クリーンな経営で100億円企業へ。税理士が明かす、不動産会社の財務改革
新生都市開発株式会社 代表取締役の永尾です。これまでのnoteでは、私から見た会社や事業の姿についてお伝えしてきました。今回は趣向を変え、創業から当社の顧問税理士を務めていただいている、巴山 隆太(はやま りゅうたい)さんとの対談の模様をお届けします。
当社の成長を、財務面からサポートしてくださっている巴山さん。これまでの歩みと今後の展望について、膝を突き合わせて語り合いました。
【プロフィール】
巴山隆太税理士事務所 巴山 隆太さん
不動産会社をはじめ、飲食店・建設業・製造業など、幅広い業界の税務に精通。永尾社長の良き相談相手として、会社の成長を税務面から支えている。
「成長できる」顧問税理士との出会い
——巴山先生が顧問税理士となった経緯を教えてください。
永尾:
設立の際にお世話になった司法書士の先生から、「年齢の近い先生は互いに話しやすいから、成長できていいよ」と巴山先生をご紹介いただいたのが始まりです。
——互いの第一印象はいかがでしたか?
永尾:
巴山先生は物腰が柔らかく、相談しやすそうな方だなと感じました。
巴山:
ありがとうございます。永尾社長にお会いしたときは、「礼儀正しく、清潔感がある方だな」という印象を受けたのを覚えています。アポイントは毎回約束の時間ぴったりにいらっしゃいますし、考え方もしっかりしているので、「この人は仕事ができるだろうな」と感じていました。それは年数が経った今でも、変わりません。
目指すはクリーンな不動産会社
——実際に仕事を始めてみて、いかがでしたか?
巴山:
永尾社長は当初から一貫して、「クリーンな会社にしたい」とおっしゃっていて。いい意味で不動産業界にしては特殊な社長だなと思っていました。
永尾:
退去交渉をメインに事業を行っていると、あまり良くないイメージを持たれることが多いんです。だからこそ、日頃からクリーンな経営を心がけています。
財務についてはあまり知識がなく、当初は何が正解かもよくわかっていませんでした。先生には初歩的な仕分けについて質問したり、「これは経費計上していいものなのか?」と、都度確認していましたよね。その際はお手数をおかけしました(笑)
巴山:
いえいえ、不明な点を確認していただくのは、ありがたいことですから。疑問を持ったままなんとなく処理をすると、後から振り返ったときに「これは何だったっけ?」とわからなくなることもあります(笑)その都度きちんとルールを確認した方が、長い目で見たときにいいと思いますよ。
——巴山先生に依頼して感じた、メリットを教えてください。
永尾:
さまざまな確認をする際、先生は「良い・悪い」をはっきり伝えてくれるので、助かっています。以前、周囲から聞いた会計知識について、「この認識で合っているのか」と質問したところ、認識の違いや本来の考え方などを教えてくれましたよね。
巴山:
会社を正しく経営していただくために、必要なサポートするのが私の役目ですからね。
永尾:
クリーンな経営を続けていくために、日頃から先生のアドバイスを頼りにしています。
PL経営からBS経営への転換
——これまでに「ターニングポイントだった」と感じるエピソードはありますか?
永尾:
はじめの3〜4年は、自分なりに根拠立てて財務管理をしていたところ、ほとんど余剰資産が残りませんでした。そのとき、「予定している案件が読み通りに進行しなかったら、持ちこたえる体力がどれだけあるのだろうか」と懸念を抱いたんです。
「このままだと、想定外の事態が起きたときに会社が潰れてしまう」と感じ、直近1年のPL(損益計算書)を重視する経営から、これまでの財務状態を示すBS(貸借対照表)を重視する経営に切り替えました。
巴山:
純資産を残さないと会社は成長できませんし、金融機関からの信頼も得られませんからね。このとき「BS経営に方針転換するなら、これまで以上に土地の売買事業を拡大した方がいい」とアドバイスさせていただきました。
——BS経営に変えたことで、どのような変化がありましたか?
永尾:
それまではなかなか資金融資を受けられなかったのですが、信用組合や地方銀行から、少しずつ融資していただけるようになりました。今後は金融機関の担当者から、「資金融資させてもらえないか」とお声がけいただくのを目標にしています。
巴山:
現在はかなり良い財務体質に変化しましたからね。例えば、不動産業界は接待交際費が多い傾向にありますが、新生都市開発さんは本当に少なく抑えられていますよね。
永尾:
そうですね。不動産業界では、「接待が取引に繋がる」という考えが根強いんです。かつての自分も、「そういうものなのだろう」と何の疑問も抱いていませんでした。
でも、自分が経営者になってみると、実際にどの程度売上に繋がっているのか、正確に計れないなと感じ始めて。「もしかして、そんなに接待をしなくても、会社は成長するのではないか?」と辞めてみたら、逆に売上が上がったんですよ。その後も毎期成長を続けているので、あのときの判断は間違っていなかったと実感しています。
巴山:
業界の通説に逆行した、かなり思い切った判断でしたね。
永尾:
おかげさまで体は健康になりましたし、仕事のパフォーマンスも上がったので、まさに一石二鳥です。それからは経費の掛けどころを変え、もったいない使い方をしなくなりました。
(次回に続く)