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再開のシンシアと未来のレストラン

明日から再開のシンシア。
ありがたいことに6月は全てのお席が埋まりました。
本当に考えされさせられることが
多かった2ヶ月間。

ひろこさんがシェアしてくれたひとつの物語。
長いですが時間のある時に読んでみてください。 

↓↓↓↓ https://toyokeizai.net/articles/-/353083?display=

読んだらなんだか切ないです。


"ここでパラシュートを開く決断をしたことに私はほっとしていた。パラシュートを開くタイミングが遅れて、木に激突することだけは避けたかった。"

料理人の魂を見せつけ、最後まで諦めず、しがみ付こう!自分たちの仕事の素晴らしさを証明しよう!!といつもの僕なら貫き通すところなのですが、もはやそうでもないのだと感じ始めました。
無理してギリギリまで諦めず、取り返しがつかないところまで行ってしまうより、早めに諦めて余力を残し、他のことを考えるべきなのかもしれない。

ラジオを聴いていると最近では「飲食店に求めるコロナ対策はどんな事?
なんて話題が多いです。
確かに僕たち飲食店は安全でなくてはいけません。
ただでさえ、家賃や支払い、集客や料理やスタッフ、今後のことや家族の事。悩みを抱えている殆どの経営者。そこにさらに席間を広く取ったり、マスクやアルコール、スタッフの体調管理までマストになっています。
でも必要以上に求めすぎるとあの自粛警官と同じことになります。
飲食店がクローズになれば従業員は解雇。オーナーシェフ本人も仕事や今後を考えなくてはいけません。
飲食店は本当にこれでいいのか。
僕が料理の世界に入った25年前と比べても、魚、肉、野菜、乾物、ほとんど全ての食材の値段は上がりましたし、スタッフの労働時間も短くせざるを得ないし、昔のように"修行"という名目での人件費の低さもありません。でも提供する料理の値段は変わらないので僕たち事業主への入金は変わらず。
どう考えても利益が増えているはずもなく、今のままでこの仕事に未来があるのかと考えてしまいます。
高級食材を多用する高級店は別として、
平常時、いつからか日本は安くて美味しいが当たり前になりました。


東洋経済の記事
↓↓↓↓

https://toyokeizai.net/articles/-/349279?display=b

以下抜粋↓

"高品質・低価格が「社会的善」であるというのは、平時の妄想です。平時に自慢していた「日本では非常に美味しいランチをワンコインで食べられる」という戯言の請求書は、有事のときに突き付けられるのです。"

まさにこれではないかと思いました。
世界に誇れるほどの日本の飲食店が、蓋を開けてみればこれほどモロいとは。
このままでアフターコロナを生きていけるのか?

"高齢化が進み、社会保障が充実している欧州先進国の物価がなぜあれほど高いのか、もっと真剣に考えるべきです。"

海外に行くとびっくりするほど食事が高いです。でもそれは僕たちがそう感じるだけで、世界ではスタンダード。

料理人は無記名の口コミサイトでの心ない一言にも真底凹んだりするものです。
でも飲食店もそれを気にしすぎて無駄な価格競争はやめるべき。
その上経済的な不安に悩み、今後はコロナへの対応に悩む。
僕たち職人を取り巻く、この少し変わった日本の食メディアの世界のあり方も考え直すべきなのかもしれません。
今回僕が力を注いでいる"Smile food project"
でもぐるなびさん、NKBさんをはじめ、食に携わる企業様からもたくさんのご支援をいただきました。
食の世界を生きるのであれば共に歩むのが筋。
こういう時に企業の本質が問われるんだなと思いました。

お店の価値や選び方も、価格や味だけで選ぶのではなく、生産者さんや携わる人達との関係や、お店としての考えを含めて選ぶべきなのではないでしょうか。

"コスパ"とはなにか?
安くて美味しいこと?

考え方は人それぞれですので、それが正しいかは分かりませんが、この一大危機は変化の時であることは間違いありません。
この忘れられない2ヶ月間は本当に厳しいものでしたが、学んだ事や気がついた事も多く、それを活かして、今は真っ暗闇の目の前の道、この先の道をしっかり照らしていきたいなと心から思いました。

だいぶ真面目すぎる暗い話になりましたがシンシアは少しでも多くの人に楽しんでいただけるように全力でやります!
これからもよろしくお願いしますm(__)m