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山中、人生相談に応じる(中国への道⑳)
というほど大げさなものではないが、悩んでいる人と通話した。
とはいっても、悩んでいる人は、実はすでに答えを出している。
自分ですでに答えを出しているのだが、その答えに従うのが不安なわけだ。
だから私のやることは、相手の背中を押すか、蹴りを喰らわせるだけのことだ。
休みたい ⇒ 休んでしまえ
逃げたい ⇒ 逃げてしまえ
辞めたい ⇒ 辞めてしまえ
始めたい ⇒ 始めてしまえ
私の答えは以上——極論すれば「やってしまえ(/やめてしまえ)」だけだ。基本的に、その観点は以下の3点に尽きる。
・やると後悔するかもしれないが、やらないと一生悔いを引きずることになる。
・やっても満足はできないかもしれないが、少なくとも納得はできる。
・そもそもいつ死ぬかわからないのだから、やってしまうほうがいい。
もちろん「やる(/やめる)」ことで致命傷を負う危険がある場合には話は別だが、そうでなければ悩むことも迷うこともない。
……と言いながら、私自身もちろん悩むし迷う。小心者だからだ。
しかし最終的に爆発して、結局は「やってしまう」方を選ぶ。
それもあって、やはり言い切る。
やってしまえ!
大きい決断には時間が必要だが、そういう時には「やる/やめる」をまず決めて、そのためにはどうすればいいかを考えると時間が短縮できる気がする。
死に生はないが、生には死がある。
時間は一方通行の待ったなしで過ぎて行く。
大江健三郎は「見るまえに跳べ」と言った。
それができれば理想なのだが、「跳ぶまえに見てしまう」性分の人もいることだろう。
私もその一人だ。
それは性分なのだから、悪いもなにもないし、どうしようもない。
その上でできることは、そして言えることは一つだけだ。
「見てさらに跳べ!」
さらに速く、さらに長く、さらに高く……。
跳べたらいいなあ、まあ跳ぶしかないんだけど…などと思っていたら8月末に中国に飛ぶことになった——よおし、おじさん、飛ンじゃうゾ~!
まあ飛ぶのは飛行機だが。
露悪趣味的におじさんぶろうとする自分と、そんなことをしなくても十分おじさんである自分をしみじみ感じる今日この頃。
かくも鮮やかな青天に響き渡るウグイスの鳴き声は変わらず、されど昭和は遠くなりにけり。
よおし、おじさん、飛ンじゃうゾ~!!
*写真はミーケビーチ(ダナン、ベトナム)