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生きている間は生きる

先週インドで、アラビンド病院という、50年近くの間貧しい患者さんに眼科医療を届け続けている病院を訪問した。

少額でも治療費を払える患者さんと、全く払えない患者さん(アラビンドはそういう患者さんにも治療を届ける)で建物が分かれていて、どちらも患者さんで溢れかえっていた。

お金が払える患者さんの集まる建物と、払えない患者さんの集まる建物では、「匂い」が違った。

最初は汗や土の匂いや、体臭かと思ったが、それはどちらの建物にも共通することなので、それだけではない気がした。不快とかではないのだけど、少し湿ったような、独特の匂いがあって、強く印象に残った。

そんな匂いの中で、建物に入りきらなくて、外で寝転がって順番を待っている沢山の患者さんたちの姿を見ていて、感じたことがある。

僕は最近、身近な人の死に触れる機会が重なっていることもあり、人生をどう生きるかとか、有限の時間をどんな風に使うべきかを考える時間が増えていた。

でも、僕の目の前にいる沢山の患者さんたちは、そんなこと考えてないような気がした。言い方が難しいけど、雑念なく生きるということに集中しているように見えた。何のために生きるとか、生きている時間をどう使うとか、たぶんそんなこと考えもしてない気がした。

そんな姿を見て、自分が考えているようなことは贅沢なことだったかもしれないと、恥ずかしくなった。

生きている間は生きる。

それが一番大切なことなんじゃないかと思った。

その上で、僕は幸運にもその人たちより豊かな環境に生まれて、不自由のない生活ができているのだから、困っていたり助けが必要な人たちの役に立てることを、できるだけやり続けて生きていこうと思った。

現地で、アラビンドを創設したDr. G. Venkataswamyの人生についても知ることができた。

貧しい農村に生まれて、苦学の末医師になり、軍の外科医になった。しかし関節リウマチで指の形が変わって動かなくなってしまい、外科医が続けられなくなった。リハビリをして復帰し、そこから眼科医としてのキャリアをスタートさせ、大学の教授を定年退職した58歳の時にアラビンド病院を創業した。そこから87歳で亡くなるまで、貧しい人に眼科医療を届け続けた。

生きている間は生きる。
助けが必要な人のためにできることをやる。
それをやるのに、いつからでも、どこからでも、遅すぎることはない。

これから、学んだことを少しずつ体現していきたい!

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