依存関係は相手の経験を奪うことで生じる
今回は、依存関係についての話。
子離れできない親のため、子どもが自立的な動きができなくなっている例がありますよね。
そこでは何が問題になっているのかについて考えてみたいと思います。
親子関係の他にも人を援助や指導する立場の人にも参考になればと思います。
依存とはどのような状態なのかを先に考えてみます。
依存は本当に求めているものが得られずに代わりに他のものを求め続ける状態。
この人がいなくなるとどうしても不安、としがみつこうとする場合。
本当は自分で自分を愛することができる必要がありますが、それができないと代わりに他人からの愛を求めます。しかし、本来求めているものが得られないので愛情を求め続けることになるのです。
この場合は本当に求めているものが自分で自分を愛することですが、依存は「経験」についても同様に言えます。
自分で自分の悩みに対処できるという経験。
この経験が奪われ続けていると、自分で考えて対処する力が育たなくなり、誰かに頼り続けることになります。
子離れできない親がしているのは、このような経験を先回りして奪うということ。
何でもやってあげたり、子どもに考えさせずに親の考えを押しつけたり。
このような親の心理の背景には、必要とされたり頼りにされたりして、依存されることを求める心があるかもしれません。
そして、実はこれも本当に求めているものが得られていないがための代わりの行為である可能性があります。
親子関係の話をしてきましたが、医療・福祉や教育の仕事においても同様に言えます。
援助や指導する立場の人が自分の存在意義に危うさを持っていると、心のどこかで依存されることを求めてしまいます。
自分の助けがなくても相手自身が考えて対処する力をつけていけるようになるのが本来望ましいのですが。
解決策や答えを先に与えて、相手の経験を奪ってしまうことがあります。
依存関係にならないためには相手の経験を奪わないこと。
自分で悩んで対処する力を奪わないこと。
これが大事です。
今回は、依存関係は相手の経験を奪うことで生じる、という話でした。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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小林いさむ|公認心理師