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危ない橋を渡る
独立してから携わっている仕事の全ては独立する前には全く想像していなかったものばかりだ。
独立当時何となく持っていた勝算や、何とかなると思っていた根拠は、ほぼ全部外れた気がする。だから、今になって当時を思い返してみると、実はかなり危ない橋を渡っていたな、と感じる。でも当時、今みたいに生きられるということを予測するのは絶対不可能だったと思う。だから、独立に踏み切るうえで支えになっていた勝算とか根拠は、たとえ実は大外れだったにしても、意味があったような気がする。
独立した日の朝、仕事も肩書も収入もないのに、かつてないほど勇気と自信が漲ってきた。それ以外に持てるものがないので、自分の心が本気を出したんだと思う。あの感覚は本当に不思議で、あれを経験できたことは、僕の人生において大きな意味があったと思う。
今、ありがたいことに沢山のプロジェクトに関わらせてもらって、とても充実している。
やっていることの振れ幅が大きいので、「結局、何をやってる人なんですか?」と聞かれた時に簡潔に説明できないのがちょっとした悩みだ。でも、その振れ幅こそが僕の個性なので、それでいいのかなと思っている。
忙しかったり、責任の大きいことや難しいことも沢山ある。でも、誠実にベストを尽くす限りは、これから先どう転んだとしても、あの独立した日の朝より裸一貫になることはないように感じる。あの時でも、あれだけ勇気と自信を持てたのだから、これからも勇気と自信を持って、後で振り返ったら危ない橋だったとしても、直感を大切にして挑戦を楽しんでいこうと思う。