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世界一周Day94_ベツレヘム

ハロー!しんたんです!

長らくnoteをサボってしまっておりましたが、イスラエル2日目の衝撃が凄すぎて、これはnoteにしたためねば…!と思い、久々まとめました。

エビデンスは、イスラエルに25年住んでいる現地のガイドさんからの情報。

◾️バンクシーアート
2000年頃にパレスチナ自治区にテロ防止のコンクリート防壁が作られ、その無機質な壁にカウンターカルチャーとして今の戦争風刺をアーティスティックに表現したのが世界的に有名になったきっかけ。
有名な花束を持った兵士の絵は、投石を花束に持ち替えたら良いのに、というメッセージ。
このcasaの記事が分かりやすく書かれている。
https://casabrutus.com/categories/art/385192

「武器ではなく、アートで現状を変えていく」
この思想に心から痺れた。東京でバンクシーのアートをみても深く理解できていなかったが、戦争の起こっている現地で生の絵を見た時、この思想の大切さ・カッコ良さを心で感じる事ができた。
そういう意味では、バンクシーのアートはサイトスペシフィックな面があると思った。

https://irohani.art/study/10006/
この記事によれば、他にも2000年頃に動物園のペンギンの囲いに「もう魚には飽きた」というメッセージを残したり、ゾウの囲いに「超退屈。外に出たい」というメッセージを残したらしい。
「捕らえて展示するなんて人間のエゴだ!」ではなく、「魚食べ飽きたよ」と表現するユーモアが凄すぎると思った。ユーモア超大事。

また、ステンシル(型版)で描いてるアートなので、型さえ作れば手軽に速く作品を作れる点も、違法ゆえの捕まらないため&自身のメッセージを確実に表現するために編み出された手法なのも面白いと思った。環境や状況によって選択された手法。
そして、ある意味表層はコピーだが、内包されている哲学や思想が凄いため、多くの人が価値を感じているということ。
やはりアートはコアとなる哲学・思想が大事だと改めて思った。

他のグラフィックアートも、衝撃的なニュースや事件などを背景に製作されており、メッセージ性が強く、感性が揺さぶられるものが多かった。

無実の罪で殺された自閉症の少年
世界初の女性ハイジャック
パレスチナだと英雄扱いらしい
紛争に巻き込まれて殺された記者
エルサレムの弾かパレスチナの弾かで揉めたらしい
ネルソンマンデラの言葉
トランプ大統領
元々はグラフィックアートの前に
こういう貼り紙から始まったみたい
ザッカーバーグ
上書きされてるのがグラフィックアーらしさある
上書きされたトランプ大統領
これもバンクシーらしい
グレタさん的存在らしい
壁つくらずにフムス(名物の食べ物?)つくろうぜ
的な風刺メッセージ
収監されてるパレスチナ政府の偉い人らしい
壁の向こうの世界
美しくも寂しい



また、ベツレヘムにあるバンクシーホテルにも行ってきたが、このアプローチも素晴らしいと思った。

内装のデザインセンスもさることながら、バンクシーの知名度を上手く使って、バンクシーを見に来たお客さんにエルサレムとパレスチナの抱える問題を考えさせる仕掛けが随所に散りばめられている事が本当にスゴイと思った。
設置されているヤマハのピアノの白一文字は、ベツレヘムはお金がないのでヤマハにピアノのディスカウントを交渉したが応じてくれなかった事にバンクシーが怒り、ロゴを消した跡らしい。
またシェイクスピア像の顔面が割れて中が空洞になっているのは、シェイクスピアは空っぽだという皮肉を表現しているらしい。

ねらわれてる!
バンクシー怒りの一文字
監視カメラをここまでオシャレにインテリアに組み込めるセンスやばすぎる…

◾️アイダ難民キャンプ
なんか衛生環境悪いテントがたくさんある場所を想像していたが、全然違ってた。
ガザ地区とかはそういう感じらしい。
ここは建物が建っていて、ある程度小綺麗。
入り口の門の鍵オブジェは、自分達の土地から逃げた時に持って来た鍵を象徴していて、直ぐ戻れると思ったら戻れなくて、いつか帰れた時に…と家族間で自分達の家の鍵を継承していることから、鍵が重要なシンボルとなったそう。
一見小綺麗だが、建築基準はむちゃくちゃだし、区画整理もされていないから、道は迷路みたいになっている。
UNRWAという国連組織が教育や医療を支援しているが、現地で支援しているのは同じ難民出身のスタッフ。
この難民キャンプの周りには普通のパレスチナ人も生活しており、同じパレスチナ人の中でも見えない差別意識があるらしい。
難民は元々農家が多かったが、土地がないから仕事ができない。しかし、難民キャンプの周りの土地は別のパレスチナ人の物で与える事ができない。そういう事情もあり、周りのパレスチナ人からは見えない差別意識が生まれている。
加えてUNRWAの支援によって生活できてしまっている仕組みがあるから、難民キャンプから出るに出られないというシステムの負の側面もある。
壁ができる前のテロは難民出身者によるものが多かったらしいが、イスラエルからすると、パレスチナ人のテロと一括りになり、難民でないパレスチナ人達も報復の巻き添えになってしまった。そういう背景もあり、パレスチナ人の中でも難民はさらに孤立する羽目になってしまったらしい。


◾️生誕教会
アルメニア教、ギリシア正教、カトリック教の3宗派が共同で使ってる教会。設立は5世紀頃。

キリストが産まれた場所や聖ヒエロニムスが聖書をヘブライ語からラテン語に20年かけて翻訳した地下室など、歴史を肌で感じられる神聖な地だった。

ここのカトリックの教会は簡素な造りで、「アレ!?カトリックってゴージャスな造りで、プロテスタントが質素なんじゃないの!?」と思ったけど、ゴージャスカトリックはローマカトリックらしい。国教になったから箔付けら必要があったり、他宗派からシェア取り戻すためにゴージャスになっていったが、他地域ではゴージャスじゃないカトリックもあったみたい。
ここのギリシア正教は派手派手で、これまたビザンツ帝国の影響だったり、アルメニア教も世界で初めてキリスト教を国境化した背景もあり、派手めだった。
ギリシア正教の部分は、イスタンブールでみたアヤソフィアのモザイク画と同じテイストのものがあった。
ちょうどアルメニア教の祈りの儀式に立ち会えたのだが、乳香を炊いた吊り香炉を振り歩きながら美しい讃美歌が始まり、匂いと歌で神と繋がるという思想を目と鼻と耳と肌で感じる事ができた。
祈りというのは、とてもイノセントで心が浄化されて休まるなぁと思った。
あと、旧約聖書はユダヤ教で、新約聖書がキリスト教というのを改めて知った。言われてなるほどだった。

そして宗教の歴史は思ってた以上にアカデミックな叡智の積み上げであることも分かった。
争いがきっかけで価値観の変化、新たな解釈が生まれる事の積み重ねで、宗教の歴史を学ぶ事で、今ある争いに対して、過去と同じ失敗を起こさないよう、どのような姿勢や考え方でどう向き合うのがよいのか?
それを考えるためには、決して無かったことにしてはいけないものだと感じた。

モザイク画
初期のプリミティブキリスト教の名残
偶像崇拝とかがない頃だから人物系がない
キリスト産まれた場所
アルメニア教の祈りの儀式
カトリックエリア
服が質素
聖ヒエロニムス
20年地下に籠って聖書をラテン語翻訳した人

◾️ガザ地区問題
イスラエルがガザ地区を大規模空爆したのは、2023年10月のテロがキー。
ハマスがバリケードを突破し、ガザ地区近隣のエルサレム住民を虐殺したことがキッカケだったらしい。
その際、ハマスの指導者が兵士達に「汚せ」という命令をしたことから、レイプ殺人や妊婦の腹を裂いて堕胎させる等の出来事も起きた模様。
さらに同じイスラムのアラブ人も殺しており、自分達の思想に反する者はすべて殺してもよいという考えらしい。
この汚すという考え方はアラブの民族間紛争の際、相手民族の誇りを踏みにじる所からきているらしい。
そして、なぜ兵士がそんな残虐非道な事ができるのかというと、今のガザ地区は20歳前後の人口が多く、幼少期から閉鎖された空間でカルト的な教育を施されてきたから。
また、イスラエルが空爆せざるを得なかったのは、ガザ地区が要塞化していてハマスの武力施設を特定する事が難しく、このテロを止めるためには、大規模空爆するしかなかった背景もある模様。
ガザ地区の人々もハマスのやり方に賛同してない人が多くいるものの、独裁状態で反ハマス派は処刑されてしまうため、声を上げられないという状態。
そして、敵の敵は味方という事で、レバノンのヒズボラやイランがハマスと繋がり、武器などを密輸で提供している。
こういった戦争により土地を追われた人が難民となるが、難民には市民権などが与えられないため、十分なサービスが受けられず生活が苦しくなる。苦しくなる事で、この苦しい状況はエルサレムのせいだという歪んだ教育が難民キャンプで行われ、その教育を受けた子供達が歪んだ思想を持つパレスチナ戦士となる。
難民キャンプには殉死した兵士の写真が英雄のように多く飾られており、それも殺戮者=英雄という刷り込みを助長している。
ハマスは70年近くメディアを使って、パレスチナ=弱者というブランディングを行い、自分達のテロ行為を正当な抵抗だという認識を広めている。
イスラエルがは人道的だというのはSNSを駆使したフェイクニュースの影響が強い。
そして、歴史を遡ると、1967年の第三次中東戦争でエジプトが国境に軍を配置し、今にも戦争が始まる緊張状態になった際、イスラエルが先行攻撃をしかけて、6日間で戦争を終わらせた際、今のシナイ半島全域とヨルダン川西岸を奪取し、和平と非武装化を対価にシナイ半島を返還したが、その際エジプトがガザ地区だけ求めなかった事も影響している模様。
ヨルダンもヨルダン川西岸を渡したのは、パレスチナ自治区の管理が難しすぎたからという一説もあるらしい。
また、今の状態でパレスチナ自治区を認めてしまうと、過激派テロによる行為を認めることにもなってしまい、世界各国で更なる過激派闘争が加速する危険性もあるらしい。

◾️イスラエル人に対する見方の誤解?
迫害されて来た歴史はあるが、いつまでも弱者である事を認めていても何も解決しないから、どうすれば問題解決できるか?を考えている。
これが他国メディアからは、単なるプラス思考だと勘違いされ、民族的な内的な傷を理解されていない。
一方パレスチナも民族的な内的な傷を持っているが、各国が可哀想と支援してくれるため、被害者意識が拭えず、マイナス思考気味。

一概にイスラエル思ってたより悪くない、というわけではなく、双方とも悪いところはある。しかし、メディアの偏った報道を真実だと思うのは危険だし、実際に思い込んでしまって、安易にイスラエル=危ないと認識していたのは、よくない事だと思った。

◾️まとめ
想像以上に複雑すぎる問題で自分の中でも処理しきれていないが、イスラエルに行き、自分の目で見て耳で聞いて、より深く理解出来たことは良かった。

あまりにも膨大な情報を吸収したので処理しきれてないが、問題の中枢にあるレバレッジポイントの1つは、弱者という概念だと思った。

弱者という概念を植え付けられた人は、尊厳を傷つけられ、自分の力を信じる事ができず他責思考になり、変わる事ができなくなる。
そして、それを助ける(認める)と、相手は依存して負の連鎖が始まってしまう。

これは組織マネジメントでも同じ問題に直面したなと思った。他責思考で素直でない人間は、組織のガンとなるため、早めに排除しないと組織が崩壊してしまう事と似ている。

貧しい=弱者ではない。貧しくても幸せそうな人達もいる。

弱者を概念的になくす、それが一つの大事そうなキーワードに思えた。

(2024.7.4追記)
早速、IDS(京都芸術大学大学院)の恩師が鋭いコメントをくださり、たしかにそうかも!と思ったので追記。
「弱者、なのか、被害者意識なのでは?とも思いました。弱いことは受け入れてもいい。日常の様々なシーンに同質の種があると思いました。」

被害者意識、すごくスルッと心に入った。

ユーモアをもって被害者意識をなくす、これがミッションかもしれない。

自身のステートメント「私はどんな人をもスーパーワクワクワールドに誘う魔法使いです」とも整合する。

まだ旅は140日くらいあるのでいったん仮置きしとくw

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