意外と知られていないメルボルンのカフェ文化
おいしいコーヒーが飲みたいって時、どこに行きます?
…スタバ?
「ふーん、日本人スタバ好きだもんね〜」
…って、言ってみたくないですか?
言ってみたい?
ヨシャ!メルボルン行け‼︎
メルボルンには、スターバックスの本拠地、シアトルに住んでたライターさんも認めるコーヒー文化が根付いてます。
日本のコーヒーラバーが脱帽する「メルボルンのカフェ文化」
かくいう私も、2001年にメルボルンに降り立ってから、シティのお洒落なビジネスビルにスタバがあることを知っていながら、1年で数えるほどしか足を運びませんでした。
当時タバコ吸ってたし、配達に出ればほぼ毎日コーヒー買ってたにも関わらず。
ってか全く余談になりますが、もう何年もタバコ吸ってませんが、
「コーヒー飲みながらタバコ吸う「休憩」ってたまんねーなァ!}
っていまだに思います。吸わねーけど。
禁煙って、「タバコ吸いたくなくなる」コトではなくて「タバコ我慢するのが上手になる」ってコトだとホンマに思う。
だから覚醒剤って、タバコの何倍も依存性が強いっていうの、なんとなく想像がついておっかねーな…って思います。
だから「1回くらい…」はマジでダメ!絶ッッ対‼︎
イヤ、話逸れちゃいましたが、メルボルンに住んでる人たちは、スターバックスが太平洋の反対側からわざわざやって来なくっても、ナンボでもお気に入りのカフェがあって、腕の良いバリスタがたくさんいて、美味しいコーヒーを日常的に、スタバよりも安く楽しんでました。
メルボルンにはイタリアからの移住者が多く住む地区があったり、「リトル・イタリー」の異名を持つ「ライゴン ストリート」っていうイタリア料理店の並ぶ通りがあったり、そもそも世界中からの移民の多い街ではあるけれども、ことコーヒーに関してはイタリアンなエスプレッソをベースにした独自のカルチャーが確立している気がします。
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日本食材の卸の会社でアルバイトを始めて間もない頃、上司と配達・営業に回ってたら、シティのド真ん中で突然上司が
「オッ、シン!今カフェあったろ?ちょっとラテ買って来てくれよ。自分の分も買っていいぞ。次のトコ(配達)、海苔だけだろ?行っといてやるから」
って言って私に10ドル札を渡すと、クルマをローディングゾーン(配達車が積み下ろしのために停めることのできる駐車エリア)に停めるやいなや、寿司海苔持って行っちゃいました。
仕方なく今来た道を歩いて少し戻ると、小さなカフェがありました。
デカいエスプレッソマシンに、ショーケースには2〜3種類のケーキと、レジの横にビスコッティみたいのが少し置いてあって、店内の座席もそんなに多くない、テイクアウェイ(オーストラリアではテイクアウトよりもテイクアウェイの方が一般的。イギリス英語かな)が中心っぽい印象のシティらしいお店。
「Ciao!!」
モミアゲが頬にとんがって突き出した形に整えられた、いかにも「陽気なイタリア兄貴」って雰囲気のスタッフさんにラテをふたつ注文しました。
イタリア兄貴はエスプレッソマシンの前に立った、これまた陽気そうな「ハンチング兄貴」にオーダーを通し、ハンチング兄貴が鼻唄まじりにエスプレッソマシンを操作して、エスプレッソを抽出し始めます。
同時にハンチング兄貴がステンレスの器を両手で大事そうに抱えてエスプレッソマシンから伸びたノズルに近付け、中身のミルクにノズルから吹き出すスチームで チュルチュルチュル…‼︎ と音を立てながら泡立てます。
ハンチング兄貴が手品のような滑らかな動作で泡立ったミルクをエスプレッソに注ぐと、イタリア兄貴がカップに蓋をして、ウインクしながら差し出してくれる。
マジでカッケー。映画みたい。
そりゃワーホリメーカーみんな「帰国したらカフェやりたい」って言うわな…!
ラテふたつと一緒に持って配達車まで戻ると、上司は既に戻り、助手席に座って私を待ってました。
私が差し出したラテを、私がラテに砂糖を入れてる間にノンシュガーですすった上司は眼を見開いて、
「オォッ⁉︎ シン、美味いぞコレ!」
と興奮しています。日頃から裏表のない、少年のようにピュアな上司ですから、こういう時のリアクションは本当に良い。
私も期待を込めて一口飲んでみると、オォッ、なるほど美味い!スタバで初めて「エスプレッソ」というものを使った飲み物を飲んだ時に「濃ォッ!」って受けた衝撃に加えて「太ッと!」っていう衝撃も加わった感じ。濃いばっかりじゃなくて、なんだか厚みを感じるような奥深いような味わい…!
「シン、おまえ良い店見つけたなァ…!」
って、いつの間にか私がみつけた名店ってことかになってるし、上司もこのコーヒーも素敵だなァ…と感動しつつ、この「Grand Shot」というカフェは、この先1年間、シティでラテを飲みたくなるたびに通い続け、帰国直前にはスケボーにお店のステッカーを貼ってもらい、今でも思い出しては目を細める名店です。
今でもあると良いな…。そして変わらず陽気でいて欲しいな…。