地方創生事業者に聞く「地方創生のリアル」
シンセカイテクノロジーズは、京都で開催されるIVS2024 KYOTOにて、7/4(木)に「地方創生 × Web3」というテーマで公式サイドイベントを開催いたします!
開催に先立ちまして、シンセカイテクノロジーズCEO大社 武と、地方創生事業を行っている、株式会社あるやうむ代表 畠中 博晶さんとのスペシャル対談コンテンツをお届け!
畠中さんはふるさと納税NFTのパイオニアであり、様々な自治体と取り組みをされています。
そんな畠中さんと大社で「地方創生のリアルと解決策」をテーマにお話ししました。
畠中 博晶|株式会社あるやうむ 代表
2020年11月に株式会社あるやうむ設立。地方自治体に向けてふるさと納税の返礼品としてNFTを提供する事業を展開。「地域格差をなくす」というビジョンを達成するために尽力。
Xアカウント:https://twitter.com/2929ojisan
大社 武|株式会社SHINSEKAI Technologies CEO
2022年SHINSEKAI Technologies社を設立。コミュニティを活用し、企業や個人をエンパワーメントする。著書に「もうバズらなくて良い!新時代SNSコミュニティの教科書」。
Xアカウント:https://twitter.com/tako_shinsekai
“お米✖️VTuber” ふるさとを豊かにする地方創生への取り組みと課題
大社:弊社はコミュニティ構築支援の事業を展開していますが、コミュニティに期待される企業様、団体様が非常に多くなってきています。特に行政や地方自治体からのお問い合わせが多いです。
その背景として、地方創生DX におけるゴールの1つとして、交流人口→関係人口→移住人口へシフトしていくことを目指す中で、「よりユーザーに継続的な参加を促していく仕組みがコミュニティで作れるのではないか」という点があります。
御社が地方創生✕NFTの事業を展開されている中で持っている課題や、ギャップなどはどのようなものがありますか。
畠中:「いかにファンを喜ばせるか」という部分に苦戦していますね。
私たちのミッションは現在、「ふるさとをクリエイターと豊かにする」という形に変更しており、地域に貢献したいクリエイターを、弊社が地方自治体や行政とマッチングさせ、事業支援なども全て包括して提供する事業を展開しております。
例えばお米が大好きなVTuberに対してお米の事業者を繋ぎ、ふるさと納税返礼品としてコラボをするというものですね。VTuber側からしたらお米農家と繋がりたくても、そのネットワーキングがなく困っている。そこに地方との繋がりが強い弊社が入って支援することができるので、一定の需要があるんですよ。
ただ、お米✕VTuberはまだわかりやすいのですが、「北海道の景色✕VTuber」というテーマで地方の自治体と組み合わせた場合、そこからいかにファンに喜んでもらえるコンテンツを作り込むかが大変です。これは方程式のようなものなので、組み合わせが多く、選定するのが大変なんですよね。
大社:地域住民や地方の企業などとはどのように連携していっているのでしょうか。
畠中:やはり、「自治体を巻き込む」ことが大事ですね。自治体職員のみなさんとしっかりコミュニケーションをとることを大切にしています。そこから地域のみなさんも巻き込んでいくという感じですね。
大社:ふるさと納税NFTに一番取り組んでいる企業は御社かと思うのですが、やはり自治体との強い信頼関係ができているのでしょうか?
畠中:そうですね。ふるさと納税は年に一回ルールが変わるのですが、私たちは変更点などの細かい部分に対応することができるんです。そういった点でも、信頼をいただいていますね。
大社:行政の担当者の方々は熱量が高いけれど、それを自治体全体で取り組むためにはやはり、上の方々も説得していく必要がある。ただ、説明していく過程でうまく伝わらなかったりすることもありますよね。
畠中:ありますね。加えて、クリエイター視点だとより良いものを作りたいという一方で、行政としては公平性を重視したいという思いがあります。その中で両者が納得できる落とし所を見つける過程も苦労している点ですね。
大社:地域の声などはどう吸い上げをしているのでしょうか。
畠中:まだ地域の人たちを巻き込んで面白いことをできる状態までたどり着いていないのが現状です。外側から行政を巻き込んでいくのは得意なのですが、内側から地域の人を巻き込んでいくことは別で考える必要があるので、苦戦しています。
地方コミュニティの課題は「地域内の循環」
大社:コミュニティの観点からいうとどうなのでしょうか。
畠中:地域のコミュニティももちろん巻き込んでいかないといけないと思っているのですが、まだまだ未開拓の部分がありますね。
弊社でも地域のためのコミュニティ運営事業を始めてはいるのですが、地域の外の人たち巻き込んでいくことはできているものの、地域の中の人を巻き込んでいく・地域内で循環させていくところはまだまだ設計できていないですね。そのノウハウは、地方自治体・行政と一緒に溜めていく形になると考えています。
大社:僕たちは「NFTではなく、コミュニティが先」という考え方なので、 コマースとEコマース、スポーツとEスポーツと言われるように、オンラインコミュニティというものをまず、ユーザーを貯めていく場所として作りましょうという提案をしています。
実際は「コミュニティを運用する」ということが大切なので、コミュニティーマネジメントというところに特化し、ソリューションを提供するために自社プラットフォーム「MURAコミュニティ」を活用して、コミュニティコマース っていうのが簡単に実現できるということをやろうとしています。そのコミュニティコマースを実現する過程で、ユーザーの活性化の手段としてNFTやふるさと納税が内包されていくと考えています。
コミュニティ内でお米が買える?コミュニティコマースができること
畠中:その話で気になったのですがコミュニティコマースという概念は元々あるものなのでしょうか。また、私もEコマースを扱っていた経験があるのですが、これまでのEコマースやライブコマースなどの別のコマースと比べた時に、コミュニティコマースが良い点をお聞きしたいです。
大社:前提としてはソーシャルコマースだと思ってます。
ソーシャルコマースって共同購入や安くディスカウントで買える、フラッシュセールで買えるみたいなことだったのですが、そのソーシャルコマースが進化していく過程の中で、よりクローズでエンゲージメントが高いような環境で実際に物の売り買いが発生する、例えば、「あの人が買ったから自分も買おうかな」という事象が発生するものが、コミュニティコマースだと捉えています。ソーシャルコマースの先にある、よりクローズドなパワーコマースですね。
畠中:御社が目指しているコミュニティ規模はどのくらいになるのでしょうか。
大社:参加人数としては数千、数万人を1つのコミュニティとして捉えるべきだと考えています。
通常はスーパーライト層とコアなファン層などは相容れないことが多いのですが、関係なく1つのコミュニティに入っているイメージですね。コア層同士が繋がれる良さもあれば、コア層がライト層に教えるみたいな文化も発生することで強い繋がりが生まれ、結果的にコミュニティの中で購買体験などが発生するようなイメージ感ですね。
畠中:かなり根幹の部分をお聞きしたいのですが、数千、数万人のコミュニティ規模の中で、どうやってコミュニティの熱狂を生み出すのでしょうか。
大社:全員が熱量あるコミュニティを生み出すという考え方は持っていません。弊社ではコミュニティグロースモデルという理論を考え、それをもとにコミュニティを運用しています。
①コミュニティに参加する(オンボーディング率)
②コミュニティにアクティブに活動し、友達ができる(アクティビティ率)
③コミュニティ内でさらに貢献した人と交流をより深めていく(ロイヤリティ率)
などそれぞれ層に分けて、層ごとに改善するための施策を実施、改善して日々運用しています。
その中でコミュニティに入ってくる人も入れば、去っていく人も必ずいる。複数の生態系が1つのコミュニティ内に誕生するので、ロイヤル化するユーザーをこぼさないように管理し、運用するという考え方ですね。
畠中:なるほど。SNSマーケティングやEコマースなどと比較をするというよりは、全て包括する概念なのですね。これって今までありそうでなかった考え方ですね。
大社:そうですね。僕がmixiを使っていた世代でして、有象無象のコミュニティがあり、自分が所属しているコミュニティこそがアイデンティティになっていくあの時代がとても楽しかったんです。そうした思いから、コミュニティの中で自分のアイデンティティを見つけ、より自分軸に真のマッチングができるプラットフォームを作りたいと考え、「MURA(ムーラ)コミュニティ」をつくりました。コミュニティ内に多様性がある、「村」のようなものとして捉えているので、「MURA(ムーラ)」という名前にしています。
畠中:すごくスタートアップ的で、ワクワクしますね。
大社:新しいSNSを作ろうとしている感覚ですね。C向けのプラットフォームという側面もあります。
企業や自治体のコミュニティをショップに例えると、路面店ではなく、百貨店に出店するイメージですね。百貨店って、色々なテナントが集まっていて、お客さんも色々なブランドのお客さんが集まってくる。お客さん側からすると新しいお気に入りの商品をみつけることができるし、お店側からすると新たなファンを獲得できるじゃないですか。だからこそみんな百貨店に出店をしたいと思う。路面店だと、もう自社で指名して集客しないといけない。 それと同様に、コミュニティも1つのプラットフォームの存在がある方が、回遊性が誕生して、ユーザーは自分に合うコミュニティ、自分のサードプレイスを見つけることができ、新たなファンが誕生する。それが一番うまく成功してるのはやっぱりDiscordですよね。
我々も今まで様々な企業様のコミュニティを運営し、熱狂を作ってきてはいるのですが、やっぱり一筋縄ではいかないじゃないですか。試行錯誤をして、勝ちパターンみたいなものを積み上げて、そういう経験をモデルとしてKPI運用をしていくことが大切だなと。
そういったところをきちんとやった上で、物の売り買いも追いかけるぞと考えています。
畠中:普段あまり考えないことだったのでとても新鮮です。
コミュニティコマースという概念を適用したほうがコンバージョンにつながる商材はどういう物があるのでしょうか。
大社:ここも弊社で色々試していて、結論、コミュニティ内で影響力があるなという人がおすすめする商品だったら、自分も間違いなく買いたいという現象があると思っていて、これって口コミじゃないですか。そういった意味で言うとSNSで売れるものっていうのは コミュニティでもよく売れるという風になっていくんじゃ ないかなとは思っています。「直接買える口コミポータル」が弊社でやりたいことの1つでもあります。
お米農家などはぜひコミュニティとしてやりたいですね。コミュニティを作ることで実際にコミュニティ内でお米を買うこともできるので、相性がいいと思います。
畠中:イメージでいくと、規模感やコミュニティの相性がよいものって、エンタープライズになるのかなと思っているのですが、例えば、年間売り上げが数百万台の農家の方々などもコミュニティを持った方が良いのでしょうか。
大社:僕たちはコミュニティコマースには5つの筋があると思っていて
①エンタメIP ②企業公式 ③インフルエンサー ④スモールビジネス ⑤地方創生
なんですよ。
スモールビジネスは100〜150人がコミュニティに入ってくればビジネスとしてかなり安定すると考えています。
最近は地域の居酒屋とかでもLINEオプチャなどでグループを作成してますよね。それだけだと、ユーザーがユーザーを教育するフォーラム機能というものがない。それだとコミュニティと呼びづらいなと思っていて。僕たちが作っている「MURAコミュニティ」にはそういう機能があります。
畠中:すごく楽しくて、刺激的なお話ができました。ありがとうございます。
大社:こちらこそありがとうございます。地方創生においても、地域の方々や、地域外の方々、自治体の方々との接点を作るという点で、コミュニティというアプローチで様々な支援をしていきたいと考えていますし、ふるさと納税NFTなども通じてみんなで伸びていければと思います。
シンセカイテクノロジーズは「IVS2024 KYOTO」公式サイトイベントといたしまして、『地方創生×Web3〜事業共創と熱量〜』をテーマに、ゲストを招いたトークセッションを開催いたします!
※参加には事前申込が必要です。
【イベント詳細】
テーマ:「地方創生×Web3〜事業共創と熱量〜」
日時:2024年7月4日(木)17:15〜19:30/トークセッション 17:30〜18:30
参加費:入場無料
会場:Ace cafe 三条河原町(京都府京都市中京区上大阪町521番地 京都エンパイヤビル 10階)
登壇者:
九州旅客鉄道株式会社 JR九州NFTプロジェクト プロジェクトファウンダー 牛島卓二
株式会社羽田未来総合研究所 情報戦略事業部 シニアマネージャー 深澤なおみ
株式会社テレビ朝日 Manager, Advanced Contents Business, IoTv Center 増澤 晃
株式会社SHINSEKAI Technologies CEO 大社 武
株式会社SHINSEKAI Technologies CSO 岡崎 智樹
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