複雑な底地問題を解決へと導く!プロが明かす、買取・交渉の舞台裏
新生都市開発株式会社 代表取締役の永尾です。創業以来、当社は底地の買取やコンサルティングサービスを手がけてまいりました。今回は実際の案件をどのように進めているのか、その裏側をお話しさせていただきます。
底地の権利割合と価格への影響
近年、当社には「底地を現状のまま買い取って欲しい」というご依頼が増えています。その理由の多くは、「短期的に地代を上げられない土地は手元に残るお金が少ないため、現金化したい」というものです。
底地は土地所有者(地主)と建物所有者で権利が分かれているため、安い金額で貸さざるを得ない現状があります。地主様は毎年固定資産税を支払う必要がありますが、差し引くと得られる収益はわずかなのです。
底地買取をご依頼いただいた際、ポイントとしてお伝えしているのが、更地と借地権つきの土地(底地)では、市場で取引される価格が異なる点です。そこで、地主様には底地がおかれている現状や査定の条件について、丁寧にご説明させていただいております。
① 底地権と借地権の割合
底地は土地の権利(底地権)を持つ地主と、借りた土地に建てた建物の権利(借地権)を持つ借地人の両方が権利を持っています。底地権と借地権では権利の割合が異なり、一般的に底地権の割合が低くなっています。これは、法律上では立場が弱い、借地人を保護する傾向があるためです。
権利の割合は国税庁HPに掲載されている「借地権割合」から導き出せます。例えば、借地権割合が60%なら、底地権割合は40%。底地の価格は、この割合に基づいて試算されています。
② 借地人の人数
一つの底地に対して、借地人が複数いる場合は、さらに買取価格が低くなる傾向があります。これは、権利を持つ人が増えれば増えるほど、後に行う退去交渉の工程が増えるためです。
底地買取における3段階の調査プロセス
底地買取のご依頼をいただいたら、次に取り掛かるのが物件の調査です。その流れをご紹介いたします。
① 現場調査
上下水道などの配管関係のほか、隣接の建物が越境していないかなど、細かく確認します。
② 相場調査
ネットの情報を確認するだけではなく、該当地域の不動産会社に直接連絡し、聞き取りを行います。それぞれの地域によって特性が異なるため、当社は地場の企業担当者の生の声を重視しています。
③ 行政担当者へのヒアリング
該当の行政機関の道路課・建築指導課(あるいは建設局)で、どのような用途の建物を建てられるか調査します。このとき重要なのが、行政担当者との細かい打ち合わせです。図面だけでは読み取れない情報を、この段階で把握するようにしています。
私たちは大阪エリアを中心とした不動産を扱っていますが、県外の案件をご依頼いただくこともあります。そのときも、必ず地域情報に詳しい不動産会社に聞き取り調査を行い、適正価格での提案・買取に努めています。
借地人と良好な関係を築いていた地主様は、「売却後に無理な退去交渉をされると困る」とご心配されることもあるでしょう。そのような不安が解消できるよう、契約前にどのような工程を組み、どういった交渉をさせていただくか、きちんとご説明させていただいております。
相手の納得感を重視する、退去交渉
取引後は借地人の方への土地所有者変更のご挨拶や、借地権の買取交渉を行います。借地人が第三者へ建物を賃貸している場合は、賃借人の方へ退去交渉を行います。当社のモットーは、お相手の感情に寄り添い、一方的に交渉を進めないことです。そのため、状況によって要する期間は案件ごとに変わります。
慣れ親しんだ場所を離れるのは、体力的にも、精神的にも、経済的にも負担がかかります。それがわかっているからこそ、無理な条件で交渉を進めることは決してしません。なかには、お話に耳を傾けていただけない方もいらっしゃいます。その場合は、人間関係の構築から始めるようにしています。
お相手にご納得いただけるまで向き合い続けること。それが私たちの考える、誠実・真摯な交渉方法なのです。
ベストマッチングを目指して
当社の実績をご存知いただき、今では底地権・借地権の権利を一本化し、資産価値を高めるコンサルティングのみをご依頼いただくことも増えてまいりました。お問い合わせをいただいた際は、予算と期間のどちらを優先するのか、しっかりとヒアリングした上でプランニングをさせていただいております。
クライアント様と向き合う中で、私たちが特に力を入れているのは、このヒアリングです。望まれているゴールに至るまでに、当社がお力になれるのかどうか、しっかりと見極めなければならないからです。私たちは権利調整業務を専門に取り組んでおりますが、なんでもできるわけではありません。ご希望に沿えること・沿えられないことの両方をご説明し、互いにとってベストマッチングであるかどうか、公平にご判断いただけるような場にしています。
底地にお困りの方は、ぜひ新生都市開発にお問い合わせください。当社が運営するWEBサイト「底地買取センター」では、買取実績もご紹介しています。皆様のお悩みを解決に導くべく、私たちがお手伝いさせていただきます。