#時間との闘いの人道支援に対してインド政府の対応は甚だ遺憾だ #自衛隊機派遣インド拒否で修正へウクライナ支援 #経由地変更計画遅れの可能性 政府は21日、ウクライナを支援するため派遣する自衛隊機の行動計画を変更すると自民党に説明した。
避難民への物資の搭載拠点にしていたインドが自衛隊機の受け入れを拒否したためだ。ルートの変更が必要になり、月内を想定していた運航開始は遅れる可能性がある。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の要請に基づき自衛隊機を派遣する。国連平和維持活動(PKO)協力法の「人道的な国際救援活動」が根拠だ。
UNHCRはインドとアラブ首長国連邦(UAE)に毛布などの人道救援物資を備蓄している。自衛隊機が2国に赴いて物資を積み込み、ウクライナの隣国であるポーランドやルーマニアに運ぶ計画だった。
政府は21日中に自民党から計画の承認を取り付け、22日にも閣議決定する予定だった。自民党の高市早苗政調会長は21日「物資の積み込み地であるインドから自衛隊機の受け入れを拒否されたという事態が発生した」と話した。
自衛隊機が他国領域に入るには受け入れ国の同意が前提になる。外務省によるとインド政府と事務レベルで合意を得ていたが20日夜に突然、拒否すると伝えてきたという。
インドを経由せずUAEだけに寄るルートなどを再検討する。与党の承認手続きも必要になる。
松野博一官房長官は21日の記者会見で「さまざまな支援の可能性を検討していく」と述べるにとどめた。
政府内では外交・安全保障上の不安を指摘する声もある。外務省幹部は「ロシアに配慮するインドがウクライナ支援の枠組みに加わりたくないと判断したのではないか」と話す。
ロシアのウクライナ侵攻をめぐって、インドは日米欧が主導する対ロシア制裁に加わらない姿勢を貫く。インドはロシアと軍事的なつながりが深く、武器の多くを調達している。
インドは軍拡を続ける中国と国境紛争を抱える。中国と対峙するためにも、もう一つの大国・ロシアとの関係が重要になる。
日米欧は対ロシア包囲網にインドを加えようと考えてきたが思うように進んでいない。インドは国連総会と安全保障理事会のロシア非難決議を棄権した。
岸田文雄首相は3月にインドを訪問してモディ首相と会談した。ウクライナ侵攻後にもかかわらず共同声明にロシアを非難する文言を盛り込めなかった。
5月下旬には日米豪印の枠組み「Quad(クアッド)」の首脳会議を東京で開く見通しだ。対ロシアで足並みの乱れを露呈すれば、自由や民主主義を掲げる陣営には打撃になる。
対中国を念頭に日米が推進する「自由で開かれたインド太平洋」もクアッドの主要議題になる。地政学的に重要な位置を占めるインドが対権威主義国であいまいな姿勢を示せば、中国にも結束して対処できなくなる懸念が生じる。
ウクライナ侵攻後、日本は各国と「力による現状変更はアジアにも影響を及ぼす」との見方を共有してきた。インドは日本との協議でまだこうした考えを公式に表明していない。