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エコ、サスティナブルとはいったいなんなのか

この3ヶ月、スポーツにまつわるテクノロジー・法律・会計・マネジメントなどさまざまな授業を受けました。

そしてどの授業でもAISTSがプログラムのなかで力を入れているサスティナブルとデジタルの視点が取り入れられた授業構成になっているので、サスティナブル(主に気候変動)をスポーツとからめて学びたいと思っていた自分にとってはここに来て良かったと思う機会がたくさんありました。

今回は日本にいたときも環境のトピックで話題に上がるプラスチックの使用について考えさせられたことがあったので書き残しておきたいと思う。

2020年からスーパーのプラスチック袋が日本では有料化されて、それが良い契機になってシングルユース(使い捨て)のプラスチックに対する社会の意識も少しずつ変わって来ているのではないかと思う。自分もその一人で、スーパーには必ずエコバックを持って買い物に行くし、コンビニなどでももらわないようになった。

過剰な包装に対してはやりすぎなんじゃないかと違和感を感じるときもあるし、できるだけプラゴミを出さない生活をしようとスイスに来て微力ながら実行している。でもその意識は「プラスチック=悪いもの」というものになっていたんじゃないかと授業で気付かされました。


飛行機で使われるプラスチックのカラトリー(ナイフ・フォーク)

何年か前か分からないが、エアーフランスはかつて一度廃止したプラスチック製カラトリーの使用を再び使用する決定をしたそうです。この変更をピンポイントで見ると時代に逆行していてまったくエコではない。毎日どれくらいのプラゴミが出るのだろうかという気持ちになる。

一方でこれを飛行機の運行全体まで視点を広げるとどうなるのか。

シルバーのフォークやナイフは乗客全員分となるとけっこうな重量になる。それをプラスチックに変えると飛行機の総重量は軽くなり、結果として飛行機を飛ばすために必要な燃料は少なり、1回の運行あたりの炭素排出は少なくなるといった結果になる。カラトリーをプラスチックに変えることは一見するとエコではないように見えるが、おもしろいことにプラスチックのカラトリーを使ったほうがエコだったそうだ。

スーパーの食材包装で使われるプラスチック

スーパーで売られている野菜や食料品について「欧米ではプラスチック包装が少なくて日本では過剰にされすぎている」といった意見を見かけることがあります。
自分自身もたしかに必要ないシングルユースのプラスチックがいたるところで使われすぎていると思ったことが何度もありました。

でもこれはもしかしたらスーパーで売られている場面だけを切り取って判断しているからで、もし食料品が生産地から出荷されて家庭で消費されるところまでを対象に考えてみるとどうなるだろうか。

一見するとパッケージはエコではないように見えます。
一方で、パッケージがあることで食料の販売期間、保存期間が長くなることもある。パッケージなしでは輸送中に傷がつき販売できずに廃棄される商品が出てきてしまったり、販売期間や保存期間が短いために売れ残りとして廃棄となる可能性も上がります。

パッケージ(プラスチック)だけを見て一概にエコではないと決めつけるのはナンセンスで、物事をその局面だけを切り取って見るのではなくて、もっと広いスパンで複合的な視点から見ることの大切さを学びました。

私自身が興味があるサスティナビリティについて考えるとき、ニュースメディアなどで学んだ専門家にはほど遠い浅い知識しか持ち得ていません。そのなかでいつの間にか、「これが正しい」といった自分のなかでの固定観念が形成されて、そのレンズを通して物事を見たり判断するようになってしまっていたのではないかと考えさせられました。

サスティナビリティは学べば学ぶほど奥が深すぎて、どれだけ突き詰めていってもこの分野の専門家に自分がなることはないんだろうなとよく思います。

それでも、ピンポイントでその局面だけを捉えるのではなくて、広い視点と長いスパンで見ることで物事の捉え方は変わっていくことを授業の学びを通して得られたので、サスティナブルにかぎらず日常生活のなかで何かを考えるときに活かしていきたい。