#みの編マフィア小説 [第7夜] 鬼軍曹の系譜
「世界にカオスと狂変を…カタカタ…期待しているぞ…と。できた!!!」
ボスの言葉の熱狂が冷めやらぬ中、部屋に小夜の声が響き渡った。
「小夜、もう書けたのか!!?まだボスの話が終わって1分も経ってないぞぉ!!?」
隣に座っていたサポート役の”デカ”が素っ頓狂な声を上げる。
たった今、小夜の特殊能力「全知の書(リアルタイムレポート)」によって、先ほどのボスのメッセージが、一言一句違わず書き起こされたところであった。
「私だって日々進化してるんですぅ〜。…あぁ!!またグラスによくわからないもの注いでる!!!なんですかその黄色い液体!!!!」
「これはなぁ〜?知りたいか〜?しょーがない、教えてやろう〜」
「いや、大丈夫です。どうせエナジードリンクか何かでしょう?もう突っ込むのも疲れました。」
「さよぉ…お前いつからそんなに冷たくなったんだよぉ〜」
構って欲しさが前面に出ているデカと、それを軽くあしらう小夜。
2人のやりとりはどうやらいつものことらしく、誰も咎める者はいない。
だが、このようなやりとりをしている間でも、2人の手は淀みなくキーボードを叩き続ける。
カタカタタタタタ
カチッ!
「公開完了っ!!これで全構成員が閲覧可能になりました!」
「おつかれさん。今日もいい仕事だったなぁ。」
事が終われば何事もなかったかのように互いの労をねぎらう。
2人の信頼関係のなせるわざなのだろう。
「とりあえず、一番のヤマは越えましたね…!」
「あぁ。あとは狂一朗さんから挨拶をもらって終わりだ。何事もなければな…」
気が抜けたのか、明るい声になった小夜に対し、デカの顔はどこか浮かない。
ーこのまま終わるとは…思えない…ー
長年の刑事の勘が、そう告げていた。
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