#みの編マフィア小説 【第1夜】 駆け廻る2人
「達夜! 今週捌く分のブツの用意はできてるのか!!」
「すいません狂一朗さん!!すぐに!!!」
「きな粉なら奥の部屋にいる。さっさと数えて持ってこい!」
渋谷、とあるビルの一室で、2人の男がやりとりをしている。
何かの準備に追われているようだが、時間がないのか、男たちには焦りの色が見えた。
「狂一朗さん…今日、大丈夫ですかね…?」
先ほど怒鳴られた男が、不安そうに顔色を伺う。
「達夜。今夜の定例会は、荒れるぞ…」
狂一朗と呼ばれたその男は、天井を見上げてそう呟いた。
今日は、とある組織のメンバーが一堂に会する日。
一癖も二癖もあるメンバーが、全国からこの部屋に集まる。
普段でさえ、顔を合わせれば火花が散る者たちがいる上に、今夜の会合ではボスからのメッセージがあると事前に知らされていた。
様々な修羅場をくぐり抜けてきた狂一朗ですら、どうなるか予想もつかないというのが正直なところであった。
「狂一朗さん、そろそろ部屋を…」
「おい達夜ァ!! あと30分で始まるってのに、随分と悠長だなぁ!? ウチの若手にやらせりゃあとっくに終わってるぜ!!」
…波乱の夜が、幕を開ける。
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