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ハイカー目線でのロングトレイルの魅力


 初めまして、信飛トレイル準備委員会の事務局運営を担当している内山雄斗です。表現力が豊かな海馬君の後にブログを書くのは少し身が引けますが、自分の自己紹介も兼ねて、今回信飛トレイルのブログを書かせて頂きます。どうぞよろしくお願いいたします。

Mt.whitneyの頂上

 僕は京都府出身で、大学卒業後3年間、静岡の企業で働いた後に、現在の乗鞍高原にやってきました。そして、Raicho.incで働きながら、信飛トレイル準備委員会の事務局運営をしています。乗鞍高原に来るまでは、本格的な登山もやったことはなかったし、ロングトレイルの存在自体も全く知りませんでした。(笑)幼少期から、友達家族と海や川でBBQをした経験や、色々なスポーツをやっていたこともあり、自然の中で身体を動かすことは好きで、山の稜線を歩く縦走をいつかやってみたいなと、思っていたぐらいでした。しかし、今ではロングトレイルの存在を知り、自然の中を長期間歩くことに魅了され、すっかりロングトレイルにはまっています。


ジョンミューアトレイル

 僕が初めて歩いたロングトレイルは、ネパールにあるアンナプルナサーキットになります。代表理事を務めている藤江に、一か月間の休みに何をしようか迷っていたところ、「せっかくだしアンナプルナサーキット歩いてきたら」と言われたのがきっかけになります。初めは、約170kmの距離を歩くことなんて想像もつかないし、ましてや標高5,400mの峠を越えるのなんてほんとに未知数でした。(笑)しかし、地図で計画を立てながら、不安よりも心はワクワクしていた感覚を今でも覚えています。そして、ロングトレイルを歩く中で、自分で選択する感覚を磨きたいという想いもあり、歩くことにしました。そんな形で歩いた初めてのアンナプルナサーキットも道中トラブルなどはありましたが、心に刻まれるとても良い経験となり、帰りの飛行機では既に次はどこに歩きに行こうか考えていました。この経験をきっかけに、「自然の中を長い時間をかけて歩く」ことの価値を知り、現在では長い距離を歩くことがライフスタイルの一部になっています。そんな中、Raicho.incで働いている時に、信飛トレイルを作る業務の話を持ち掛けられ、正直ロングトレイルってどうやってつくるの?という感じでしたが、ロングトレイルが好きでその魅力を感じていたこともあり、現在業務に携わせて頂いています。

「ロングトレイルの魅力とは?」
ロングトレイルの魅力はたくさんあるのですが、その中でもハイカー目線で個人的に感じている魅力について上げさせて頂きます。

1.自分で選択する力が身に着くこと
ロングトレイルを歩くことは、選択の連続です。まずは地図でどのルートをどれぐらい歩くのか、どのような服と持ち物が必要なのか、食料を1日にどれぐらい食べるのか、時には腰ぐらいある渡渉を試み、一歩間違えれば死ぬ可能性がある選択も存在します。その選択の経験によって、自分の感覚が研ぎ澄まされていくのだと思います。ロングトレイルは、人生と似ている部分があります。そして、目の前の選択をひとつひとつ積み重ねていった結果、長い距離を歩いたことが、何にも変えがたい成功体験となり、自分の自信にも繋がり、自己肯定感の向上に繋がります。

エーベルタスマン

2.人間として生きている内側の充足感を感じられること
現代の社会で生きていると、心の不足感を埋めるためにSNSを利用し、周りと比べることで、不足感を補おうとしている傾向がよく見られます。(僕もまだまだ流されることもあるw)しかし、ロングトレイルでは、自然の中を長い時間かけて歩くことで、自然の美しさや力強さ、そして自然の神秘を感じることで、自分の内側に感動を感じることや、既に自分の中にあるものに目を向けるきっかけも生まれ、内なる充足感に満たされます。この感覚は、日本の禅や足るを知るといった文化にも近い感覚があると思います。

ジョンミューアトレイル

3.ノイズレスな環境下で頭の整理や思考を深められること
都会を歩くと、人間の気を引くために作られた広告などで、視覚、聴覚、嗅覚がずっと刺激され続け、思考が休まる暇があまりなく(社会とずっと繋げられている)、自分と向き合う時間を作ることが難しいと感じます。一方で、自然の中をひとりで歩くと、聞こえるのは鳥の鳴き声や葉っぱが揺れる音だけで、感覚に集中しやすく自分と向き合う時間が作ることができ、思考の整理ができることや、自分の無意識に気づきやすくなります。その結果、モヤモヤしていた感情がクリアになったり、新たなひらめきが生まれたりします。昔の偉人達も考え事をする時には、よく散歩をしていたみたいです。

アンナプルナサーキット

4.その土地の文化や特色を知ることができること
歩くという行為は、車や電車といった他の乗り物で移動するよりも、触れている情報量が圧倒的に多く、人との出会いもあり、その歩いている土地の文化や特色を知る事に繋がります。また、他国の土地を歩き文化を知ることで、自分の土地の文化と比較し、理解が深まることもあるし、自分の生まれ育った土地を歩くことで、自分の身体を形成している食べ物や思考を形成している文化を知る事に繋がり、結果自分を理解することに繋がると考えます。この土地との繋がりという感覚が、今後も大切にしたいなと感じています。

アンナプルナサーキット

以上が、僕が感じているロングトレイルの魅力になります。

「信飛トレイルで表現したいこと」
 現代の社会は、技術の発展により便利な世の中になっていく半面、様々な弊害も生まれている時代であると考えます。地球環境問題や格差問題を初め、例えばインターネットを通して、どこでもすぐに社会と繋がることができるため、誰かとすぐに比較をしたり、SNS広告などにより欲求を刺激し、過剰な消費させるといった力が強くなっていることなど、上げれば多くの問題があると思います。そんな世の中だから、自然の価値がとても重要になると考えています。僕もロングトレイルを通して、自然の価値を享受した一人の人間です。そもそも、人間は自然がなければ生きていく事ができないし、毎日自然から、何らかの恩恵を授かっています。(水、空気、食べ物とか)しかしそんなことさえ、分かりづらくなっている世の中になってしまっているのが事実です。信飛トレイルは、松本・高山を繋ぎ、都市と自然がコンパクトに集結するエリアだから存在する、多様な文化と暮らしがあり、「自然と人間の共存」を感じることのできるロングトレイルとなっています。信飛トレイルを歩く中で、日本の豊かで繊細な自然を身体で感じ、そこから育まれた自然と人間が共存する世界観に触れてほしいと考えています。それが日本人の根本的な価値観になっていると思います。歩くことにより、触れる情報が多くなり、自然を感じ、地域住民との触れ合い、土地や文化を知ることに繋がると考えます。そんな体験できるロングトレイルを、松本~高山にかけての長い一本の道「信飛トレイル」で表現したいです。最後に信飛トレイルの理念を載せて今回のブログの終わりとさせて頂きます。



「理念」
信飛トレイルは、トレイル沿線のコミュニティを再構築するとともに、信州・飛騨(飛騨山脈)が産んだ自然・文化・歴史を通して、自己変革、自己実現、人間社会の在り方の考察を促します、そのための挑戦を私たちは続けていきます。

photo by Takuro


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