に入ってくれるかだけだが。
20日19時 彼女が前から行きたかったレストランで、食事し家に帰ってきた。玄関先でちょっと待ってもらい、彼女を家に招いた。もう1つ開いている部屋にそれは用意してある。彼女を其処に入るよう促す。
ドアをゆっくり開けるとそこには私が作ったハイスペックのタワー型PCとペンタブレットと高精細モニターが設置されていた。
「えっ!! これってもしかしてプレゼントですか・・・。」
「気に入らなかったかい。」
「いえ私が一番欲しかったものです。でもなんでわかったんですか?」
「君サンタさんにデジ絵を勉強したいから、IpadProをお願いするて言ってたから必要かなと思って作ってみたんだ。」
「作ったんですか・・・。本当になつめさんて何でもできるんですね。」
「私の事はいいから、喜んでくれるならつかってくれるかな。」
「ありがとうございます。喜んで使わさせてもらいます。」
いま彼女はPCの前で悪戦苦闘している。
自分から彼女を呪縛させてしまったような気がして、ご両親に何か悪い気がしてきた。