冷たいプラスチックの味。【もう一度読む『ささめきこと』1巻②】
前回のあらすじ
もう一度、ささめきことを読み始めたネコ彦。しかし、1巻の一話で語りすぎてしまう。
前回くらいの詳細な感想を全話につぎ込んでたら9巻までたどり着かないので、ほどほどで行くよ~!
その2 かわいいひとたち
連載一話目となる今話では、純夏のおかれた状況をまとめたモノローグとともに、1ページ目から「村雨純夏」「風間汐」の名前が出されています。読み切りであった前回が名前という情報量を絞っていたのに対して、連載にあたる方向性の変化が見て取れますね。切り替え大事。ちなみにキョリちゃんは次回まで名前が出てきません。
それで、今回は朱宮君の登場回です。(朱宮君の話ってこんなはじめだったっけ……)とはいえ、この話の朱宮はなんやかんや振り回されるだけで、メインは「カワイイ」という言葉に振り回される純夏のお話。
「カワイイ」読者モデルにお熱な風間の隣で「もっとかわいく生まれたかったな」と悩む純夏。そんな時に朱宮君に「村雨さんはかわいいと思うよ」と言われた純夏は発言の意図など全く考えず飛びつき、調子に乗って花束を片手に風間の家にGO!
風間が絡んだ時の、こういう勢いのあるポンコツな村雨さんはかわいいと思うよ。
で、そのまま風間とコンビニまでお散歩中、風間からも褒め褒めタイムが始まり、純夏が「よし!!」となったところで、風間が一言。「私のタイプとは違うけど」
これは効きますよ。クリティカルヒットです。風間からすれば「恋愛感情としてではなく友達として好き」と純夏を安心させるための一言だったのかと思いますが(風間ならただの天然かもしれないけど)、それが裏目に出てしまった。
で、なんやかんやあって朱宮君と片想い仲間みたいになるまでが2話です。え、まだ2話!?
個人的に、蛇足の2の朱宮君がめちゃくちゃかわいいので好きです。
その3 ファーストキス
2ページ目の急展開に思わず笑ってしまう回です。もとい、みやこと朋絵の初登場回です。この二人の存在は、前回の記事で触れた、純夏が恋を隠す理由における相手が女性であるという要素の排除という点においても、重要であると言えますね。
で、目撃してしまった二人のキスに感化された風間がキスをしたくなり、なんやかんやあって、この作品を代表する名シーン「冷たいプラスチックの味」に繋がることとなります。
またまた「風間は私なんか見ちゃいないんだ……」と落ち込む風間。しかし、風間は友達としてとはいえ純夏のことが大好きなので、風間は多少の勘違いの末に、純夏のため、お面をつけて純夏と「ファーストキスレッスン」をすることになります。そしてその好意に嬉しくなってしまう純夏。ささめきことでは何度も繰り返されることになるこの構図を、最も印象的に描いた話でした。
その4 4+1
でた女子部。そして振り回される朱宮君。ショートもかわいいね。ちょっと純夏さん、朱宮君を乱暴に扱いすぎでは……?
風間のために女の子を集めているのに「風間と相思相愛になっちゃったら」という純夏の葛藤があったりします。純夏は風間が自分の眼中にないことで落ち込んでも、諦められはせずにいますからね。
その5friends
風間の家で料理を爆発させる回です。今回はなかなか楽しい話ですね。前回も愉快でしたが。本格的にみやこ朋絵と仲良くなるこの回はそのまま「friends」と題されています。
個人的に、帰り道で朋絵が純夏に感謝を伝えるシーンが好きですね。「恋人とは二人きりがいいが 友達とは大勢の方が楽しい」まあ、はたから見て近寄りがたいですもんあの二人……それを風間と純夏(とキョリちゃん)はなんだかんだで受け入れているわけです。みやこと純夏の「仲良く喧嘩しな」な関係が微笑ましい。
その6 二人の夜
話の流れとしてはいつも通りの、風間「大好き」→純夏「////」→風間「友達としてね」→純夏(T T)という流れですが、お泊りなだけにドキがムネムネです。仮面越しのキスもドキドキだったけどね。
それでまあ、いけだたかし先生だんだんとギャグのキレが良くなっていく。道場やぶりが一コマで倒されるシーンとか、勢いが良くて好きです。
一巻を通して
一巻ってこんなに風間なびかなかったっけ! 純夏も大変だね。
あと一話づつ感想書くのは疲れるので次巻からは巻ごとにもっとざっくり語ります。さっきも似たようなこと言っていた気がするけど気のせいです。よろしく。
(ネコ彦)
今回の書籍
ささめきこと 1(いけだたかし/メディアファクトリー)