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この「考え方の癖」が生きにくくさせる

人を生きにくくさせてしまう思考についての話です。
 

前回の記事でも物事をポジティブにとらえやすい人もいれば、ネガティブにとらえやすい人もいるという内容を書きました。
 
個々人によって「考え方の癖」(認知の歪みとなることも)があり、それが強すぎると、生きづらくなることがあります。
 
今回は、その「考え方の癖」の中でも強力なものを一つ、対処法とともに説明します。



人を生きにくくさせる強力な「考え方の癖」の一つ、それは、
 
すべき思考(should statements)」です。
 
「べき」「ねばならない」「当然」などの思考様式です。
 
「自分がみんなを支えるべきだ」
「家族に尽くさねばならない」
「このくらいの結果を出せて当然だ」
 
具体的な根拠や現実的な制約が存在しないにもかかわらず、「〜すべき」という強迫観念に似た切迫感や焦燥感に駆られてしまうのです。
 
それなのに、強迫的に自分を追い立てることで圧迫感を感じ、意欲や気力は低下するという悪循環を生むことになるのです。
 
そして、自分で設定した無根拠で強制的なルールの通りにいかないことによって、無力感自己嫌悪感などの本来不必要な感情を抱いてしまうのです。
 
 
さらに「すべき思考」の厄介な点は、他人にも自己ルールを求めてしまうところにあります。
 
「すべき思考」の人は、独善的になりやすいので、自分と同じように他人にも「当然~すべきだ」と求める傾向にあります。
 
「これくらい努力して出来て当然だ」
「このルール、価値観に従わねばならない」
というような過剰な要求をし、それに叶わない人にイライラしたり不満を抱いたりするわけです。
 
 
それでは、この「すべき思考」を和らげる対処法として、何が考えられるのか。
 
感謝」の気持ちが鍵になると考えられます。
 
「当然」「当たり前」という考え方には、「感謝」の気持ちが欠けています。
自分にせよ他人にせよ、なにかの結果に至るには「当たり前」にその状態になったのではなく、そこには努力や頑張り、偶然などの要素があります。
 
自分や他人の頑張りや偶然の出来事などに「感謝」の気持ちを持つ癖をつけると良いのです。
「なんとかやれている」ことに感謝できるようになると、「すべき思考」は和らぐはずです。
 
 
具体的な方法としては、「スリー・グッド・シングス」で感謝の気持ちに注意を向けるというものがあります。
 
「スリー・グッド・シングス」は、ポジティブ心理学からきたよく知られている方法です。
一日の終わりにその日のポジティブに感じられたことを3つ日記に1行ずつ書き出すというものです。
 
ポジティブなことに注意が向き記憶に残りやすいために、続けると幸福感を高める効果があります。
 
この「スリー・グッド・シングス」で、一日の終わりにその日に感謝の気持ちを感じたことを3つ書き出すのです。
 
「人に助けてもらいながら仕事をしていると感じた瞬間」
「たまたま電車の乗り継ぎがスムーズで間に合ったこと」
「疲れて帰っても家族が優しく迎え入れたこと」
 
このように感謝の気持ちを日記にする習慣によって、「すべき思考」を徐々に手放せるはずです。
 
 
 
今回は、人を生きにくくさせてしまう考え方の癖として、「すべき思考」を説明しました。
根拠のないルールーで自分も他人も縛ってしまう思考ですが、緩和する方法として、「感謝のスリー・グッド・シングス」も紹介しました。
 
 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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小林いさむ|公認心理師

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