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【仕事が楽しいって本当!?】ワーク・エンゲージメントでエネルギーを高める秘訣
1. 「仕事に前向きに取り組めない…」そんな悩みありませんか?
キャリアカウンセラーのしんです。
「仕事にやる気が出ない」「モチベーションが続かない」――あなたもこんな経験はありませんか? “仕事が楽しい”という人は世の中に少なくないはずですが、「なんでそんなにパワフルでいられるんだ?」と不思議に感じることも多いでしょう。
ここで注目したいのが、ワーク・エンゲージメント(Work Engagement)という概念です。研究によると、ワーク・エンゲージメントが高い人は「活力(ヴィゴール)」「熱意(デディケーション)」「没頭(アブソープション)」という3つの要素が強く、仕事を前向きに捉える姿勢が安定していると言われます。
この記事では、ワーク・エンゲージメントの概要とそのメリット、そして実際にどう高めていけばいいのかを解説していきます。
この記事でわかること
ワーク・エンゲージメントの基本概念と3つの要素
エンゲージメントが高いと得られるメリット(個人&組織)
ライフステージやキャリア状況の異なる3人のケーススタディ
エンゲージメントを高めるための実践的なアクションプラン
「仕事のやる気が続かない」「もうちょっと仕事を楽しみたい」という人は、ぜひ参考にしてみてください。
2. ワーク・エンゲージメントとは?
ポジティブな仕事への心理状態
ワーク・エンゲージメント(Work Engagement)とは、主にオランダのウトレヒト大学の研究者ら(Wilmar B. Schaufeli、Arnold B. Bakker 等)によって提唱・発展された概念で、「仕事に対して前向きで充実した心理状態」を指します。
下記の3つの要素から成り立つことが多いとされます。
活力(Vigor)
活気があり、仕事に充分なエネルギーと精神的強さを感じている状態。
「朝からやる気に満ちている」「疲れていても乗り越えられる」と感じられる。
熱意(Dedication)
仕事に強い意欲や熱中度合いがあり、意義ややりがいを見出している状態。
「自分の仕事に誇りがある」「目標達成のためならがんばれる」という感覚が強い。
没頭(Absorption)
仕事に深く入り込んで、時間を忘れて取り組める状態。
「気づいたら数時間があっという間に過ぎている」というような集中。
3. なぜワーク・エンゲージメントが大事なのか
個人レベルのメリット
仕事への満足度・幸福感アップ
エンゲージメントが高いと仕事が“嫌なこと”から“やりたいこと”に変わり、日々の幸福感が増す。ストレス耐性やモチベーションの継続
自らの意欲が高いため、困難に直面しても“乗り越えたい”気持ちが強く、バーンアウトしにくい。パフォーマンス向上
集中力や発想力が高まり、成果を出しやすくなる。仕事の質も量も向上するとされる。
組織レベルのメリット
離職率の低下
エンゲージメントが高い人ほど会社や仕事への愛着が強く、辞めにくい。生産性の向上
チームや組織全体でエネルギーが高まると、売上や顧客満足度にも良い影響を与える。創造性とイノベーションの促進
好奇心や没頭感を持つ社員が増えるほど、新しいアイデアや改良の余地を発見しやすい。
4. ケーススタディ:ワーク・エンゲージメントを高めた3人
4-1. 岡田さん(28歳・独身、ITエンジニア)
背景: プログラミング好きでエンジニアになったが、プロジェクト管理に追われてコードを書く時間が減り、やる気が落ち気味。
取り組み:
自分の「没頭感」を取り戻すため、上司に提案し「週の一定時間は開発専念日」を設定。
新しい技術やフレームワークを学ぶ時間をもらい、興味を満たす → 「活力」&「熱意」が回復。
結果: プロジェクト管理と開発のバランスを調整することで、仕事自体を再び楽しめるように。自主勉強会の発表などを通じて社内評価も高まり、エンゲージメントが向上。
4-2. 田村さん(39歳・子育て中、事務職)
背景: 事務仕事がルーティン化していて退屈。子育てと仕事の両立に疲れており、「仕事は生活費のため」と割り切っていた。
取り組み:
小さな工夫を積み重ねてみようと、仕事の手順やExcelマクロ化にチャレンジ → 「没頭」する感覚が楽しく、時間短縮にも成功。
上司に「こんなに効率が上がりました」と成果を報告し、「自分の仕事が組織に貢献している」と実感 → 「熱意」が生まれる。
結果: 定型業務が効率化し、帰宅時間が早まる。子どもと過ごす時間も増え、仕事に対しても前向きな気持ちを持てるようになる。
5. ワーク・エンゲージメントを高めるアクションプラン
ステップ1:自分のやりたいこと、得意なことを見直す
やること: 紙やノートアプリに「どんな仕事に没頭できるか」「やりがいを感じる瞬間はいつか」を書き出す。
ポイント: 過去の成功体験や得意分野を思い返すと、意外な要素が見つかる。自分が“活力”を感じた瞬間を明確化する。
ステップ2:仕事の意義・目標を可視化する
やること: 「この仕事が誰の役に立っている?」「自分にどんな成長をもたらす?」など、仕事の意義を自覚する。
ポイント: チームや上司と目標・ビジョンを共有し、“何のために働いているのか”を具体的に捉えると「熱意」が湧きやすい。
ステップ3:集中できる環境や時間を確保する
やること: 可能であれば、週に数時間でも「邪魔が入りにくい時間」を確保し、集中作業を行う。
ポイント: 在宅勤務やコワーキングスペースの活用、部下や同僚への業務分担などを駆使して“没頭”できる環境を作る。
ステップ4:小さな成功体験を積み重ね、周囲と共有する
やること: 自分が達成した成果や学んだことを周りに発信し、承認を得る。特に上司や同僚とのフィードバックを増やす。
ポイント: 承認や感謝の言葉を得ると、さらにやる気(活力・熱意)が高まる。定期的にアピールや報連相を行う習慣が大切。
6. まとめ:仕事に活力と熱意を持てる自分を目指そう
ワーク・エンゲージメントが高い状態というのは、**「仕事が辛いのに無理やりがんばる」のではなく、「仕事に活力と熱意をもって自然に取り組める」**という理想的な姿です。
・自分の得意や興味を活かす → “没頭”しやすい土台を作る
・仕事の意義や目標を明確にする → “熱意”を維持しやすい
・小さな成功体験や集中できる環境を得る → “活力”を高める
とはいえ、忙しい現実の中で常に高エンゲージメントを保つのは簡単ではありません。だからこそ、周囲のサポートやチームでの仕組みづくりを活用しつつ、「どうすれば仕事に前向きになれるか?」を意識して行動してみましょう。あなたの仕事人生が、もっとエネルギッシュで楽しいものに変わる可能性は十分にあります。
参考文献 & 注意書き
Schaufeli, W. B., & Bakker, A. B. (2004). “Job demands, job resources, and their relationship with burnout and engagement: A multi-sample study.” Journal of Organizational Behavior
Macey, W. H., & Schneider, B. (2008). “The meaning of employee engagement.” Industrial and Organizational Psychology
厚生労働省「こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト」
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、法的・医療的アドバイスではありません。個別の状況に応じ、専門家(医師・弁護士・公的相談機関等)にご相談ください。