【レポート】1/25に、信州つなぐフォーラム(成果報告会)@塩尻を開催しました。
こんにちは、事務局の大宮です。
9月のキックオフ合宿からスタートした「信州つなぐラボ」第1期ですが、前回の記事(小川村)、前々回の記事(長野市鬼無里地区)でレポートした通り、参加メンバーによるプロトタイプ(実践活動)もひと段落。
その成果や課題、今後の展望について報告させていただくために、先週金曜日、信州つなぐラボの成果報告会(信州つなぐフォーラム)を開催しました。
場所は塩尻市にあるえんぱーく。当日は県内の自治体関係者など、合計70名弱の方々にご参加いただきました。以下、当日の様子を事務局目線から簡単にご報告します。
「ガリガリくんサイズの解像度」で地域を見よう
フォーラムは、「関係人口」という言葉の提唱者でもあり、全国での実践や発信を続けている月刊ソトコト編集長の指出一正さんの基調講演からスタート。指出さんが全国で関わられている豊富な事例を紹介いただきながら、つながり人口(注:長野県では、「関係人口」を「つながり人口」として表現しており、記事の中では「つながり人口」で統一しています)を生み出すコツやその可能性についてお話いただきました。
基調講演をしていただいた月刊ソトコト編集長の指出さん。豊富な事例を踏まえ、つながり人口の可能性についてわかりやすく語っていただきました。
目からうろこの話ばかりだったのですが、その中でも個人的に印象的だったのは、地域の魅力を見つける際に指出さんが大切にされているという「ガリガリくんサイズの解像度」という言葉です。
地方や地域の魅力を表現するとき、「豊かな自然」「美味しい空気」というように、私たちは、どこの地域にも当てはまるような抽象度の高い言葉を使ってしまいがちです。指出さんのお話を伺いながら、小さくても解像度や具体性の高いストーリーを地域の中で見出し発信していくことが、地域のコンテンツづくりや情報発信、つながり人口の創出にとって重要なのだと改めて感じました。
ともに体験することで愛着が湧く
続いて、小川村と鬼無里地区の参加メンバーから、それぞれの実践活動についての報告がありました。今回の第1期プログラムに参加しているメンバーは、全員が普段は都内や大阪などで別の仕事をしている社会人。限られた時間の中で、小川村や鬼無里の人々とつながりながら、「都会と信州をつなぐ、新しいカタチ」を考え、実践してきました。
発表の中では、「一緒に体験することで地域に愛着がわいた」(地元の方と都会からの参加者が一緒に蔵を改修する実践活動:小川村)、「子どもたち同士が学び合う姿に可能性を感じた」(親子連れの参加者同士が雪遊びで交流した実践活動:鬼無里地区)、「自分たち自身が一番のつながり人口になった」など、実践を通じて得たポジティブな実感や学びが共有される一方で、拠点や仕事がない地域との関わりを継続していくことの難しさや悩みについて、また参加者の自己実現だけに終わらない地域との関係づくりについての課題など、率直な意見交換もなされました。
蔵の改修と活用を通じてつながり人口創出につなげることを目指した「ナカラリズム」チームの発表スライドの一部。ポップで個性的な発表がとても素敵でした。
「流動創生」が、心の過疎を解決する
それぞれの地域からの成果報告のあとは、指出さんモデレートのもと、受け入れ自治体の職員さんや参加者によるパネルディスカッションを開催。受け入れ担当者やプログラム参加者として、この事業に対して感じたことを率直に共有しながら、今後の事業の方向性について意見交換しました。
指出さんモデレートのもとプログラム参加者・受け入れ自治体担当者でパネルディスカッション。
受け入れ自治体の職員のみなさんからは、今回の事業を通じてこれまで地域にはきてくれなかったような層と接点を持てたこと、プロジェクトの進め方で新たな発見や学び、驚きがあったこと(例:オンラインでの仕事の進め方など)、参加者が自分たちの地域について本気で考えてくれたことで、事業に対する向き合い方についてポジティブな変化があったことなど、つなぐラボの取り組みやつながり人口について感じた可能性について言及があった一方で、普段バラバラにいる参加者と合意形成を進めていくことの難しさや、今後地元への取り組みの発信についての課題などについても指摘がありました。
個人的に印象的だったのは、ディスカッションの中で指出さんが挙げられた「心の過疎」と「流動創生」という言葉。「過疎化する地域では、人の過疎よりも心の過疎の方が問題」「地方創生ではなく、流動創生が大切」という考え方は、とても胸に響きました。
これらの言葉は、指出さんがつながり人口創出の重要な実例のひとつとして取材された福井県南越前町の荒木幸子さんや山岸達也さん、西川さんが、その取り組みの中で語っておられたことのようです。
心の過疎は、人や情報の流動性の低下によって引き起こされる、だからこそつながり人口のような流動性やそこから新たな取り組みを生み出す事業が地域にとっては大切であるという指摘は、私自身がこれまでの地域での取り組みを通じて実感してきたことと重なるものです。「流動創生」と「心の過疎」をなくす取り組みが、今後より一層人口減少の進む地域にとってカギになる。そんなことを改めて感じたセッションになりました。
パネルディスカッションのメモの一部。たくさんの言葉が紡がれるセッションになりました。
つながり人口の輪が県内に広がるきっかけに
最後は、フォーラムに参加していただいたみなさんで感想共有をし、フォーラム終了。プログラム全体の企画設計を担ってきた私たちにとっても、学び多き機会になりました。今回のフォーラムにご参加いただいた方々の多くは県内の基礎自治体関係者のみなさん。ぜひこのフォーラムから、つながり人口創出に向けた新しい取り組みが県内各地に広がっていくことを願っています。
次回の投稿では、フォーラム翌日に開催された現地報告会の様子をレポートします。どうぞ、お楽しみに!
最後は、ゲストできていただいた指出さん、当日参加してくれた鬼無里地区・小川村双方のプログラム参加者やメンターのみなさん、受け入れ担当者、県庁の担当者のみなさん全員で記念撮影。平日に、本当にお疲れ様でした!