ストレス解消のために「涙」をこらえないほうがいい理由
今回は、「涙」とストレス解消との関係について。
「涙を流す」、「泣く」という行為は人間にとってストレスを軽減する役割になっていますよね。
涙を流すことは、張りつめていた気持ちが解けるような効果があります。
ですから、目の前の相手が涙を流した時に、私はなるべく自然に受け入れる態度でいようとします。
励ましたり、気分を変えさせたりということをあえてしないようにしています。
気を使われていると相手が思うことで、自然な感情を出すことを我慢してしまうためです。
ストレス解消のために「涙」をこらえないほうがいい理由を改めて書きます。
「涙」の効用を知って心を整える参考にしていただければと思います。
「泣くとスッキリする」ことってよくありますよね。
「カタルシス効果」なんて言われることがあります。
感情が浄化される効果。
泣きたくなったら涙をこらえなくていいと思うのです。
涙には種類があって、そのうち感情を伴うような涙があります。
悲しい、悔しい、などの感情と一緒に流れる涙です。
そのような涙が流れると、自律神経は交感神経優位から副交感神経優位の状態に切り替わります。
交感神経優位・・・緊張、興奮などの状態。
副交感神経優位・・・リラックスし安定した状態。
涙を流すときには「セロトニン」という神経物質が分泌されます。
セロトニンは自律神経のバランスを保つ役割を果たし、リラックスした安定状態にしてくれます。
さらに感情を伴う涙には他の作用もあります。
ストレスホルモンと呼ばれる「コルチゾール」という物質があります。
私たちがストレスを感じているときに分泌されているホルモンの一つです。
そのコルチゾールが感情を伴う涙と一緒に排出されるのです。
そのために涙を流すとストレスが低減するのです。
涙を流して泣くというときは、ストレスが溜まり、交感神経が優位の緊張や興奮が高まっている状態です。
泣くことで副交感神経優位に切り替えて自然にバランスをとっているのです。
ですから、涙を無理にこらえることはないのです。
最近、私の職場であったエピソード。
相談業務をしていると、いろいろ悩んでストレスを溜めこみがちになります。
重たい話を聴いたり、うまく対応できなかったり、自分はカウンセラーとして相応しくないのではと思ったり。
先日お昼の時間に休憩室で一緒になったスタッフの様子がいつもと違いました。
うつむき加減でしたし、レンジでチンし終わったお弁当を取り出さずにそのままになっていました。
きちんとしている方なので、ふだんは自分のお弁当をそのままにしておくことはありません。
疲れているのだな、と私は思いました。
私も経験がありますが、ちょっと抑うつ的なときというのは、いつもしないようなもの忘れをします。
そこで私はレンジからお弁当を取り出して、そのスタッフに「○○さん、お疲れみたいですね」とお渡ししました。
疲れていることに気づいてあげるという意図も含めて。
そうしたら一気にあふれ出るような号泣をされました。
ここ何日か相談者とのやりとりでストレスが相当たまっていたようで、自分の至らなさを口にしながら涙を流されました。
そういう時に私は相手を励ましたり、気分を変えさせたりせずに自然に受け入れようとするのですが。
しかし、居合わせたもう一人のスタッフが気づかいから気分を変えさせようと、「これ観ると癒されますよ」とスマホを差し出したのです。
「癒しのねこ動画」
いつまでも泣いていて気を使わせるわけにはいかないと思ったのか、あふれ出た涙をストップし、その方はねこ動画を観ることにしました。
私は内心、「ここはねこ動画じゃなくて、涙を流してスッキリでしょ!」と思いながら、スマホを差し出したスタッフの気づかいの手前、何も言えませんでした。
結局私がしたことは、モヤモヤしながら、一緒にねこ動画を観る、でした。
駄話のようになってしまいましたけど、泣きたいときというのは、交感神経から副交感神経に切り替えようとする自然の働きがあるので、こらえずに泣くほうが良いのです。
ストレス解消のために「涙」をこらえないほうがいい理由として、自律神経を整える、セロトニンの分泌、コルチゾールの排出などの作用について説明しました。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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小林いさむ|公認心理師