【弁護士が解説】フリーランスの強い味方下請法③と独占禁止法
1 おさらい
記事①
では下請法が適用される事業者や取引を概説し
記事②
では取引条件の明確化のための書面について解説しました。
本日は下請法上で問題となる各種の問題、つまり実際にどのようなことが起きたら下請法等を参考にすべきなのかを解説したいと思います。なお、下請法が適用される場面ではよく独占禁止法も問題となります(独占禁止法の特別法という立ち位置)。したがって、ここでは同時に解説していきます。
1 報酬の支払遅延について
(1)下請法では
フリーランスが仕事を受け、納品をした。しかし報酬の支払い期日が過ぎているのに、払ってくれないという事態が起きた場合の下請法・独占禁止法での状況を説明します。
まず下請法上では、4条1項2号において下請代金の支払い遅延として問題になります。下請法の解釈としては
https://www.jftc.go.jp/shitauke/legislation/unyou.html
という通達が出ていて、国が解釈の基準を明らかにしてくれています。
そこには、下請代金の支払期日は、「給付を受領した日(役務提供委託の場合は,下請事業者がその委託を受けた役務の提供をした日。)から起算して、60日の期間内において、かつ、できる限り短い期間内において、定められなければならない」とされています。
要するに、納品をした日から60日以内に支払いがないとダメです。
そしてその起算日は「給付を受領した日」なので、納入以後に行われる検査や最終ユーザーへの提供等を基準として支払期日を定める制度を採っている場合には、制度上支払遅延が生じやすいです。
仕事をした側が納品をして、その後受け取った会社側で、受け取った2週間後に検査をする、そしてその検査の翌々月払いという制度は下請法には反することになるということですね。
ただし、フリーランス側が要求された仕事をしていない場合や予定した水準に達してない場合に支払いがなされないという場合は別問題です。こちらについては当初の取引条件が何だったかが問題になります。
(記事②https://note.com/shintaro_w/n/n53a234d5c14b参照)
(2)独占禁止法では
取引上の地位がフリーランスに優越している発注事業者が、正当な理由がないのに、契約で定めた支払期日に報酬を支払わない場合であって、当該フリーランスが、今後の取引に与える影響等を懸念してそれを受け入れざるを得ない場合には、正常な商慣習に照らして不当に不利益を与えることとなり、優越的地位の濫用として問題となります(独占禁止法第2条第9項第5号ハ)。
一方的に報酬の支払期日を遅く設定する場合や、支払期日の到来を恣意的に遅らせる場合にも、優越的地位の濫用として問題となりやすいです。
2 下請代金の減額の禁止
親事業者が、 下請事業者の責めに帰すべき理由がないのに、発注時に定めた下請代金の額を減ずることは禁止されています。 「歩引き」や「リベート」等の減額の名目、方法、金額の多少を問わず,発注後いつの時点で減じても下請法違反となります(下請法4条1項3号)。
下請法は発注者とフリーランスに大きな力の差がある場合を想定していますので、発注者が色々と理由を付けて減額を要求してきた場合、今後の取引を考えて減額することは十分にありうることですよね。
具体例としては、最近業績が悪化した、予算がとれなくなった等を理由に、今回の仕事を安くしてほしい、という要請があった場合です。この場合下請法違反を理由に断ることができます。ただし、当然フリーランス側が今回は損となるが今後の展開で取り返せると考えるならば自由な意思決定で変更はできますが、それをすべきなのかということは経営判断です(ただし経営判断として良くないとは個人的に思います。)。
ちなみに国が出している具体例では消費税分引かせてもらう等といったことが挙げられています。建築請負等を考えると強烈です笑
ただし「下請事業者の責に帰すべき理由」がある場合、つまりフリーランスに落ち度がある場合は水準を満たす仕事をしていないということですから、当然ながら減額が認められます。
3 まとめ
いかがでしたか?知っておくだけでトラブルを未然に防ぐ、トラブル解決の方針が立てられる知識だと思いますが、結局はケースバイケースとなりますので、仕事をするうえで困った時にすぐに相談できる環境が大事かと思います。
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