早起きは3文の得
休日なのに早起きしてしまった。といっても7時起きなのだけれど。私の休日の起床時間のアベレージは昼の12時なのでいつもより5時間早いのは個人的に快挙だ。平日も同じ時間に起きているというのに、休日の早起きは平日のそれより何倍も価値があるように感じる。早起きは三文の得というが、平日の早起きは10円、休日の早起きは1,000円くらい得している気分になる。
せっかく早起きをしたので、まだ陽に温められていないひんやりとした外の空気を浴びに散歩に出かけた。車はちらほら通っているが人はほとんど歩いておらず、静寂を感じることができてとても心地いい。一週間前に比べるとやや肌寒く、ほんの少しずつではあるけれど、着実に冬が迫ってきているようだ。もう秋だろうか、ついこないだまで夏だったのに。
私は冬がそれほど好きではない。どうしても寒いのが苦手だ。かといって夏が好きかと言われればそんなことはなく、その中間の春と秋が好きである。極端なのが苦手なのは、わたしの煮え切らない性格をよく表していると思う。とはいえ冬のすべてが嫌いという訳でもなく、好きなところもある。皆は中学時代に習ったあの文章を覚えているだろうか。
「春はあけぼの。夏は夜。秋は夕暮れ。冬はつとめて」
清少納言の枕草子である。暗誦をさせられたので、春の部分はよく覚えているがそれ以降は曖昧だ。この文章に出会ってからか、それ以前からかはわからないが、私は冬の早朝(つとめて)がとても好きでいる。たしかに寒いのは苦手で朝なんかとても耐えられたものではないのだが、寒さは私に不快感と同時に新鮮な気持ちをもたらしてくれる。暖かくてふわふわした布団は心地のよいものなのだが、そこから何とか這い出て寒さに凍えているときにこそ、私は生きていることを実感する。肌を刺す寒さで意識が覚醒していき、すばやく動かねば凍えるという危機感をおぼえ、生きるための必死さのようなものが私の中に生まれる。普段のらりくらりと過ごしている私には貴重な体験である。大仰な書き方かもしれないが、本当にそう感じる。もっとも、清少納言の言っていることとは少し違うかもしれないけれど。もう少し慣れてきたら、古文とか俳句とかいった、日本らしさについて書いてみるのも面白いかもしれない。
早起きしたので記事を書こうと思ったらいつの間にか夜だったし、いつの間にか早起きの話から枕草子の話に脱線してしまった。いや、「枕」つながりで脱線してないわけでもなさそう……?とかいうくだらないオチを考えているうちに一日が終わった。せっかく早起きしたのに……
(2020/10/10更新分)