面白い動画を作るために大切なこと
私はYouTubeで生計を立てている30代一般男性だ。
YouTubeチャンネルを運営して約3年、主に育児の日常の様子を動画に収めて投稿してきた。
今回は、面白い動画を作るために大切なことというテーマで文章を書く。
自分では面白い動画を作ってるつもりなのに再生されない
どんな動画を作っていいか分からない
という人の参考になれば幸いだ。
今回の話は、YouTubeの動画に限った話ではない。
作品を人に評価してもらうために私がとても重要だと考えている内容だ。
「面白い動画」というと、奇抜なアイデアやよく練られたストーリーが重要だと思うかもしれない。
お笑い芸人のようなテンポのよい会話や、派手なリアクションを期待するかもしれない。
しかし、ここではそのようなテクニック的な話ではない。
もっともっとそれ以前の話だ。面白いと思ってもらうための前提条件のようなものだ。
この前提条件を満たしていないと、面白いかどうか判断するステージにすら立てない。
もし、小手先のテクニック論を期待してきた人は、ここでブラウザバックすることがお互いのためである。
私はあなたの時間を奪いたいわけではない。あなたのこれからの制作活動を少しでも有意義にしたいだけだ。
前置きが長くなった。それでは本題に入ろう。
面白いとは
「面白い」という言葉は、幅広い解釈ができる。
そのため、本記事における「面白い」という言葉のニュアンスについて事前に整理しておきたい。
本記事では「面白い」という言葉は「心が動く」という言葉と同義とする。
動画を見て笑ったり、悲しくなったり、怖くなったり、驚いたり、共感したり、なるほどと思ったり。
心が動く瞬間があることそれすなわち面白いのである。
人は無関心なものに対して見向きもしなければ心も動かない。
心が動くということは、その対象に関心があるということが必要最低条件だ。
つまり、あなたの作品を面白いと思ってもらうには、「視聴者があなたの作品に興味があるという状態を作り出すこと」が必要条件であることを事前に抑えておきたい。
「面白い」を作るための土台作り
面白い動画を作るための必要条件は、他にもある。
それは次の2つだ。
それぞれについて少し詳しく述べていく。
前提情報が足りていないと面白さが伝わらない
あなたは「身内ネタ」という言葉を聞いたことがあるだろうか。
ある集団の場において、一部の人しか通じないネタを指す。
身内ネタは、ネタの内容を理解できる人にとっては「面白い」が、ネタの内容を理解できない人にとっては「面白くない」。
この例えから言えることは、
「同じ話のネタでも、相手によって面白いと感じるかどうかは変わる」
ということだ。
人によって違う?
そんなの当たり前じゃん。
と思うかもしれない。ではその人たちは何が違うのかをきちんと言語化しておこう。
面白いと感じる人と、面白くない人と感じる人の違いは、ネタを見る前の事前の情報量が違うのだ。
面白くない話の大半は、その話を聞く人がネタを楽しむための前提情報を伝えきれていない。聞く人は、ネタの内容を理解できないため面白くないと感じてしまうのだ。
作り手目線でいうと、前提情報の不足は
「自分では面白い動画だと思ってるのに、動画を見てもらえない…」
という人によく当てはまっている。
自分にとっては面白いのに、なぜ他人にとっては面白くないのか。その場合、あなただけが知っていて、視聴者には伝わっていない情報がある可能性が高い。
このような人はまず、視聴者のことをよく理解できていない。
誰に向けて動画を作っているのかが見えていない状態だ。
面白いと思ってもらうためには、この作品を見る人がどんな人かを想定しておくことを忘れてはならない。
想像してみてほしい。
あなたは中学校の同窓会で、中学時代の話や共通の知人についての話をするだろう。
会社では会社の、初めましての人には初めましての人向けの話題を選ぶだろう。
人は、聞く相手によって取り上げるネタを自然と変える。
なぜなら、相手に通じない話は面白くないからだ。
話題を選ぶという行為は、相手の中にある事前の情報量を前提として行われる。
日常であれば適切に話のネタを選べる人でも、動画を作るとなると見落としてしまいがちだ。
「今日はカフェに来ました」で始まる動画は、まず自分が誰かという情報が欠如している。
いきなり本題から始まる動画は、場面や状況の情報が欠如している。
動画のネタが通じないと、面白いかどうか判断するステージにすら立てないのだ。
まずは、面白さを伝えるための前提情報に不足がないかを確認してみてほしい。
期待値の調整をミスすると面白くなくなる
YouTube素人が最も手を出してはならないことの一つだと考えているのは、グルメリポートとお笑いだ。
素人のグルメリポートが面白くない理由
あなたはVlogを撮影していて、その中で食事をするシーンがあるとしよう。
YouTubeでは、普段の食事ではリアクションをとらない素人が、動画の前だけやたらリポーター気取りになるのはよくある話だ。
食べたときの反応や、食べたあとに出てくる発言は、いかにも不自然な印象を覚えたことがあなたもあるのではなかろうか。
なぜ見るに耐えない気持ちになるのかというと、よくあるグルメリポートと比較してしまうからだ。
グルメリポートをテレビ番組などで見たことがある人も多いだろう。
そのテレビと同等の質を視聴者が期待してしまうのだ。
あなたのリポートの質が視聴者の期待を下回った場合、あなたのリポートは面白くないと思われる。
このグルメリポートに関しては、視聴者が求める質の期待度が比較的高い。
そのため、視聴者の求める質を実現できず、面白くないと思われがちなのだ。
お笑いのネタもしかりだ。
素人の狙ったボケやツッコミも、日常生活の中では面白いと思えるものかもしれない。
しかし見知らぬ人に面白いと思ってもらうためには、芸人さんのような巧みな技術が必要で、視聴者の期待値も自然とそのレベルを求めてしまっている。
だから私は、視聴者の期待度が高すぎて面白くないと思われてしまいがちなグルメリポートとお笑いネタをおすすめしないのだ。
では、どうすればよいか。
視聴者の期待値を調整するのがおすすめだ。
例えば、Vlogであれば、あなたの素の日常生活を期待される。
料理を食べるときは、自然に食べる姿と素のリアクションで十分だ。
(もちろん多少の演技が必要なときもあるが、素を演じる意識が重要だ)
気取った言葉を使わずに、ナチュラルな反応をとるのがよい。
この動画がVlogであると事前に伝えるだけで、わざわざ面白いことを言わなくても、視聴者の期待に応えられるようになる。
もし他にもグルメをたくさん紹介するチャンネルなら、食べる姿をわざわざ見せずにテンポよく次のシーンに進むのもよい。
視聴者が期待しているのがグルメの情報であるなら、ゆっくり食べる姿を見せる必要はない。
このように、視聴者が何を期待しているかによって、面白さというのは変化する。
お笑い芸人のようなネタを期待されているわけではない。逆に期待されていないのにネタに走ってしまうと痛い目を見るというわけだ。
バラエティ番組で番宣に来た女優さんが面白いことを言おうとして変な空気になるシーンがまさにそうだ。
自分に期待されていないことをやると、ネタ自体がいかに面白いものであっても、面白いと感じてもらいづらい。
大切なのは、視聴者の期待を調整し、自分に期待されていることを理解することだ。
まとめ
今回は、面白い動画を作るにはというテーマで文章を書いた。
私は約3年間YouTubeで動画を作ってきて、意識してきたことを率直に述べた。
そしてYouTubeに苦戦してそうな動画投稿者向けにも書いた。正直、伸びない動画の大半は、視聴者に話が通じていないというのが本音だ。
YouTubeはクリエイティブの世界だ。
私は、クリエイターはクリエイティブな領域で勝負すべきだと思っている。
しかし、面白いと思ってもらえる最低限の前提条件を満たしていないと、評価されるステージに立つことさえできない。
逆に言えば、そのステージに立つことができれば、自身のクリエイティブで勝負ができるというわけだ。
あなたの表現活動が報われる日まで、幸あれ。
ではでは~。
いただいたサポートは、夫婦でのクリエイター活動に利用させていただきます。