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【未来をカラフルに描こう!】キャリア・レインボーでライフステージごとの戦略を作る

1. 人生はいくつもの“色”でできている

キャリアカウンセラーのしんです。
仕事・家庭・趣味など、人生は長くさまざまな役割や活動が同時進行していきますよね。たとえば20代のころは「一心不乱に仕事を頑張りたい」と思っていたのに、30代になると「家庭やプライベートも大切にしたい」と考えが変わることもあるでしょう。(ちょうど私もその過渡期にあり考え方が変化しつつあるのを実感しています。)
そんな「ライフステージによって移り変わるキャリアの色」を可視化できるのが、今回ご紹介するキャリア・レインボーという考え方です。
現代では当たり前となっている多様なキャリアの考え方の先駆けとなったお話になります!

この記事でわかること

・キャリア・レインボーの基本概念と活用メリット
・ライフステージごとに変わる役割や価値観の整理方法
・今の自分に合ったキャリア戦略を立てるための具体的アクションプラン

「将来のことを考えるとモヤモヤする…」「仕事や家庭、どちらも大事にしたいけど優先順位が見えない」という方に、ぜひ参考にしていただきたい内容です。



2. キャリア・レインボーとは?

ライフステージごとに多彩な役割が重なる

キャリア・レインボーは、キャリア研究の第一人者であるドナルド・E・スーパー(Donald E. Super)が提唱した「ライフ・キャリア・レインボー」という理論が元になっています。(歴史は古く1950年代の理論です…!)人は一生を通じて、複数の役割(ロール)を同時並行で担いながら成長し続けるという考え方です。

代表的な役割の例

引用

これらの役割は人生のどの時期にも同じ割合で現れるわけではなく、「成長期」→「探索期」→「確立期」→「維持期」→「解放期」といったライフステージの変化に伴って、その比重や優先順位が変わっていきます。


3. なぜ“レインボー”なのか?

レインボー(虹)が象徴するのは、時間の経過とともに変化する多彩な役割です。たとえば、仕事をメインとする赤い帯が太くなる時期もあれば、家庭人としての青い帯が大きな意味を持つ時期が来るかもしれません。このように、一人ひとりのライフステージによって虹の色や濃淡が異なるのです。

キャリア・レインボーで得られるメリット

  1. 将来のイメージが具体化する
    自分が今、どの“色”(役割)に比重を置いているかを把握し、将来その比重がどう変わりそうかを視覚的に捉えられる。

  2. 葛藤やモヤモヤの正体を探れる
    仕事に全振りしたい一方で家庭も大事にしたい…というような、両立への葛藤が生まれる原因を客観的に見やすくなる。

  3. キャリア戦略の優先順位が立てやすくなる
    自分が本当に大切にしたい価値観に気づき、今どんなリソース配分を行うか、具体的な行動計画を立てやすくなる。

ライフ・キャリア・レインボーの例(引用

4. ケーススタディ:中途入社3年目、山田さん(30歳)の場合

  • 背景: 29歳で前職を退職し、ITベンチャー企業へ転職。仕事は充実しているが、結婚を意識するパートナーとの将来や親の介護問題も頭をよぎり始める。

  • 悩み: 「仕事で成果を出したいが、家庭とのバランスやワークライフバランスも考えたい。それにいずれは実家の両親をサポートしなくちゃいけないかもしれない…」とモヤモヤ。

  • 行動: キャリア・レインボーを描いてみたところ、現在は“勤労者”の帯が最も太い状態。しかし近い将来の“家庭人”や“余暇人”の比率を高めたい気持ちもあると気づく。

結果

  • 自分の優先順位を可視化
    今はキャリアアップを主軸にしながら、パートナーとの時間も確保。体力や意欲がある今のうちに多少ハードワーク知るのが大事かもしれないと納得。将来を見越したワークライフバランスも設計し始めることに。

  • 将来のアクションへ展開
    「両親の介護が必要になったらどうするか」「結婚後はどのように家事分担するか」など、時間配分や収入面のプランをパートナーと話し合うきっかけになった。

「自分の“人生の帯”が見えたことで、仕事と家庭の両立に対する不安が薄れました。むしろ“今はこれに集中しよう”という腹づもりができたので、気持ちが楽になりました」と山田さん。
このようにキャリア・レインボーを用いると、人生を俯瞰しながら優先順位を決めるプロセスがスムーズになります。


5. 今日からできる!キャリア・レインボーの描き方

ステップ1:自分の役割を書き出す

  • やること: 「子ども(家族の一員)」「勤労者(会社員など)」「配偶者」「余暇人(趣味や遊び)」など、あなたが担っている役割、もしくは今後担う予定のある役割をリストアップする。

  • ポイント: 忘れがちな地域活動やボランティア、オンラインコミュニティの役割なども含めると、より自分らしさが見える。

ステップ2:時間軸を設定する

  • やること: 大きく「現在」「5年後」「10年後」など区切りを決めて、どんな役割がどのくらいの比重になるか予想してみる。

  • ポイント: 紙に虹の帯を描くように、役割を色分けして太さを変えていくイメージ。たとえば、現在は“勤労者”が太めで、“家庭人”が細めなど。

ステップ3:それぞれの時期に必要な行動を考える

  • やること: ライフステージに応じて、「ここでは仕事をがんばる」「ここからは家族との時間を増やす」「余暇を楽しむ余裕を確保」など具体的なイメージをメモする。

  • ポイント: 実際どうなるかは状況次第なので、柔軟性を持って考える。あくまで“仮の未来図”として楽しんで描く。

ステップ4:家族や友人と共有する

  • やること: パートナーや親、親しい友人と話し合い、「自分はこんな未来図を想定してるんだよね」と共有してみる。

  • ポイント: コミュニケーションを通じて、新たな発見やすり合わせが進む。協力体制や理解を得るきっかけにもなる。


6. キャリア・レインボーがもたらす心のゆとり

キャリア・レインボーを描くプロセスでは、自分がどんな価値観を抱いているか、何に喜びを感じるかが徐々に明確になります。ライフステージの変化に合わせて優先順位を変えるのは、決してブレることではなく、自然な成長なのです。

仕事だけに全力投球していた20代があり、30代で結婚や育児にシフトする人もいれば、逆に40代で転職を決意し、50代で地域活動を活性化させる人もいる。虹の色合いは人それぞれ。だからこそ、「自分のレインボーはこうありたい」というイメージを持つことが大切です。


7. まとめ:あなたの虹はどんな色?

あなたの人生は、いくつもの色(役割)が重なり合ってできています。キャリア・レインボーを描いてみると、「今が大事な勝負期」「次は家族を中心に」「将来は社会貢献にも力を注ぎたい」といった具合に、未来への見通しを具体的に作ることができます。

「仕事と家庭、どっちも大切にしたいけどモヤモヤする…」そんなときこそ、キャリア・レインボーを思い出してみてください。今のライフステージと、これから訪れるステージを眺めれば、「今はこれを優先すればいいんだな」と気持ちに余裕が生まれるはずです。


参考文献 & 注意書き

  • Donald E. Super, “Career Development: Self-Concept Theory,” College and University, 1963.

  • 厚生労働省「人生100年時代のキャリア形成」ガイドライン

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、法的・医療的アドバイスではありません。個別の状況に応じ、専門家(医師・弁護士・公的相談機関等)にご相談ください。

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