素人にもわかりやすく、専門家も読み応えのある文章を書くコツ

農家も研究者もゴッチャの研究会で、講演者から「専門知識のない方向けの話にしたらいいですか?それとも専門家向けに話してもいいですか?」と訊かれた。
私は「農家の方にもわかりやすく、専門家の方も満足するような話し方でお願いします」と答えたら、そんなのできるわけないやん顔された。

当時、どうすればそんなことが可能になるのか私も言語化できていなかった。だから不満に思われても仕方なかったのだけど、工夫次第でそれは可能だと考えていた。
すでに5冊の本を書かせて頂いたが、「専門的な内容なのに読みやすい」と言ってもらえる。では、どうやったらそうなるのだろう?

私もきちんと言語化できていなかったのだけど、「専門用語はカッコの中に封じ込める」というのが大きなコツだと気がついた。
専門家にわかりやすく、とお願いすると、専門用語の後ろにカッコで説明入れる人が多い。しかしこの書き方だと専門用語のところで読むリズムがつまづく。

あと、専門用語は音読み熟語が多い。これを訓読み言葉に置き換える。
この2つを心がけるだけでかなりわかりやすくなり、かつ、専門家にも十分な情報を届けることができる。

たとえば
「生ゴミなどの有機物は土の中で二段階の分解(アンモニア化成、硝酸化成)が進む。しかし土の以外の場所では一段階目で分解が止まってしまう。これがいわゆる「腐る」という状態で、腐った場所では植物も根が傷んで育たない。」
と書くと、カッコの中を読み飛ばしてもおおよそ理解できる。

「有機物」も専門用語で、わかる人にはわかるけど知らない人はピンとこない。こういう場合、誰もがパッとイメージできる身近な例を修飾部に持ってくる。「生ゴミなどの」と入れると、専門的な知識がない人でも「ああ、生ゴミみたいなのね」と了解してもらえる。

専門用語なんか分からなくても、土の中では二段階で分解が進み、他では1段階で止まってしまうために腐ってしまうのだな、という肝腎なところが伝わればよい。また、そうとは描いてなくても「土だったら二段階まで分解進むから植物が育つんだな」というところまで推察してもらえる。

①専門用語はカッコの中に封じ込める。
②音読み熟語はなるべく避け、訓読み言葉で文章をつづる。
③日常であまり使わない言葉には、身近な事例を挙げて修飾部に。
この3つを心がけると、専門的な内容でも一般の人にわかりやすく、専門家にも不足のない文章を書けるように思う。

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