配達車の思い出

メルボルンでのワーホリ中、1年間で何km走行したか分からないくらい配達車や自家用車を運転した。

仕事で乗ってた配達車は、ミツビシのバンが2台とベンツの冷凍車が1台あって、ミツビシの方はMT、ベンツはATだった。仕事で運転するのはこの3台の配達車の他に、営業中心で回る時は社長のランドローバーと、上司のトヨタだったかな…プリウスっぽい形のセダンかハッチバックがあった。

ミツビシの2台はすっごいシンプルな造りで、同僚の日本ではハチロクに乗ってたっていうヤンチャな同い年はクラッチを踏まずにシフトチェンジする技を見せてくれたり、結構みんなガチャガチャ扱ってたけど、故障もなく、元気な車だった。

私はこのミツビシ2台で、「登り坂での信号待ちを半クラで停める」テクニックを身に付けた。

ハチロク乗りの同い年の他にも、同僚のワーホリメーカーはみんな清く正しくハチャメチャで、イタズラ好きばかりだったから、素直で良い子だった私たちは(私は特に!)、よくイタズラにハメられた。

午前中の配達が終わると、午後便の1発目に出る車を倉庫の搬出口につけておくのだが、この時に色々仕掛けられるのだ。

・ラジオのボリューム全開
・ワイパー全開

なんかは日常茶飯事で、積み込みが終わって運転席に乗り込み、エンジンをかけた途端にラジオが爆音で鳴り響いて「ワァァァァ‼︎」と大パニックになると同時にワイパーがシュールに猛スピードで動きまくる!

そんな中「ワァァァァ‼︎」となったまま必死でラジオの音量を下げ、かろうじてワイパーを止めて、心臓バックバクさせたまま、配達に出発する前に既にグッタリしている私の様子を見て爆笑するのだ。

悪ノリにノリまくってる時には、紐でワイパーの操作レバーを手前に引っ張った位置で固定しておいて、爆音・ワイパー全開に加えてウォッシャ液まで全開っていう3点に加えてシフトノブが手製の男性器の形の彫刻になっているコトもあった。
コレも昼休みに何日かかけて木の棒から削り出した「作品」だったが、コレはさすがに社長に見つかって大目玉を喰らった。

今は絶対にできないし、当時ももちろんNGだったのだが、何度か職場の食事会の帰りなどに、電車で帰る同僚を配達車で駅まで送ってあげたコトがあった。
ある日、ベンツの後ろの冷凍車に同僚を乗せた時にふと思いついた。

「冷凍庫のスイッチ…入れたろw」

後ろに手を伸ばして冷凍庫のスイッチを入れると、ファンが回り出して、同僚の乗った庫内に冷気が流れる。

「ワァァァァッ‼︎」

って声が聞こえて、同僚は「コラー!シンちゃーん‼︎」って喚きながら壁をドンドン叩いている。
私は可笑しくて、クククッと笑って冷凍庫のスイッチを切った。

中学校の、悪ふざけし合ってゲラゲラ笑ってた仲間のような関係があの時の職場にあった。
イタズラはするけど、配達はメチャメチャ早いし、客からの評判も良かった。
私もアルバイトながら配達の合間に営業もして、微力ながら拡販に貢献していた。

充実した毎日だった。

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