この程度で財務が好転するとは思えない! ソフトバンクG、Tモバイル株売却へ 2兆円規模 ソフトバンクGは持ち分法適用会社である米通信大手TモバイルUS株を売却すると発表した ソフトバンクグループ(SBG)は23日、同社の持ち分法適用関連会社で米通信大手のTモバイルUS株を売却すると発表した。
2億株弱を子会社を通じてTモバイルに売却する。具体的な金額は今後公表するが、市場価格から算出した売却規模は約210億ドル(約2兆2000億円)。自社株買いと負債削減に向けて進める4兆5000億円の資産売却計画の一環。
Tモバイルは購入した株式を売却などし、その手取り金をSBGに引き渡すという。売却後のSBGのTモバイルに対する出資比率は現状の24%から8%前後に引き下がる見通しだ。
あわせて、Tモバイルに約4割を出資する筆頭株主であるドイツテレコムはSBGが保有するTモバイル株約1億株の購入オプションを受け取る。2024年6月を期限とするオプションが全て行使された場合、SBGの出資比率は1%以下まで引き下がる可能性がある。
今後の持ち株比率次第ではSBGはTモバイルの取締役の指名権を失う可能性があるとしている。資産売却を巡っては、5月に中国・アリババ集団株の活用による資金調達を公表したほか、国内通信子会社ソフトバンク株を一部売却することも発表した。計1兆5千億円の調達を発表しており、残る3兆円についても準備を進めていた。
SBGの米国での通信事業は13年にさかのぼる。当時業界3位のスプリントを216億ドルで買収後、競合のTモバイルの買収や同社との経営統合に向けて協議を繰り返した。スプリントとTモバイルは規制当局の承認などを経て20年4月に手続きが完了。新会社はSBGの連結対象から外れ、持ち分適用会社となった。今回のTモバイル株の売却に加え、同社株の購入オプションが行使されれば、SBGは米国の通信事業から事実上撤退することになる。
SBGがTモバイル株を売却するのは、総額4兆5000億円の資産売却計画の一環だ。10兆円規模の「ビジョン・ファンド」は投資先の米シェアオフィス大手ウィーカンパニーの経営不振で損失が膨らんだ。新型コロナウイルスの感染拡大で、その他の投資先の企業価値も目減りした。本業の投資事業に逆風が吹くなか、自社株買いや財務改善に向け手元資金の確保を進めている。
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