「いのちの初夜」北条民雄
先日、たまたまハンセン病患者の方の療養施設「全生園」の前を通りかかったことがきっかけで、この本に出会いました。
90年前に書かれた作品ということもあり、書き手も、主人公の目線も、自身が差別されている立場にいるけれど、差別の価値観の中で生きている(それ以外の選択肢がない)ことを強く感じさせられた。
そういう中で生きるのは、本当に悲しくて辛かったと思う。実際に、この本に収められている8つの短編は、どれも、読み進めるのが辛くなるような話ばかりだ。
でも、どの話も、最後の最後で真っ暗にならない。絶望の先に最後の最後に残った光に目を向けているものばかりだった。そこに、なにか、いのちの持つ本物の光・輝きがある気がして、とても感動しました。
この本に出会えて良かったです。