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第七夜 渡航後2週間…飽きが来た
はじめに
皆様、こんばんは!
本日もお越し下さりありがとうございます。
前回第六夜では
・私の在籍していた大学の紹介
・入学から卒業までのプロセス
・成績の評価制度
・私の成績大公開
と、大学全振りの内容でお届けしました。
まだ読んでない方はチェケラです。
第四夜、第五夜では渡航直後の生活から
事務手続きの部分のみを取り上げました。
本日は渡航直後の「生活」のに焦点を当て、
渡航2日目から概ね2週間を大雑把に
綴って参ります。
また最後に、
俗に言う「カルチャーショックの4段階」
という言説について、自身を振り返りながら
考えたことを述べて参ります。
本日も対戦よろしくお願いします!!!
渡航2日目 電車に乗ってみよう
第五夜で公共交通機関の年パスを購入する話を書きましたが、私が年パスを購入したのは渡航から4日後である。初日は宿泊先近辺の練り歩きをしていたので、電車移動はなかった。
2日目と3日目は体験のために自力で切符を買って移動することにしたわけです。さっさと年パスを購入すればPASMO的に乗降りできて楽チンなうえ、切符の有効時間を気にする必要もなくなる。
簡単に言えば無限PASMO状態である。
なぜ切符の購入という面倒をするのか。
私は漫画家ではないが、最近見たジョジョ4部の岸部露伴のセリフに大きな共感の念を抱いた。
自分の見た事や体験した事
感動した事を描いてこそ
おもしろくなるんだ!
当時の私はジョジョを見ていなかったが、
「体験」「経験」を大切にしていた。
私がこの記事に面白さや生命を吹き込めているかという点については疑問符がつく。ただ、経験主義者の私にとって、寄り道や回り道をする機会の出現は喜ばしいことなのである。多少の面倒はしてみるものなのだ。
また、知識として知っているだけの状態と、知識と体験が紐づいている状態とでは人に話す時の説得力や臨場感に雲泥の差があるとも思っている。
長くなってしまったが、
苦戦しつつも20分かけて切符を買った。
英語に言語設定を変えても券売機のシステムが分からない。どのチケットを購入すべきかも迷った。ここで社会学徒の本領発揮である。切符を購入する人を観察して流れを理解した。これぞ非参与観察。20分もかかったのには理由がある。当時はまだコロナ禍であったため、観光客が少なく、切符を買って移動する人がいなかったのである。(私の駅選びにも問題はあった。)
少し遠くからジロジロと切符を買う人を眺めていたので、スリか何かだと怪しまれていた可能性がある。
とりあえずキャンパスへの赴き
経路確認を済ませることにした。
渡航3日目 建造物の荘厳さにビビる
公共交通機関での移動をマスターした私は、とりあえずベタ中のベタな観光地に行くことにした。
『地球の歩き方 イタリア編』を持参しており、どんな建造物があるのか写真で見て知っていたため、特に期待はしていなかった。
私は馬鹿であった。
地下鉄DUOMO駅で降り、外に出た途端、
私はその光景に圧倒されることになる。
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デ……デカすぎんだろ……
写真ではわからないものだが、
想像の遥か上を行く巨大さと荘厳さだ。
やはり≪体験≫なのだ。
五感を研ぎ澄まし、空間に身を委ねる。
これは行かなければできないことだ。
渡航4日目 人生最高のピッツァ
せっかくホテルに宿泊していて、英語が流暢で周辺情報に詳しいイタリア人に質問できる環境なので、ホテルマンの方に周辺のオススメのレストランをいくつか教えて頂いた。
ちなみに飲食店で注文の時に使える基本的なイタリア語は、ホテルで朝食を摂る際にカッコよくてフレンドリーなイケオジ系ホテルマンの方に教えて頂いた。
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教えて頂いたお店がこちら!!!
Ristorante Pizzeria Maruzzella
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観光客だけでなく地元の人でも賑わうお店。
ピザもパスタもグリル料理も食べられる。
ミラノにありながらお値段も良心的。
特にピザが安くて美味しいと聞いた。
ピザ大好きな私は行く前から興奮していた。
開店時間と同時に入店した。当然だよな!!
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歴史を感じさせる木材の質感、調度品、写真、一台ずつ丁寧にピンと敷かれた真白いテーブルクロス。白シャツ黒ベストのシックな制服を身に纏う店員たち。みな一様に姿勢が良く、こちらも身が引き締まる。
空間の雰囲気と店員のビジュアルとは対照的に店員の接客は非常に親切でフレンドリー。
炭酸水
ブルスケッタ
マルゲリータ(本命)
ドルチェにパンナコッタを注文した。
ブルスケッタでイタリアのトマトとオリーブオイルの美味しさに感動しつつ、マルゲリータの到着を待っていると、程よいタイミングで到着。
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イタリア到着4日にして
初めての窯焼きピッツァ。
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ふ……ふつくしい………これを待っていた。
イタリアの地元民に愛されるクラシック且つ暖かい雰囲気のリストランテで食す初めての本場の窯焼きのマルゲリータ。
今まで食べてきたピザがまるで贋物に思えてしまうような圧倒的な美味!!!
頭を抱えて唸ってしまった。
傍から見たら気持ち悪いであろう。
東京のイタリアンはレベルが高いという話を聞いたことがある。実際にどうなのかは存じ上げないが、ピザの世界選手権で受賞歴のあるピッツァを東京で食べた時よりも感動が大きかった。
きっと食べ物の美味しさは調理技術や食材もさることながら、料理が口に運ぶまでのストーリーや食す空間も大切な構成要素なのかもしれない。
この店にはイタリア滞在中に【足繫く】とまではいかないが結構な回数リピートして美味しいピザを楽しませて頂いた。
優しきホテルマンの素敵なおじさま、
誠にありがとうございました。
本当に素晴らしいリストランテでした。
渡航5日目 契約した物件に入居
ホテルをチェックアウト。感謝。
4泊5日のホテル生活も遂にチェックアウト日。契約物件の入居時間が午後2時過ぎだったので、チェックアウト後にラウンジで時間潰しをさせて頂いた。程よい時間にタクシーが来るようにホテルの方に手配して頂いた。公共交通機関の乗り方はマスターしていたが、荷物が多いので安全のためにタクシーを選んだ次第だ。
良いホテル滞在ができたので、日本から持参していた和柄の便箋的なものを取り出して感謝の言葉を綴り、心ばかりのチップを添えて手渡した。
併設のバーで時間潰しをさせて頂いたのだが、バーカウンターには私に簡単なイタリア語をレクチャーして下さったイケオジホテルマンが立っていた。フロントの人がやってきて例のイケオジと少し話し始めた。話が終わると、「何か飲みたいものはあるかい?俺らからのサービスさ」と私に声をかけてきた。どうやら手渡した手紙のお返しらしい。
ホテルマン達、粋である。
Ginger Beerと呼ばれる、ほぼジンジャーエールな炭酸飲料にGinとレモンを加えた、要するにGin Buckを飲ませて下さった。美味い。
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お酒を飲み終え、少し時間を置いてタクシー到着。ホテルの方々に挨拶を済ませて、荷物を積み乗車。
ホテルに別れを告げた。
遂に入居。
目的地に到着した。
9階建のマンションである。
入口前でスタッフと待ち合わせだったが、
スタッフが時間通りに来ない。
想定の範囲内である。
アポ通りの進行は最初から期待していない。
15分遅れで職員は到着した。
1時間遅れは覚悟していたので
却って拍子抜けしてしまった。
8階にある部屋まで案内された。
スタッフが部屋の最終チェックをした後
必要な書類を全て提示し、契約書の重要な点を読み合わせ上でサインした。使用する鍵が4種類ほどあったので説明を受けた。
ここで私の部屋を見てみましょう。
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狭い!!!!!
細長い!!!!!!
謎にバルコニーと椅子!!!!!!
キッチン、トイレ、シャワーは共用である。
私以外に2人の住人がいる。
水道代など全て込々で月に570ユーロである。現在レートで約8万円だが、当時は現在ほど円安が酷くなかった。徒歩4分の場所に地下鉄が2線通っていて、バス停も近い。地下鉄の駅のすぐ近くにスーパーもある。1.5キロほど歩くと真新しい再開発地区と商業施設まである。大学のキャンパスまでは4キロ程で交通機関が止まっても歩いて行くことも可能である。
そもそも寝に帰るための場所くらいにしか考えていなかった私にとって、狭さは大した問題ではなかったので御誂え向きな物件に巡り合えたと今でも思っている。掃除も楽である。ものは考えようだ。
ちなみに、同居人2人はどちらもイタリア人男性の学生であった。1人はミラノ工科大学のコンピューターサイエンス系の修士課程に所属、もう1人はワインの商店を営む家庭に生まれ、ファッションデザイン業界では世界的に有名らしいマランゴー二と呼ばれる専門学校に所属していた。後者はボンボンなパリピだと思われた。
私は基本的に温厚で大人しい性格
理系で優秀なイタリア人
お金の余裕は心の余裕、優しいイタリア人
争いごとなど起きるはずもない
適度な距離感で平和に過ごせた。
長期休暇の度に二人とも実家に帰るので
一人暮らし状態になることもしばしば…
独り最高やないか!!!!
初のスーパー その名もESSELUNGA‼
平穏無事に物件に入居できたので、
自分で飯を準備しなければならない。
私はこれまで実家暮らしだったので実質的に
これが初めての一人暮らしであった。
早速、スーパーに赴くことにした。
その名はESSELUNGA(エッセルンガ)。
店内はこんな感じです。
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さすがはイタリア。
オリーブオイル、ワイン、パスタ、チーズ、そしてトマトのコーナーの占有面積が非常に大きい。
初のイタリアスーパーでの戦利品はこちら。
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このスーパーは会員登録をして会員カードを作らないと割引の恩恵が受けられないことを知ったので、10月26日に早速会員カードを作成した。パスポートとCodice Fiscale持参で簡単に作って貰えた。渡航して10日弱で現地スーパーの会員カードまで作ってしまった。
帰国間際、この会員カードに貯まったポイントをお洒落な卓上調味料入れに交換してもらうことになる。
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渡航後約2週間…飽きる。そして…
渡航後10日後あたりでキャンパスでの講義が始まり、オフラインでの学生生活もスタートした。講義や私生活のスケジュールがどのように進行していくのかを頭だけでなく身体でも把握することができた。
生活のルーティーン化という敵
渡航後約2週間、
物件に入居し、学校生活の流れも把握できたために、生活が完全にルーティーン化した。
新しい刺激が無くなり、飽きてしまった。
飽きるのが早すぎる。自分でもそう思った。
適応能力を過小評価していたのかも知れない。
ミラノという町が都会なのも
1つの理由なのかもしれないが、
「初めての外国長期滞在だ!!!」
と身構えていたのがあまりに馬鹿らしくなる程に慣れてしまった。
緯度と経度が多少違う程度のことである。
なんら生活に支障はないのである。
これも実際に行ったから知れたことだ。
趣味は生活を豊かにしてくれる。
飽きてしまったので、早くも奥の手が登場。
バドミントンをすることにした。
渡航前からミラノにバドミントンチームがあることはリサーチ済みで、実は物件を探す際に、練習会場の近くを検索条件に加えていた。私のいた住まいは練習会場から1.2キロで徒歩圏内である。当然ラケット2本をキャリーケースに忍ばせていた。残りはアポ取りだけの状態にしておいたのである。
全ては準備である。
インスタグラムのDMに連絡してみたら
許可が下りたので11月2日に練習に参加が決定。その日以後も週に2-3回ほど練習に参加した。
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※この日にバドミントンの練習に行ったことで、私はある種の運命的な出会いをするのだが、それは別の機会に述べるものとする。
これで日々の生活の飽きは解消された。
趣味は生活に華を添えてくれるものだ。
渡航後約2週間、
私の≪生活≫が完全なものとなった。
Culture Shockの四段階という幻想。
【カルチャーショック】の概要
【カルチャーショック】という言葉を人生で少なくとも一度は聞いたことがあるのではないだろうか。この【カルチャーショック】という言葉、日常生活においてカジュアルに使うこともあるが、辞書的には以下の意味になる。
the feeling of disorientation experienced by someone when they are suddenly subjected to an unfamiliar culture, way of life, or set of attitudes.
日本語に直すと「不慣れな文化、生活様式、態度に突然さらされたときに経験する戸惑いの感覚」である。
この【カルチャーショック】は厳密には四段階あるとされている。
ハネムーン期: 最初の数週間。
極めてポジティブな感情を抱く時期。目新しいものや環境に魅力を感じる。それまでの環境よりも良好であると感じる。旅行者や短期滞在者はこのフェーズだけで元の環境に戻る。ショック期: 1ヶ月-3ヶ月頃。
来て間もない時には素敵に見えていた新たな環境に欠点が見え始め、前の環境の方が良かったと感じやすくなる。ジェスチャーやサイン、言語が理解できないことによる疲労が蓄積される、ミスコミュニケーションが発生するなど、不便さを明確に感じ、人によってはうつ病やホームシックになったり、家に籠ったりしてしまう。適応期: 半年-1年頃。
生活を営むための必要性から、適応に向けて動き始める時期。新しい環境の文化、人々、食べ物、言語等に慣れが生じることで多少の快適さを感じ始める。移動も楽になり、友人やコミュニティもできてくる。受け入れ期-1年以上。
元々の生活環境と同じような心持ちで暮らすことが出来る。自国と他国の文化の違いを体験しながら、双方に対して納得をし、受け入れた状態。
【カルチャーショック】が無かった。
私はハネムーン期から、ショック期と適応期をすっ飛ばして、適応期に2週間程度で到達してしまったことになる。精神状態としては非常に安定している。凪のようだ。
恐らく理由は主な理由は二つである。
十分なリサーチ
予め準備しておけばショックはほぼない。「日本と比べて云々」という発想が希薄で
「これはこういうもの」と考えてしまう。
他人に説明する時に情報として客観的な比較を感想を交えて面白おかしく喋る工夫をすることはあっても、「どちらが優れている」などと母国へ想いを馳せたり、現地の在り方に対して不平不満や文句を述べることには全く意味がない。時間の無駄である。
今いる場所の文化や生活様式が全てなのだ。
「郷に入っては郷に従え」
とは本当に言い得て妙である。
国が違う以上、生活様式の相違は当然ついて回る。それを楽しまない手はないのである。
ストライキで電車が動かないならば
目的地まで散歩を楽しめばいい。
お目当ての店が臨時休業ならば
別の店を開拓するチャンスなのだ。
不便さ、そこから生じる遠回りも楽しさ。
何事も≪経験≫
楽しむのが一番である。
【カルチャーショック】に陥りそうな人の特徴を偏見で羅列
カルチャーショックを経験しなかったという経験から、私の正反対の性格を持った人物を勝手に想定して、カルチャーショックに陥りやすそうな人間の特徴を偏見で構築してみました。
※あくまでも個人的な意見です
リサーチ不足
最初から分かっていることにショックは受けないでしょう。頑固で柔軟性に欠ける
リサーチが十分でも想定外の現象は起きます。情緒が強過ぎる
感情的になる前に客観的に状況を整理して下さい。中途半端に自信がある
その自信、すぐに砕けます。中途半端にプライドが高い
そのプライド、すぐに砕けます。完璧主義
仮に貴方が完璧でも周囲が完璧ではないです。独りが苦手
私のように言語が苦手でも、孤独を好む人は問題なく生活できます。孤独が苦手な人がカルチャーショックを回避するには言語習得が肝でしょう。
おわりに
今回はわたしがミラノに渡航してから概ね二週間の生活と体験を綴って参りました。また文章が長くなってしまいました。それだけ私にとっては濃密な2週間だったと思って下されば幸いでございます。
また、私の個人的な体験から【カルチャーショック】という普遍的な事象に対する個人的な見解も述べました。皆様は【カルチャーショック】をどのように捉えておりますでしょうか。少しでも考えるきっかけになればと思います。一つだけ言えることとして、【カルチャーショック】は回避可能であるという点です。自分という人間の特性を理解し、不安が解消される程度のリサーチをしておき、想定外の出来事は楽しむ姿勢をもつことが肝要なのではないでしょうか。
今回の内容は以上です!
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それでは、
第八夜へつづく…To Be Continued…