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pinkturquoise34
「いのちの初夜」北条民雄
先日、たまたまハンセン病患者の方の療養施設「全生園」の前を通りかかったことがきっかけで、この本に出会いました。
「若くしてハンセン病を患った青年は、半ば強制的に療養施設に入所させられる。自分の運命を呪い、自殺すら考えた青年を絶望の淵から救い出したのは、文学に対する止めどない情熱だった。差別と病魔との闘いの果て、23歳で夭折した著者が描く、力強い生命の脈動。」
90年前に書かれた作品ということもあり、書き手も、主人公の目線も、自身が差別されている立場にいるけれど、差別の価値観の中で生きている(それ以外の選択肢がない)ことを強く感じさせられた。
そういう中で生きるのは、本当に悲しくて辛かったと思う。実際に、この本に収められている8つの短編は、どれも、読み進めるのが辛くなるような話ばかりだ。
でも、どの話も、最後の最後で真っ暗にならない。絶望の先に最後の最後に残った光に目を向けているものばかりだった。そこに、なにか、いのちの持つ本物の光・輝きがある気がして、とても感動しました。
この本に出会えて良かったです。