BBQはビービーキューって読まないの
しばらくお世話になる美佐子さんと夫のクリスの家に着くと「夕食は歓迎バーベキューよ!」って。
オーストラリアでは色んな言葉を省略する時に、単語のふたつめの音の後に「〜ie」をつけることが多い。
最も代表的なものが、「Australian」を略して「Aussie」。
バーベキュー自体のことも、バーベキュー用のグリルのことも「Barbie」って言う。
ちなみにバーベキューを「BBQ」って表記してあることがあるけど、会話の中で「ビービーキュー」って言うことはない。
もういっこ、バーベキューの定義って、バービーで焼いたモンをテーブルに持ってきて、ちゃんと席について食べることらしい。だから、グリルを囲んで肉を焼いて、皆で突っついて黄金のタレとかで食べるヤツはやっぱ「焼肉」なのだそうな。
ってかそういうのどうでもよくて、この時にクリスが焼いて作ってくれたステーキサンドとホットドッグが眉間を撃ち抜いた。
こういうの、フルハウスとかで見て憧れてたヤツやん…。それに、特別な集まり、仲間とバーベキューとかじゃなくても、日常生活の中で、なんなら平日でも、夕食バーベキューにしよっか。みたいな流れでバービー出してきてソーセージ焼いても良いんだ!っていうのは、なんか発見だった。
ステーキサンドもホットドッグもパン使ってるし、やっぱ食事なんよな…。
で、このソーセージとの出会い、そして私との相性の良さは、このワーホリをかなりイージーにした。
オーストラリアの一般的なソーセージは、いわゆるシャウエッセンみたいなヤツじゃなくて、日本のスーパーではまず見かけない「生ソーセージ」だ。ミンチを羊の腸に詰めてねじった状態のヤツ。だからパックから出すと柔らかいし、そのまんま食べたら5億パーセント腹こわすヤツ。中身は生のミンチだからね。シャウエッセンとか袋から出したまんま冷たい状態で食べてしまう私にはアンビリーバブルな食べ物…
…と思っていたら、焼いたソーセージが劇的に旨かった。
"肉々しさ"がケタ違い。しょっぱくて、歯応えも肉汁もハンパない。ビールに恐ろしく合う。
ドイツ人が食べてるのはコレか!ポンニチの「あらびきウインナー」はドイツっぽい名前のヤツ多いけど…多分違うな、ありゃハウスのカレーと同様「日本食」だな…とか思いつつ、生ソーセージにハマってしまった。
あんまりおいしかったから、1パック分、8本をひとりで食べてしまった。
コレにはクリスも驚いて、以降しばらく、家族や知り合いに、日本から来たヤツがクレイジーで、ソーセージ8本も食べたんだぜ⁉︎ってネタにしまくってたらしい。
そのくらい私はソーセージにハマったし、他のどんな肉よりも安くて食べ応えのあるソーセージには助けられた。
そんな私を見て、クリスは言った。
「Shin…、ソーセージがどうやってできるか知ってるか?
Machine があるだろ?
で、Cow がいるだろ?
Cow を Machine に入れる。
そしたら Machine の反対側からソーセージになって出てくる。
だからお前が食べてる1本のソーセージに、Cowの鼻が入ってるやら爪が入ってるやら分かったもんじゃないんだぞ!?
だいたいMcDonaldだってな?「マックシェイク」って言ってるけど「ミルクシェイク」とは言ってないだろ?
マックシェイクにネズミの乳使ってたってOKなんだからな!?」
やめとけって…オレオーストラリア到着した日からエラい衝撃的な話ばっかり…!
ソーセージブームに続いてミートパイブームがやってきた時にもクリスは、
「Shin… ミートパイはラクダの肉で作るんだぞ…? だから"ビーフパイ"って呼ばないんだ」
って言うし(でも、どうもソレはガチだったみたい)、レモンコーク飲んでたら、
「Shin… コカコーラ社はあらゆる飲み物にカフェインを入れたいんだ。スプライトとかファンタとか、最終的にはフルーツジュースにも。そうすりゃよく飲むヤツはカフェイン依存症になってどんどん売れるだろ?そのとっかかりとして開発したのがレモンコークだ。もともとカフェインの入ってるコーラに、フルーツを組み合わせて、だんだん違和感をなくしていく戦略だ。次はスプライトとかファンタにカフェインが入るぜ」
って言うし、食べ物に関するゴシップみたいな話が大好きな"ホストファーザー"で面白かったな…。