コミュニティを科学し、熱狂的なファンをつくり出す─シンセカイテクノロジーズが提案する「Web2.X」時代のコミュニティマーケティング手法
シンセカイテクノロジーズは、「Web2.X SHIFT」をミッションに、企業やサービスのWeb3活用やコミュニティ支援をしています。
創業から9ヶ月が経ちシンセカイテクノロジーズに起きた変化、そして今後の取り組みについて、代表の大社に話を聞きました。
重要な”コミュニティグロース”と掴み始めた事業の手応え
シンセカイテクノロジーズが目指す方向性について書いたnoteの発信から、4カ月弱が経過しました。この4カ月間で会社の目指す方向性や大枠の構想に変化はありませんが、それらを実現するための手法、いわゆる“山の登り方”には変化がありました。
今回のnoteでは、その変化について書いていこうと思います。
4カ月前、Web3がマスアダプションするためには、「ウォレットの普及」が重要であるという考えを持っていました。そのため、メールアドレスだけで開設できるオフチェーンウォレット「MURA Wallet」を独自開発し、その普及を目指していたのです。
今も「ウォレットの普及」が重要という考えは変わっていません。ただ、実際に事業を運営し、さまざまな企業の声を聞く中で、まずは「ウォレットの普及」よりも「コミュニティの運営」に力を入れていくべきだと思うようになりました。
現在、シンセカイテクノロジーズでは既に5〜6つほど企業のコミュニティ運営を支援しており、企業からの相談も含めると案件の数は20件ほどになっています。
私たちは、Web2.X(Web3とWeb2の中間)という仕組みによって、より多くの人に活躍の場を与える、ユーザーに居場所を与えるといったことに取り組んできており、この4カ月ほどで一定の実績も出るようになってきたと感じているところです。
当初、シンセカイテクノロジーズではNFTを活用したマーケティング事業を展開していこうと考えていましたが、今はコミュニティをマーケティングに活用する方向に事業をマイナーピボットしました。Web2.1と言いますか、Web3の要素はほとんどなく、むしろWeb2を軸にDiscordを活用したコミュニティマネジメントに力を入れています。
具体的にどういったことをやっているのか。私たちは株式会社もそうですし、DAOやサークル、部活など“人が集まる場所”はコミュニティだと思っており、それをモデル化することに取り組んでいます。コミュニティを共有資産型・情報発信型・ファンダム共創型・お祭り型のようにいくつかの型に分け、それらをクライアントごとに設計。最終的にはクライアントが実現したいコミュニティのゴール、カスタマーエクスペリエンスの施策というものをWeb2・Web3の両軸で提案しているというイメージです。
なぜ、今コミュニティの重要性が高まってきているのか?
なぜ、コミュニティの重要性が増しているのか。その背景には消費者が衝動買いではなく、「意味消費」を求めるようになってきているという変化があります。
コロナによって外出機会が減ったことで、消費者は商品に偶然出会って衝動買いするのではなく、自分に合っているものは何か、その意味を見出してから商品を買うようになりました。その傾向はアフターコロナと言われる今も続いており、消費者はより自分の好みにパーソナライズされた商品を購入するようになってます。
そうした中、マスメディアも昔ほどの勢いはなくなり、デジタルマーケティングにおいても個人情報保護法の改正によってCookieが規制対象になりました。企業は消費者のデータを自分たちの力で取得していかなければいけなくなっています。さらにUGC(ユーザー生成コンテンツ)もバズるということではなく、よりエンゲージメントが高くなる“本当の言葉”の重要度が増すアルゴリズムに変わってきています。
アフターコロナにおいては、企業は消費者とブランド価値を共創していくコミュニケーションをどんどん取っていかなければいけなくなってきています。従来であれば顧客の声を聞き、それに対してカスタマーサポートしていれば良かったのですが、今は積極的に消費者を巻き込んでいくコミュニケーションが企業やブランドには必要になってきています。言うなれば、自分たちで発信してくれるファンを作っていかなければいけないわけです。
そういったファンをどうやって作るのか。そこでコミュニティが必要になります。従来のSNSは拡散が目的のため“バズる”ことが得意分野です。一方で、コミュニティはロイヤル化を目的にするので“バグる”、熱狂的に好きな状態を作ることが得意なんです。
コミュニティの設計に必要な「3つのフェーズ」
私たちは購入後にコミュニティを設け、そのコミュニティの内部でコミュニティマネジメントすることでブランドに対する、さまざまなエンゲージメントが高まっていくということを設計しています。
そこをもう少し定量的に説明すると、コミュニティには大きく3つのフェーズがあります。「Visitフェーズ」「Friendフェーズ」「Valueフェーズ」です。
①Visitフェーズ:
商品を購入し、DiscordコミュニティやLINEコミュニティに入ると、その時点では誰も知らない状態なので、不安が多いと思います。ただ、海外に行ったときに空港で歓迎されると素敵な気持ちになるとか、友達が誰1人いない飲み会に参加したときに「どうもはじめまして」って一言言ってもらえると心理的安全性が高まって、馴染みやすくなるということがあると思います。Visitフェーズでは、わかりやすい入口設計やすでにいるコミュニティメンバーの親切さ、継続的な会話といったことに重きを置いています。
②Friendフェーズ
次の②Friendフェーズではお互いのことを知り、そして友達になっていくような感じです。例えばPFPやNFTなど、共通の話題で価値観を確かめ合っていきます。
③Valueフェーズ
そして、Valueフェーズでは何か互いの価値観を知った上で、そのコミュニティでしかできない顧客体験を設計していきます。そのコミュニティの価値観やブランドの理解・愛着などをもとにしたお金には換えられない体験ができると、初めてファンになり「SNSで何か発信してみよう」「友達に紹介してみよう」といったようにロイヤル化が進んでいきます。
これを火に例えると、種火が燃え続けてさらに大きな炎に変わっていくようなイメージです。コミュニティは入口と出口が設計できるものであり、そして心理的安全性、デジタル上の友達、かけがえのない顧客体験といったものをKGIやKPIに設定し、事業として取り組んでいます。具体的にはオンボーディング率、アクティブ率、ロイヤル率といったKGIを設計し、そのKGIを達成するための指標として複数のKPI指標(チャンネル到達率、コンテンツ理解率、コメント到達率、もしくはコメント返信率など)を設けています。
一方で、そうした定量的なスキームだけではなく、コミュニティには企画性や大義、ビジョンといったことも大切になります。「みんなで作る」「みんなで応援する」といったように、自分が主人公になれるような感覚はコミュニティの設計、コミュニティマネジメントにはすごく重要なので、そういったことにも取り組んでいます。
そうしたコミュニティの設計、マネジメントを定量的かつ再現性高く、なおかつ安定的に運用するためのスキームづくりに取り組んでいるところです。いまは、企業のブランドや商品のコミュニティを運営するサービス「MURAコミュニティ」、独自のコミュニティマネジメント分析ツール「MURAブレイン」の開発に取り組んでいます。
それに加えて、シンセカイテクノロジーズは業界トップレベルのWeb3人材が参加するDAOコミュニティ「新世界DAO」を運営しており、そのメンバーの中で企業案件に取り組みたい人のデータベースも作っており、現状は130人ほど登録されています。コミュニティ設計やマネジメントに精通している人材をこれだけ揃えられているプレイヤーはシンセカイテクノロジーズだけだと思います。この中でプロジェクトごとに私たちが業務委託契約を締結し、反社チェックなどフィルタリングをした状態で企業案件にアサインするようにしています。
今後は次の3カ月で人材数を300人、来期で500人、再来期で800人にすることを目指しています。Web3含めたコミュニティに関連するものやNFTマーケティング、Web2.X人材の専任ネットワークを2年以内に作るぞ、という意気込みで進めています。
ツールベンダーフェーズを経て、プラットフォーマーフェーズへ
足元はWeb3エージェンシーとして、Discordコミュニティを運営したい企業にエージェンシーのような形で労働集約型のビジネスを展開しましたが、現在はツールベンダーとして、「MURAコミュニティ」、「MURAブレイン」の開発に取り組んでいるところです。イメージとしてはコミュニティマネジメントのSaaS群を展開していく感じです。
Web3のマスアダプションに関しては、ウォレット数の普及などのKPIがありますが、私たちはツールベンダーのフェーズでいかにコミュニティを通して楽しいWeb3体験、ユーザー同士が繋がる新しいソーシャル体験が提供できるかどうか。そこに注力していきます。
コミュニティツールとして、現状はDiscordが最も有名です。Discordは複数のスレッドチャンネルが設計でき、さらにはユーザーのロールに特典をつけられる点が大きな魅力となっていますが、日本の企業にとっては英語で使いづらい部分もあります。そんな課題を解決するためのツールとして、MURAコミュニティの開発に取り組んでいるところです。
現在のツールベンダーフェーズは順調に開発が進められているので、それらをリリースした後はプラットフォーマーフェーズに入っていきたいと思っています。詳細はまだ別の記事でお話できればと思いますが、Web3版のグリー、Web3版のmixiのような存在にシンセカイテクノロジーズがなっていきたいと思っています。
シンセカイテクノロジーズはWeb3のマスアダプションを目指して自分たちのできることに挑戦してますが、今取り組んでいる仕事は最先端のマーケティングではなく、従来のマーケティングやカスタマーサクセスなどの延長線上にあるものです。
だからこそ、「Web3ってよくわかんない」という言葉ではなく、むしろ「時代が変わり、人も変わっているから、コミュニティを通して世の中をより良くしたい」、「繋がりをもとに新しいビジネスを作りたい」という思いを持っている人であれば、すぐに活躍できると思います。シンセカイテクノロジーズが目指す世界の実現に向けては、まだまだ仲間が必要です。少しでもシンセカイテクノロジーズの取り組みに興味を持った人は、ぜひご連絡いただければと思います。採用も絶賛強化中です!
▼シンセカイテクノロジーズ採用ページ
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?