婚活系スタートアップでPMF達成した1年を振り返る
こんにちは。「婚活を楽しい活動にする」をモットーに、パーソナライズ婚活サービス「ヒトオシ」のプロダクトマネージャーを務める、清水晋太朗です。
今回は、PMF体感後の事業拡大のために婚活サービスのプロダクトマネージャーが1年間どのようなことをしてきたかについて、2023年の振り返りとともに、執筆したいと思います。
パーソナライズ婚活サービス「ヒトオシ」
まず簡単にヒトオシのサービスについてご説明させていただきます。
ヒトオシとは、専属のマッチングプランナーが会員一人ひとりにつき、面談や日々のコミュニケーションを通して、パートナーとして合いそうな方を月2名紹介しながら、婚活に伴走するパーソナライズ婚活サービスです。
約10年前に現在主流になっているマッチングアプリが登場し、「出会いがない」という課題は解決されつつあります。一方で、「“良い人”と出会えない」という声を多く聞くのも事実です。
その課題に対してヒトオシでは、専属のマッチングプランナーが第三者的目線から見て合いそうという思う方をご紹介することで、納得感のある出会いを提供しています。
PMF達成を感じた2023年のスタート
PMFは“準備していた”けれど、あまりにも突然でした。
2022年12月末にホリエモンチャンネルとのコラボを皮切りに、認知が今までと比較すると爆発的に増え、1月には入会者数が3倍以上になりました。
恥ずかしいことにマッチングプランナーのキャパシティが足らず、サービス提供を少しお待ちしていただくという事態になりました。(当時お申し込みいただいた会員の皆様、お待たせしてしまい大変申し訳ございませんでした🙇)
「PMFをすると、崩れ落ちていく岩を一生懸命走って追いかけていく状態になる」というのを身に沁みるほど社内も大慌てで、マッチングプランナーの採用、事務局の業務効率化、Webサーバーの増強など様々なことを急ピッチで実行しなければいけない日々でした。
また、いきなり大慌ての社内では、ただただ「忙しさ」「焦り」などを感じる混沌とした1ヶ月だったので、PMFという事象に対してどのようなことが起きているのかを社内に対して伝達するなどの必要もありました。
この状態を経たことで、どんな状態になっても乗り越えられる強い基盤ができたのではないかなと思ってます。本当にメンバーには感謝しかないです!
そして、マッチングプランナー組織は半年で3倍となり、100名ほどの組織となりました。この急成長を支えるためにどのようにしたか、というのをお伝えできればと思います。
振り返るとサービスの成長とともに、組織・そして自分自身の成長をしていった2023年だなと感じています。
どのようにしてPMFを達成したか
PMFに対しての"準備"で、一番重要だったのが、顧客戦略です。
顧客戦略を作成し、ターゲットとなるユーザー層を絞り込むことで、無駄な広告出稿を削減し、顧客獲得コスト(CAC)を下げることができました。スタートアップにとって、こうしたコスト削減は事業の持続可能性を高める上でとても重要です。
また、顧客戦略を定めることで、「どのようなユーザーがヒトオシの何に対して価値を感じているのか」の解像度を上げるきっかけにもなりました。
そんな顧客戦略は、定性・定量の両面からアプローチし、決定していきました。まず、定性的なアプローチとして、マンダラートを作成しました。
真ん中には"良くいる"ヒトオシの会員像を記載し、それぞれのマスには、その会員は「どのような特徴があるのか」「どのような趣味・嗜好があるのか」「なぜヒトオシで婚活をしているのか」「どのようなパートナーを求めているのか」など具体的に記載しました。
マーケチームだけでなく、顧客解像度が一番高い現場で会員と接しているマッチングプランナーにもマンダラートを書いてもらいました。プランナーにも書いてもらうことで、かなり密度の濃い情報量がたくさん出てきました。
そして、定量的なアプローチとして、マンダラートで出てきた顧客像をカテゴライズし、現在累計そのカテゴライズをした人がヒトオシ会員の中に何%いるのかをチェックし、どのターゲットを狙うのがより効率的かを確認していきました。
そのような顧客戦略を経て、コアターゲットとして決まったのが「アラサー理系男子」でした。
アラサー理系男子の特徴を見ていると、「マッチングアプリの婚活の効率が悪くて疲れた」というインサイトを持っていました。
そのインサイトに対してヒトオシでは、
という特徴がフィットしていることがわかりました。
ということで、アラサー理系男性にターゲットを絞り、広告予算もほぼ全てを男性に投下し、マーケティング活動を専念したことでPMFを達成しました。(男性に専念してマーケ活動をしたにも関わらず、男女比は変わらず5:5を維持しています)
PMF達成後すぐにやったこと
PMF達成後すぐにやったこととしては、まず組織図の作成とドキュメンテーション文化の醸成からでした。
今まで30名ほどの組織だったため、代表の伊藤と僕の分担で色々意思決定し進めることができていました。
ただ、これから組織が大きくなるにあたり、採用をしなければいけなく、人が増えれば増えるほどコミュニケーションラインは複雑化するので、誰のどの権限でサービスを作っていくのかを明確化しなければいけませんでした。
そのために、まずは理想の組織図を作り、採用計画を立てました。もちろん採用できていない段階ではポジションとして兼務しなければいけないところもたくさん出てくるので、一定数兼務しながら新しい人がきたら組織図を少し作り変えるなどをしていきました。
そして次は、ドキュメンテーション文化の醸成です。もちろん今までのヒトオシを運営するにあたりCS組織ではマニュアルは存在していましたが、Googleドキュメントで管理していたため、検索性に乏しく、わからないことがあれば誰かに聞けば解決するという状態でした。
ただ急速するメンバーの増大に、誰かに聞けば解決する状態では間に合わず、notionで全てのマニュアルを完結するように変更しました。
業務ごとに整理したページを作成したり、運用変更があった際には必ずドキュメントを更新するという文化を作ったり(マニュアルは1回作ると放置されがちになるので、更新することがとても重要)、Slackで周知した内容は必ずnotionでも最新情報として記載する(フロー情報をしっかりストック化させることで、社内情報が追えないことによるパニック状態を作らない)、というのを徹底しました。
また、当初はCS側が急務で必要だったため、CS側を優先して作成しましたが、その後マーケチーム・プロダクトチームでもnotionを導入して、チームごとに見られるデータベースを作成していきました。
ドキュメント化の重要性に関しては、6月に参加したIVSでのトークイベントでも重要性を改めて学ばさせていただきました。僕自身がその後、社内でも重要性を発信することができるきっかけとなったとても勉強になるセッションでした。
組織図の作成とドキュメンテーション文化の醸成を実行することで、まず安定的にサービスを提供し続けられる土台を作りました。
安定的にさらなる良いサービス提供をするため
安定的にさらなる良いサービスを提供するために、「業務プロセスに伴う課題の洗い出し」「CSのマネージャー層でのサービス提供判断軸の共通認識化」という、さらに2つのことを実施しました。この段階ではプロダクト・CSのメンバーともに増えており、これからどのようにサービスを作っていくかが重要になってきていました。
業務プロセスに伴う課題の洗い出し
「業務プロセスに伴う課題の洗い出し」では、プロダクトチームが最優先で取り組むべき課題は何かを選定するために、今ある業務プロセスをまずは可視化し、それに紐づく形で現状ある課題を特定する作業から実施しました。
実際に業務をするCSメンバーにヒヤリングしながら作るだけではなく、実際にメインがCSではないプロダクト・マーケメンバーもマッチングプランナーを体験することで、事業解像度を上げることも実施しました。
自ら体験することによって、お互いの業務への理解が深まったり、業務プロセスを理解するための説明を省略できるなどができ、スムーズに改善や新たなことに取り組むことができました。
ヒトオシはサービス提供するための価値発揮するためのMVPで走りきってきたところがあり、裏側の業務がまだまだ非効率だったり、自動化されていなかったりする部分が多くあります。
そのため、振り返ると2023年に洗い出しした課題の中で2割程度、実際に1年でできたかなといった感じです。まだまだ改善やシステム化の余地がある領域なので、2024年も取り組んでいこうと思います。
CSのマネージャー層でのサービス提供判断軸の共通認識化
組織図の作成の時にも少しお話しさせていただきましたが、以前は現場の最終判断の全てを伊藤もしくは僕が担っておりました。30名組織の時は可能だったものの、100名組織では到底追いつくことが不可能でした。
そのため、CSのマネージャー層でのサービス提供判断軸の共通認識化をすることで、あらゆるイレギュラーな事態でもそれぞれが判断を下して、意思決定することができるようになりました。
これは最終的にはCSマネージャー層で合宿をし、ヒトオシ(Parasol)の今までの歴史、各メンバーの仕事・ヒトオシに対しての想いなどを2日間で凝縮して共有し、1個ずつ合意形成をしていくことで、共通認識を作ることができました。
改めて、普段とは違った環境に行くことで、議論だけができ、時間を持て余すことなく実施したことで、それぞれの考えなど共有できたのではないかなと思います。
ヒト × AI に挑戦
ChatGPTの登場により、2023年はAIがより身近になってきた年なのではないかと思います。これからAIの話を書く僕も、自分がAIを作れるとは、使えるとは、ヒトオシを始めた3年前は想像もしていませんでした。
ただ、いずれ時代が来たら、ヒトオシにもAIを導入できるのではないかという予感はありました。そのため、準備としてAIが活用できるデータベースを作成するなどの対応は実施していました。ただ、その「いずれの時代」は想像していたよりもかなり早く訪れました。それが2023年だったのです。
AIマッチング検索の導入背景
サービス構想当初からヒトオシでは「ヒトの紹介」の価値を重視して取り組んできましたが、一方で補助としての「AI」は作れるのではないかなと思っていました。
これまでのヒトオシのマッチングは、基本的にヒトオシの会員データベースから「条件検索」で行われてきました。(他にも、マッチングプランナー感での情報交換などでもマッチングが生まれておりますが、基本的には条件検索となっております。)
そして、条件検索である程度絞り込んだのちに、会員情報や面談、顔合わせの動画を参考にして、最終的には「将来パートナーとなる姿を想像できるか」というマッチングプランナーの「人の勘」で決定していました。
しかし、条件検索でのアプローチでは、会員数が増加するにつれ、同じ条件で多数の会員がヒットしてしまい、適切なマッチングを見つける作業を困難にしていました。その課題を解決するため、AIを活用したマッチング検索の開発に着手しました。3年間でマッチングが数万レコードを超えていたため、AIを導入するのに十分なデータは揃っていました。
AIマッチング検索の仕組み
ヒトオシでのAIマッチング検索は、単純に「お顔合わせをした2人が連絡先交換に進みそうか」という予測だけでなく、ヒトオシの強みである「マッチングプランナーがこの2人を紹介しそうか」という予測も組み合わせたモデルになっています。
上記の図で示した通り、ヒトオシではマッチングプランナーが紹介し、顔合わせを実施し、お互いが連絡先交換を希望して初めて、交際への一歩前のステータスとなります。
つまり、ヒトオシの価値であるマッチングプランナーの紹介をAIを導入したとしても、今までと近しい状態にするためには、「マッチングプランナーが紹介しそうか」というのをAIでも予測しなければいけません。
現在、ヒトオシではAIマッチング検索を11月からテスト運用を経て、全体の運用を実施しています。AIの作成は、8月から制作に取り掛かり3ヶ月程度で第1弾を作りきるというスピード感で実行できており、非常に良いスピードでプロダクトチームも動けているのではないかなと思っています。
社内からは今まで見落としてしまっていたけれど、合いそうな方がAIを用いた検索で出てくるため、非常に役に立っているとの声を聞き、嬉しく思っています。
さらっとAIの仕組みに関して記載してしまいましたが、ヒトオシではAIをどのように活用しているのかに関しては、また別の記事で書けたらなと思っています。
2023年に作った新機能・新サービス一覧
その他にも様々な新機能・新サービス、プロダクトを作ってきました。全て書き入れる量ではなかったので一部にはなりますが、ご紹介させていただければと思います。
ご相談プラン
ご相談プランとは、月1回マッチングプランナーとの面談のみできるオプションプランになっています。
というニーズにお応えして、紹介はないがプランナーと婚活を進められるプランを用意しました。
ギフティング機能
こちらは大変ありがたいことに、「交際に至るまで伴走してくれた担当のマッチングプランナーに感謝の気持ちを贈りたい」との声を多くの会員さまから聞き実現したヒトオシギフトです。
こちらギフティングをしていただいた際には、LINEのマッチングプランナーアイコンに、ギフティングの花が添えられます。ギフティングっぽく、ちょっとゲーミフィケーション味のある仕様として実現させています。
会員向けWebアプリのアップデート
大きな変更点として、お顔合わせの振り返り機能を追加しました。婚活では自分がどのような人が合うかを言語化することが大切だと言われています。
この振り返り機能では、お顔合わせで自分はどうだったのか、お相手に対してどのように感じたのかを振り返りながら、言語化することで、より自分を見つめ直すことができます。
さらに、振り返りはプランナーにも共有されるため、プランナーは今回の紹介はどうだったのかを踏まえて、会員それぞれによりパーソナライズされた人をご紹介することができます。
マッチングプランナーの検索システム開発
ヒトオシではサービス当初からSalesforceをデータベースとして利用しています。その他、LINEなどの既存SaaSを組み合わせてMVP的に運用してきたのですが、既存SaaSでは限界が来ている部分を切り出して開発も進めています。
まずはサービスの要になるマッチングプランナーの検索機能を切り出して、AIの結果も活用できるようにするため、縁パワーメントという社内システムを開発しています。
「ご縁」と「エンパワーメント」をかけた造語になりますが、
・「ご縁を繋ぐ」ためのシステムになること
・利用者がこのシステムを使うことで「エンパワーメントされる」
ことを願い、命名しました!笑
iPaaS、RPA、API連携を利用した業務効率化
ヒトオシでは、これまでにも何度か触れてきたように、既存のSaaS製品を組み合わせて業務を運営してきました。その結果、多くの作業が手動で行われている現状があります。これを解決するため、iPaaSやRPA、API連携を活用し、業務プロセスの自動化に取り組んでいます。
過去に上記のLayerXの松本さんのポストを見て以降ヒトオシでは、できるだけ80%をサクッと自動化し、業務効率化を目指しています。少しの人間の作業は残りますが、人間の柔軟性でできる部分を全て要件に落とし込み、自動化させようとするとかなりのコストがかかってしまいます。適切なバランスで人間ができる柔軟なことはシステム化せずに、人間に頼ることと意外と早くできることもあるので本当に重要です。
最後に
2023年ヒトオシを選び婚活してくださった皆様、本当にありがとうございます。皆様の声を聞きながら、日々サービスをアップデートしていければと思っておりますので、応援いただけますと幸いです。
また、短期間で約3倍ほどに成長したヒトオシでは2023年本当にいろいろなことがあったと改めて実感しました。私を主語にして執筆している部分があるので、全て僕自身がやったことかのように見えてしまうところもございますが、メンバーに恵まれたからこそ、ここまでの多くのことができたと思っています。本当に一緒に働くメンバーには感謝しかないです。
2023年このようにサービス展開をしてきたヒトオシですが、2024年はエリア展開という新たなチャレンジをします。3年間関東の一都三県でサービスを提供してきましたが、2024年より多くの人の婚活をサポートできるよう、関西・東海エリアに進出することを決めました!
ヒトオシではマッチングプランナーとの面談を通して婚活を頑張れる・前向きになれると感じた方が「95%」という結果になっています。マッチングアプリなどで1人で婚活していると「しんどい…」「疲れてしまった…」という声を多く聞きます。
ヒトオシのサービス開始当初から、「婚活を楽しいもの」と感じてもらえるようなサービスでありたいという想いがあります。ヒトオシでは、担当のマッチングプランナーが会員一人ひとりにいることで、楽しさ・辛さなどの感情を共有しながら婚活を進めることができます。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
これからもより多くの方々に対して、利用して良かったと思ってもらえるサービスを作ってまいりますので、どうぞ応援のほどお願いいたします。
ヒトオシは会員も一緒に働くメンバーも大募集中です。
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ヒトオシの公式サイトはこちら
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