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振り逃げというルールはない
野球をしたことのない人でも「降り逃げ」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。
ルールとして決められていることとして、ある条件が揃えば打者は三振をしてもアウトではない場合があります。
これを野球ファンの人達は「振り逃げ」と言っています。
また、「振り逃げ」 なのにバットを振らなくても振り逃げはあり得ます。
でも、野球規則のどこを見ても、「振り逃げ」 という規定はありません。
それがどういうことなのか、ここでお話をしたいと思います。
◇ 打者が三振してもバッターアウトではない
以下のどれかに該当する場合、球審が『ストライク・スリー』を宣告しても打者はアウトではありません。
・第三ストライクを捕手が落球した(正規の捕球ではない)
(バッターがスイングしたかどうかに関係ない)
・第三ストライクを捕手が捕る前に投球がバウンド(正規の捕球ではない)
※これらのどちらも、一塁に走者がいないことが条件(0アウトか1アウト)
※一塁に走者があっても2アウトの時であれば打者アウトではない
この状況では、球審はストライクスリーを宣告しますが、打者はアウトにはなっていないので、アウトにされる可能性はありますが一塁へ向けて走る権利はあります。
もし、ボールが一塁へ届く(正確には塁への触球と言います)よりも先に打者が一塁を踏めば、打者は一塁へ出塁することができます。
これが一般的に言われる『振り逃げ』の成功です。
繰り返しになってしまいますが、第三ストライクを打者が空振りしても振らなくても、投球がバウンドしたり捕手が捕球できなかったりすれば正規の捕球ではありません。
この正規の捕球ができることが打者アウトの条件です。
◇ 何故一塁に走者がいたら振り逃げできないのか?
簡単に言うと、攻撃側に不利益となることがないようにするためです。
例えば、0アウト走者一塁のとき、打者が第三ストライクの投球を見送ったところ、捕手がこのボールを落球、打者は一塁へ走りますが、元々一塁にいた走者は二塁へ走らなければいけません。
そこで捕手がすぐにボールを拾って二塁へ送球すると2-4-3のダブルプレイが簡単にとれてしまうということになりかねません。
そうなるくらいなら始めから走者が一塁の時には打者アウトにしてしまえばダブルプレイよりも攻撃側に不利益がありません。
そんなことから、2アウトの時であれば、一塁に走者があっても打者アウトにならず、一塁へ走る権利があるのです。
2アウトならダブルプレイはありませんので、二塁でアウトでも一塁でアウトでも、これが第三アウトです。
◇ 正規の捕球にならない
正規の捕球ですが、以前は投球が直接捕手のマスクやプロテクターなどに当たり、それを捕手がミットの中に入れても正規の捕球ではありませんでした。
しかし、投球が捕手のみっとを擦ってからマスク或いはプリテクターに当たると、そのボールが地面に落ちる前であれば正規の捕球でした。
これ、複雑でわかりにくいですよね?
球審もこれを判定するのには間違いそうで大変な感じがします。
そこで最近になって野球規則が改定され、現在では捕手の保護具に投球が当たっても、ボールを地面に落とす事なくミットの中に収めれば正規の捕球としています。
もちろん、正規の捕球ですからこの投球が第三ストライクであれば打者はアウトです。
但し、手やミットでボールをプロテクターに押し付けて保持しているような場合は正規の捕球とはなりません。
野球のルールは本当にややこしいですね。