講習団体の申請方法と要件について(国交省ホームページ掲載)4
行政書士の佐々木慎太郎です。引き続き講習団体が航空局ホームページに掲載されるための要件について書いていきます。
前回は
2.組織運営スクールとしての講習実績
まで説明しました。
もともとドローンスクールを運営されていた場合を除き、どの企業も苦労されている部分は「講習の実績を作ること」でした。
今回は
3.講習等の実施方法、カリキュラムについて具体的に説明していきます。
「講習等」というのは、要するにスクールのカリキュラムと技能審査(実技試験)のことです。カリキュラムについても最低限盛り込まなければならない内容が決まっています。
◆講習課目は、学科(座学)と実技の内容を含むこと
最終的に実技試験に合格すると、技能認定証が発行されます。
技能認定証があると、航空法の飛行許可承認申請をほんの一部(講習団体で学び、確認できた操縦者に関する部分)省略することができます。
カリキュラムは座学と実技両方必要だということをほぼ全てのドローンスクールが認識しているので、特に問題はないでしょう。
【実際に使用している実技テキスト一部】
◆講習期間は2日間以上とし、適切な時間数が定められていること
講習期間と受講形態は団体によって幅があり、最低限2日間のものや、数ヶ月間の中で好きな時間で受講できるものなど様々です。オンラインで受講する座学や、一部の実技をシュミレータで学ぶ団体もあります。
1日だけのコースは国土交通省の確認を受けているカリキュラムではないです。
国交省のホームページに掲載されているドローンスクールでも複数のカリキュラムを取り扱っている団体があります。国交省から「確認を受けているカリキュラム」と「確認を受けていないカリキュラム」があるので、受講する方で技能認定証が必要な場合は「確認を受けているカリキュラム」はどれなのか事前にスクールに確認するようにしましょう。
※実際の実技試験の様子
◆講習後に実技による技能審査(実技試験)を行い、技能認証の証明書を発行すること
この実技試験は国交省で出している審査要領に書いてある飛行形態毎に必要です。具体的に言うと基本飛行、夜間飛行、目視外飛行(FPV等)及び物件投下(農薬散布等)です。
実技試験合格だけでなく、飛行時間が10時間以上あることを飛行記録等で確認して初めて技能認定証が発行できます。飛行時間10時間以上を確認していないスクールは単にこのルールを守っていないか(あってはならないですが)、国土交通省の確認を受けていないカリキュラムです。
【実際の技能認定証】
※講習団体に承諾を得て掲載させていただいております。
◆講習の内容が、飛行形態に応じて定められている審査要領の内容を含んでいること
使用する教材、カリキュラムが審査要領の内容を含んでいることが条件です。最低限以下の内容以上のものが必要です。一応国交省で出している内容を全て載せますが、抽象度が高く少しイメージしにくいかもしれません。とりあえず「なんとなくこんな感じなんだ」ということが分かれば良いと思います。
次回に続きます。
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国交省で公表されている内容
【学科(座学)講習】
(1) 航空法関係令にする知識(無人航空機に関する事項に限る。)
(2)安全飛行に関する知識
・飛行ルール(飛行の禁止空域及び飛行の方法)
・気象に関する知識
・無人航空機の安全機能(フェールセーフ機能等)
・取扱説明書に記載された日常点検項目
・自動操縦システムの構造及び取扱説明書に記載された日常点検項目 (当該システムを装備している場合に限る。)
・無人航空機を飛行させる際の安全を確保するために必要な体制
・飛行形態に応じた追加基準
【実技講習】
(1)飛行前の確認
・周囲の安全確認(第三者立入有無、風速 、風向等の気象等)
・燃料又はバッテリーの残量確認
・通信系統及び推進系統の作動確認
(2)遠隔操作により飛行させることができる無人航空機の場合あっては、 (1)の能力に加えて、GPS 等による位置の安定機能を使用せず次に掲げる飛行を実施できる能力
①安定した離陸及び着陸
(例)
操縦者から3m離れた位置で、3mの高さまで離陸し、指定の範囲内に着陸
②安定して次に掲げる飛行
・上昇
・一定の位置で高度を維持したホバリング(回転翼航空機に限る 。)
(例)
飛行させる者の目線の高さにおいて、一定時間の間、ホバリングにより指定された範囲内(半径1mの範囲以内 )にとどまることができる能力
・ホバリング状態から機首の方向を 90 °回転(回転翼航空機に限る。)
・ 前後左右移動
(例)
指定された離陸地点から、前後方向に20m離れた着陸地点に移動し、着陸する飛行を5回連続して安定行うことができる能力
・水平面内での飛行
(例)
一定の高さを維持したまま、指定された地点を順番に移動する飛行を5回連続して安定して行うことができる能力
・下降
(3)自動操縦により飛行させることができ無人航空機の場合あっては、(1)の能力に加えて、次掲げる能力
①自動操縦システムにおいて、適切に飛行経路を設定できること。
②自動操縦システムによる飛行中に不具合が発生した際に、無人航空機を安全に着陸させられるよう、適切に操作介入ができること。なお、操作介入が遠隔操作による場合は、 (2)の能力。
(4)飛行形態に応じた操縦能力
① 人又は家屋の密集している地域の上空における飛行、
地上又は水上の人又は物件との間に30mの距離を保てない飛行、
多数の者の集合する催し場所の上空における飛行及び危険物の輸送に係る飛行の場合
・意図した飛行経路を維持しながら無人航空機を飛行させるための能力
(例)
・対面飛行により、左右方向・前後方向及び水平面内での飛行を円滑に実施できること
・操縦者から10m離れた地点で、水平飛行と上昇・下降を組み合わせた飛行を5回連続して安定して行うことができること
・8の字飛行を5回連続して安定して行うことができること
② 夜間飛行の場合
・夜間、意図した飛行経路を維持ながら無人航空機を飛行させる能力
③ 目視外飛行の場合
・モニターを見ながら 、遠隔操作により、意図した飛行経路を維持しながら無人航空機を飛行させることができること及び飛行経路周辺において無人航空機を安全に着陸させることができる能力
④ 物件投下に係る飛行の場合
・5回以上の物件投下の実績を有し、物件投下の前後で安定した機体の姿勢制御ができる能力
⑤飛行形態に応じて必要な安全確保の体制を実施できる能力