ボリュームを一つ上げる 〜SUPER BEAVER〜

少し長いラブレターを。


以前にもどこかの記事で書いたことがあるのですが、僕にはかなり根強く残ってるトラウマがありまして。

専門学生時代、当時18歳だった自分がアルバイトとして働いていたお肉料理の専門店での出来事なんですが、その店はすごく昭和の名残が強い店だったんです。

暴力が日常にあって、個人のモラルを汚すような発言がかなり頻繁にあるお店でした。(思い返すと、今の時代でいうハラスメントと言われる類のものは全部あった店でした。)


“こっちは金を払ってる側だ、それに見合う仕事をしろ。”

“お前、飲食店向いてないよ”

“商売としてやってることに甘い私情は邪魔な存在だよ”


当時若すぎた自分にはどれもかなり衝撃的な言葉でした。

いろんな本を読んで、この歳になってようやくあの時の言葉の意味やパワハラの意味を理解できるようになったのですが、当時の僕は全て排他的な人間による同調圧力のように捉えていたんですね。
僕は白いものを黒と言えない性格だし、なんなら青も赤も緑もある方が面白いと思ってる人間です。
なのでとにかく自分を否定されるのが辛くて辛くて仕方がなかった。白にも黒にもなれない中途半端な自分が大嫌いになってしまったんですね。

暴力を受けて、仕事でミスをしては人格ごと貶され、次第に心は鬱になり、大好きな料理を嫌いになり、あの時人生で初めて逃げるという行動を取りました。

カッコ悪いな、と、今でも思います。
情けない。



当時、ライブハウスが僕にとっての逃げ場所になりました。

学校に行くと周りの人たちは楽しそうに料理の勉強に勤しんでいて、全てぶん投げた僕からするとキラキラした目が日に日に鬱陶しくなってしまいました。
その結果として居心地が悪くなって、サボってライブハウスに行く回数が増えました。


思い返すと、「わかるよ。」と言ってくれる味方が欲しかったなぁ、と切に思います。

自分と同じような痛みを持った人が1人でも近くにいて、抱いていた夢と現実の差異を同じように悩んでくれる人がいたら、一緒に痛みを分かち合えていたら。あんなに苦しい18歳を過ごすことは無かったんだろうなって思います。


ライブハウスで出会った仲間は、仲間ではあるけど当時は同じ痛みを分かち合えるわけではありませんでした。

なぜなら当時の僕がライブハウスに求めていたものは逃亡先です。
なので、そこを語らなくても楽しく関わり合える関係を築きたかったので、あえて話すのを避けてきた節も少しあります。(今は、そこも含めて僕なんだと受け止めてくれる関係になれた仲間が増えたと感じてるし、この先もあの時のおかげで今があるんだと言えるようになりたいので、こうして書き記しておきたいと思った次第です。)

つまるところ、生涯付き合うことになるであろうライブハウスの仲間は、その逃げた先で見つかったのも事実ではあるんですよね。

なので、僕はライブハウスに救われた人間だし、ライブハウスで出会った友達に存在を受け入れてもらって、音楽に助けてもらってきた人間です。惑うことなきライブハウス出身な訳です。

そういう意味ではそこに逃げこむきっかけになったパワハラもトラウマも、良かったことなのかな?

いや、書いてて思ったけど、まだ言い切れないかもしれません。

そう言えるようになるのは多分もう少し先の話です。

もしかしたらもっともっと先の話かもしれない。これからの自分の成長次第です。







僕は、大好きなライブハウスで、あなたに出会って、起こしてもらった人間です。

ここぞという時、ここが勝負だと思う時に、僕はいつも音楽に頼ります。1番最初に聞くのはいつもこの歌です。

あなたの言葉に救われて僕は今も料理を続けてます。

メジャーから落ちても好きなことを諦めなかったあなたに憧れて、あなたの背中を見ながら今でも大好きな料理を続けてます。

あなたを初めて見た時の僕はどう思ったんだったかな。

確か、強い人だなぁって思ったんだと思います。
して、その時に。強い人、って結構抽象的な言葉だけど、具体的にどんな人なんだろうか?って考えました。いつもの癖です。

喧嘩が強い人?確かに言葉上はそうだけど違う。
お金をたくさん稼げる人?確かに強いけど少し違う。
頭が良くて人生の効率がいい人?おそらく1番強いけどそうじゃない。

僕は、痛みをわかる人だと思う。

痛みを知ってても、それでも笑ってる人が1番強いと思う。

あなたの歌と言葉に説得力を感じるのは曲の随所に痛みがあるからだ。きっとこれまでの歩いてきた道で悩んで、転んで、また悩んで、それでもどうにか楽しくしてやろうともがいて、その結果沢山の大切に出会っていったんだろうなって思います。

あなたがメジャーの世界に行った時。
僕が飲食の世界に行った時。
あなたがメジャーから落ちた時。
僕が飲食を辞めようと思った時。

もしかして、同じ気持ちだったんじゃないかな?って思いました。
烏滸がましくてすみません。

でも、だからかわからないけど。あなたの歌は僕にすごく優しい。間違いなく人生で1番の理解者だ。「わかるよ。」って耳元でいつも言ってくれてるように感じるし、その言葉は当時18歳の僕が1番欲しかった言葉です。


僕は他の人と同じように、人並みに傷ついて、人並みに苦労して、人並みに痛みと向き合ってきた18歳を過ごしました。

人に言わせれば僕の抱えているトラウマはその程度のことかと言われることもあるかもしれないけど、痛みは痛みです。

ちゃんと傷ついて、ちゃんと向き合ってこれたのはあなたが耳元にいてくれたからです。

あなただけは味方だった、あなただけが理解者だった。
ずっとずっと味方でいてくれた。


そして、6年経った今。
諦めずに料理を続けてきた結果、小さなお店の料理長を任せていただけることになった。

17席の小さなお店の料理長として、これから新しい生活が始まります。
当時、大好きな料理を全部投げ捨てようとしてた自分からすると考えられなかったことです。

もちろん、ここがゴールではないです。自分の会社を立ち上げて、「音楽が好きな人が集まるダイニング」が僕の最終目的地です。

それでも、今この場所は立派な一つの到達点だと思ってます。

本当に、諦めなくて、本当に良かった。

あの日の自分に見せてあげたい。
言葉に傷ついて夢を捨てようとしてた自分に。今ならあの時の嫌味にも中指を立てられると思う。


”お前、飲食向いてないよ”

それでも料理が好きだから。

”商売としてやってることに甘い私情は邪魔な存在だよ”


市場価値だけが、人間の価値じゃない。



これから先、まだ未熟すぎる僕はきっと今まで以上にたくさん苦労をしていくんだと思う。
後ろ指を刺されることだってあるかもしれない。
けど、あなたが教えてくれたこの言葉を胸に僕はこの先も頑張れると思う。


「馬鹿にされたり、後ろ指を刺されることだってあるかもしれない。けど、鼻で笑われてからが勝負だ。」


そうでしょ?SUPER BEAVER。





ーーー








度々烏滸がましいことを言うけれど、僕はあなたのような人になりたい。

馬鹿だねとか、カッコ悪いねって言われても、自分の大切に思ってるものをしっかり軸に持って歩いていけるような人間になりたい。

正直僕は自分の性格をあまり好きじゃない。
きっとこれから先もなんでも考えすぎてしまう癖は治らないし、ずーっと隣の芝は青く感じてしまうだろうし、他人の顔色を伺い続けてしまうだろうし、石橋は叩かないと気が済まないんだと思う。

それでも、
あなたのように、強い人に僕はなりたい。
あなたのように、まっすぐ自分の足で歩いていけるような人に僕はなりたい。
あなたのように、痛みに寄り添える人に僕はなりたい。
あなたのように、「わかるよ。」を言える人に僕はなりたい。


沢山の大切に気づかせてくれて、ありがとう。

これからもずっと僕の耳元にあなたがいてくれると、思うと何にも怖くない。(とまでは言い切れないかもしれないけど)


こんなおおっぴらに啖呵切るのはもしかしたら恥ずかしいことなのかもしれないけど。
こんな時だからこそ大きな声で言いたい。

僕はいつか、SUPER BEAVERと仕事がしたい。

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Shinyα
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