空気が重くならない話の運び方
今回は、空気が重くならない話の運び方について紹介します。
大切にしている相手でも時には深刻な話、真面目な話をしなければいけないことがあります。
たとえば、親が子どもに「将来どうするつもり?どうしたい?」と聞き出す、あるいは上司から部下に面談で態度を改めさせなければいけないような場面。
緊張させるのではないか、相手を傷つけるのではないか、関係が悪くなるのではないか。
そのように考えて話を切り出すことをためらうことはありませんか。
話の運び方を工夫することでそのような状況にならずにすみます。
私も普段の相談業務において、相談者にとって話しにくい話題をあえて取り上げなければいけないことがあります。
そのようなときに私が行なっている終話後に影響しない話の運び方について紹介します。
空気が重くならない話の運び方、それは、
重めの話題は会話の全工程中の中盤に持ってくること。
そして、序盤と終盤に軽めの楽しい話題(雑談)を持ってくること。
重めの話題を前後の軽めな話題で挟むイメージです。
軽めの話題とは、たとえば興味関心の話、最近の面白かった出来事、ニュースなどです。
「大谷翔平、記録達成したね」(序盤)
↓
「将来どうしたいと思ってる?」(中盤)
↓
「大谷翔平、次の記録更新楽しみだね」(終盤)
(ざっくりしすぎですが、まあまあ例えです)
話の中身が重くても、会話の始まりと終わりが良ければ、終話後の印象は良く残るのです。
人に与える印象の研究において、人は一連の事柄の中で、最初と最後の印象が強く残りやすいことがわかっています。
最初の印象が強く残ることを「初頭効果」。
最後の印象が強く残ることを「親近効果」。
「第一印象が大事」
「終わり良ければすべて良し」
なんて言われるのもおそらくこの心理効果があるからです。
会話の最初と最後を軽めを話題にすることで、この2つの心理効果を用いて、真ん中の話題が重くても終話後に良い印象を残すことができるのです。
ですので、この話の運び方をすれば、重めの話もためらわずにできます。
しかしながら、そもそもどうすれば重い深刻な話に移れるのか、という問題があります。
それに対しては、過去の記事に書きましたが、「現在→過去→未来」の順番で話を聞いていくとスムーズに移行できます。
(『心を開いてもらう「現在→過去→未来」の話の聞き方』参照)
重い真面目な話というのは、だいだい「未来」に関する内容です。
しかしながら、いきなり「この先どう考えている?」という話をすると、重い空気になります。
そこでこの順番で聞いていくのです。
軽めの話は「現在」に該当します。
会話の前後を軽めの話で挟むので、応用するとこうなりますね。
「現在→過去→未来→現在」
現在の話から始まって、過去、未来と重い話に流れ、そして再び現在に戻って終話する。
私は仕事の相談業務では、この流れで話を運ぶことが多いです。
だたし注意点としては、
相手との信頼関係を築けていることが前提になります。
このような手法を用いるにしても、いかなる場合も相手との信頼関係が先にあることをお忘れなく。
今回は、空気が重くならない話の運び方として、軽めの話題を会話の序盤と終盤に持ってきて初頭効果と親近効果を利用すること、併せて「現在→過去→未来→現在」の流れで話を聞くとスムーズになるという会話テクニックの紹介でした。
最後までお読みくださりありがとうございました。
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小林いさむ|公認心理師